表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/112

星の短剣

氷の山脈を越えてから二日。


眼下には、これまでにない風景が広がっていた。黒い砂漠。砂粒は細かく、まるで炭の粉のよう。風が吹くたびに砂煙が舞い上がる。


「ここは…」


「星の砂漠と呼ばれる場所だ。古くは星が降り立った地と言われている」


老怪の声が久しぶりに響く。ここ数日、彼は静かに見守っていた。


林帆は腰に差した新しい短剣を抜いた。星の短剣。透明な刃に無数の星がきらめく。


「試しに使ってみるか」


彼は砂漠の中央に立つ黒い岩に向かい、短剣を振るった。


ざしゅっ。


岩はまるで紙でも切るように真っ二つになった。切断面からは星の光がこぼれ、しばらく消えなかった。


「すごい切れ味だ…」


「氷の剣とはまた違う。この短剣は“星の光そのもの”を刃にしている。防御を無視して斬ることができる」


「防御を無視?」


「ああ。どんなに硬い鎧でも、光を遮ることはできない。この短剣はその原理で相手を斬る」


林帆は感動しながらも、無理に頼らないようにしようと決めた。どんな武器にも限界はある。


その夜、黒い砂漠の真ん中で野宿した。焚き火を囲みながら、ヨルに短剣の握り方を教える。彼女は真剣に繰り返し練習していた。


「もう少し肘を下げて…そう、いい感じ」


何度も失敗しながらも、徐々に形になっていく。


突然、遠くで砂の鳴る音。何かが地下を移動している。


「来る!」


林帆が立ち上がると、砂の中から大きなサソリが飛び出した。体長は三メートル。尻尾の先からは毒の針。


「星の短剣、試し打ちだ!」


彼は正面から突進し、短剣でサソリの鎧を斬りつけた。触れた瞬間、刃が抵抗なく甲殻を切り裂く。サソリは悲鳴を上げて砂の中に逃げ込んだ。


「逃げたか…でも、効き目は十分だ」


「お見事」


老怪も褒めた。


それから三日間、彼らは黒い砂漠を歩き続けた。昼は灼熱、夜は氷点下。過酷な環境だが、星の短剣と氷の剣のおかげで何とか乗り切った。


砂漠の果てに、ようやく何かが見えてきた。それは石造りの大きな門。両脇には星と月の像。


「ここが…星の祭壇の入り口か」


門には古代文字が刻まれている。『星と月の試練を受ける者は、すべてを捨てて進め』


「すべてを捨てる…」


林帆は少し迷ったが、ヨルの顔を見て決心した。


「行こう」


彼は門を押し開けた。中は広い中庭。中央に星の台座。その上に、輝く宝玉。


「あれが…」


近づこうとした瞬間、周囲から白い靄が湧き出し、人影を形作った。それは銀髪の女戦士。手には星の槍。


「私は最後の守護者、セレナ。ここを通りたければ、私を倒せ」


林帆は氷の剣と星の短剣の二刀を構えた。


「望むところだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ