表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/112

氷の山脈

遺跡を出てから三日。


岩場は終わり、再び雪の世界が広がった。しかし以前の雪原とは違う。足元は凍りつき、風は刃のように肌を刺す。


「ここが…氷の山脈か」


林帆は顔を上げた。目の前には、そびえ立つ氷の峰。頂上は雲に隠れ、どこまで続くのか見えない。


羅針盤は震えながらも北を指している。針が示す方向に、かすかに氷の階段が見えた。誰かが削った跡。古代の修行者たちが作ったのだろう。


「登るしかないな」


「うん」


ヨルは首飾りの月の護符を握りしめた。護符が温かい光を放ち、二人の周りの冷気をわずかに和らげる。


一段、また一段。氷の階段は滑りやすく、少し気を緩めれば転げ落ちそうだった。


三十分ほど登ったとき、突然風が強まった。視界が白く染まる。吹雪だ。


「ヨル、手を離すな!」


彼は彼女の手を強く握り、しゃがみ込んで風をしのいだ。吹雪は数分で過ぎたが、二人の体は芯から冷え切っていた。


「はあ…はあ…」


「だ、大丈夫…」


ヨルの唇は紫色になっている。林帆は自分の外套を脱いで彼女に被せた。彼は三力循環で体温を保てるが、彼女にはそれができない。


「少し休もう」


岩陰のような場所を探し、二人は腰を下ろした。林帆は調和の剣に火の力を込めて、地面を少し温めた。


その時、氷の壁の向こうからガリガリという音。何かが氷を削る音。


「何だ?」


林帆が剣を構えると、現れたのは氷でできたトカゲ。体長は一メートルほど。目は青白く輝いている。


「氷のリザード。これまでの魔獣より素早い」


トカゲが壁を伝って飛びかかってくる。林帆は調和の剣で受け流し、氷の剣で胴体を斬りつけた。


しかし、手応えがない。氷の剣の冷たさが相手には通じない。


「くそ…同じ属性か」


彼はすぐに調和の剣に火の力を込め、反撃した。一撃。トカゲの体が溶け始め、悲鳴を上げて崩れ去った。


「はあ…相性が悪いな」


「でも倒せた」


ヨルが励ますように言う。


彼は彼女を支えて立ち上がり、再び登り始めた。


その後、氷のクモ、氷の蛇、氷の鳥――何度も襲われたが、そのたびに五行の火と星の力を駆使して撃退した。


夕暮れ時、ようやく山頂が見えた。あと少し。


最後の力を振り絞って登りきると、そこは広い台地だった。風はなく、空気は澄んでいる。中央に、氷でできた祭壇。


「星の祭壇…ではないな。これは中間地点か」


祭壇の上に、一振りの短剣。鞘には星の紋章。引き抜くと、刃は透明で、中に無数の星がきらめいている。


「これは…氷の剣と同じ素材?」


「おそらく対になるものだ。二つを合わせると、さらに強い力が発揮される」


林帆は新しい短剣を腰に差した。調和の剣、氷の剣、そして星の短剣。三本の武器を携え、ついに次のステージへ。


「ここから先は…もっと強力な敵が待っているかもしれない。覚悟はいいか?」


「うん」


ヨルはしっかりとうなずいた。


二人は山の反対側へ下り始めた。向こう側には、また別の荒野。その先に、本当の星の祭壇があるはず。


羅針盤はまだ北を指している。


まだ終わらない。旅は続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ