表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/112

エルフの里

マナ結晶を手に入れてから三日。


林帆は毎日、訓練場でレリスと手合わせを繰り返した。マナの扱いもずっと慣れ、今では武器なしでもエルフの戦士と互角に戦える。


「そろそろ次の段階に行こう」


エルリリアが言う。「この町のさらに奥に、エルフの里がある。そこで古の知識を学ぶことができる」


「ぜひお願いします」


エルリリアに案内され、林帆とヨルは町の北門から出た。道は次第に山道へと変わり、両側には古い木々。


一時間ほど歩くと、視界が開けた。そこには、木の上に建てられた家々。階段や吊り橋で繋がれている。


「ここが…エルフの里」


「歓迎する、旅人よ」


声の主は、白い長髪の老エルフ。杖をつき、ゆっくりと近づく。


「私は里長のエルドラン。あなたが星の海を越えてきた者か」


「はい。林帆です」


「あなたの手の紋章…見せてくれ」


林帆が右手を差し出すと、エルドランは杖で紋章を軽く叩いた。紋章が虹色に輝く。


「これは…星の力とマナが融合している。珍しい。いや、初めて見た」


エルドランは二人を里の中へ招いた。一番大きな木の家。中は広く、壁には無数の書物。


「この世界のマナは、二つの月から来る。しかし、あなたの世界の星の力もまた、この世界に影響を与えている」


「どういうことですか?」


「星の海は、この世界とあなたの世界を繋ぐ境界。あなたが来たことで、そのバランスが少し変わった」


エルドランは地図を広げた。そこには、この大陸の全体像と、幾つかの光るポイント。


「これらは“マナの歪み”が発生している場所。このまま放置すれば、世界のバランスが崩れる」


「それを修復してほしいと?」


「そうだ。あなたなら、星の力とマナの両方を使える。この仕事に適している」


林帆は少し考えて、うなずいた。


「引き受けます。ただし、ヨルも連れて行きます」


「構わない。ただし、危険な場所もある。無理はするな」


エルドランは小さなコンパスを林帆に渡した。針は歪みの方向を示している。


「これを使って。最初の歪みは、ここから南東の“古代遺跡”の中にある」


その夜、林帆はヨルと一緒にエルフの家で泊まった。木の温もりが心地よい。


「ねえ、また戦いに行くの?」


「そうなる。でも、今回は無茶はしない。約束する」


ヨルは少し寂しそうな顔をしたが、うなずいた。


翌朝、二人はエルフの里を後にした。コンパスの針は南東を示している。


道中、時折エルフの狩人たちとすれ違う。彼らは皆、林帆の紋章を見て驚いた顔をする。


三十分ほど歩くと、古びた石の門が見えた。周囲には草が生い茂り、半分埋もれている。


「ここが古代遺跡か」


門をくぐると、中は暗い。しかし、天井の割れ目から光が差し込み、幻想的な雰囲気。


コンパスの針が震え始めた。歪みは近い。


奥へ進むと、広い空間に出た。中央に、黒い球体が浮かんでいる。周囲のマナを吸い込んでいるようだ。


「あれが…歪みの正体か」


林帆は右手をかざし、虹色の光を放った。光が球体を包み込み、徐々に小さくなっていく。


最後の一瞬、球体から黒い煙が噴き出し、人の形を取った。


「お前が…私を消そうとしているのか」


歪みの精霊。低い声。


「世界のバランスを守るために」


「ふん…やってみろ」


精霊が襲いかかる。林帆はマナと星の力を同時に使い、光の盾で防ぐ。


「これで…」


彼は両手を合わせ、全ての力を一気に放った。虹色の光の柱が精霊を貫く。


精霊は叫び声を上げ、光の中に消えた。


歪みが修復された。世界のバランスが、少し戻った。


「これで一つ目か」


コンパスは次の歪みを指している。西。


旅はまだ続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ