最後の守護者
セレナが槍を構えた。星の光が槍先に集まり、周囲の空気が震える。
「来い」
林帆は氷の剣と星の短剣を逆手に握り、低い姿勢をとった。
最初の一撃。セレナの槍が風を切って迫る。林帆は氷の剣で受け流し、星の短剣で懐を狙う。しかしセレナは素早く後退し、槍で短剣を弾いた。
「なかなかやる」
「まだまだ」
彼は二刀を交互に使い、連続攻撃を仕掛ける。氷の剣で凍らせ、星の短剣で斬る。しかしセレナの槍はまるで生きているように、すべての攻撃を防ぎ切る。
「五行の力だけでは足りないようだな」
セレナが槍を掲げると、天井から星の光が降り注ぎ、彼女の体を包む。次の瞬間、彼女の動きがさらに速くなった。
「がっ!」
林帆は胸を槍でかすられ、後退する。かすり傷だが、血が出ている。
「林帆さん!」
ヨルが叫ぶが、彼は手で止める。
「大丈夫…まだいける」
彼は息を整え、三力循環を最高速度で回した。体内の八本の気脈が全て開き、三力が爆発的な速さで巡る。さらに、星のペンダントと月の護符が共鳴し、二つの光が彼を包む。
「これで…!」
彼は氷の剣を捨て、星の短剣一本に絞った。すべての力を短剣に集中させる。
セレナが槍を突き出す。林帆は避けずに正面から受け止めた――ではなく、短剣で槍の穂先を真っ二つに斬った。
「なにっ!」
槍が折れ、セレナの体勢が崩れる。その隙に、林帆はさらに踏み込み、短剣を彼女の喉元で止めた。
「勝負あった」
セレナはしばらく驚いていたが、やがて微笑んだ。
「見事。あなたの勝ちだ」
彼女は槍の残骸を捨て、中央の台座へ歩いていった。
「これが約束の宝玉。星の祭壇の鍵だ」
輝く宝玉を手に取ると、中から星の光が溢れ出し、林帆の体を包む。
「これで…お前は星の力を完全に使いこなせる。ただし、最後の試練はこれからだ」
「最後の試練?」
「星の祭壇では、自分の内なる闇と向き合わねばならない。それを乗り越えられた者のみが、真理を得る」
セレナは去っていく。その背中は誇らしげだった。
林帆は宝玉を握りしめ、奥の扉を見た。その向こうには、さらに深い闇と光が渦巻いている。
「ヨル、本当に行くぞ」
「うん。最後まで一緒に」
二人は手を繋ぎ、扉を押し開けた。
中は真っ暗だった。星の光さえ届かない、完全な闇。
しかし、その闇の中で、かすかな声が聞こえた。
「よく来た…待っていた」
それは林帆自身の声だった。




