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湖底の決闘

男の手が光った。次の瞬間、林帆の眼前に鋭い風の刃が飛んでくる。


「ぐっ!」


彼は間一髪で横に跳ねた。刃は肩の袖をかすめ、壁に深い傷跡を残す。


「避けるか。なかなかやるな」


男は余裕の笑みを浮かべ、次の手を繰り出す。今度は三連続の風刃。左、右、中央。


林帆は短剣で中央の刃を打ち落とし、体をひねって左右をかわす。しかし最後の一撃が太ももをかすめた。熱い痛みが走る。


「ちっ…」


彼は後退しながら、傷口に血脈の熱を集中させて止血する。凝血丹を使うほどの傷ではないが、このままではじり貧だ。


「その短剣…いいものを持っているな。ますますお前を殺す価値がある」


男がゆっくりと近づく。まるで追い詰めた獲物を弄ぶように。


林帆は八本の気脈を全開にし、三力を調和の剣に注ぎ込んだ。刃が青白い光を放ち、周囲の空気が震える。


「おお?これは…」


男の表情が初めて変わった。油断から警戒に。


林帆は反撃に出た。一気に間合いを詰め、短剣を男の喉元に向けて突き出す。


男は体を反らしてかわすが、頬に浅い傷が入った。血の一滴が床に落ちる。


「この…雑魚が!」


男の手からさっきまでとは比べ物にならないほどの光弾が放たれた。林帆は受け止めきれず、壁に叩きつけられる。


「がはっ!」


背中から激しい痛み。口の中に鉄の味。しかし、短剣は離さなかった。


「死ね!」


男がとどめの一撃を放とうとしたその瞬間、林帆は壁の絵に手を触れた。それはさっきまで気づかなかったが、この部屋の結界を操作する仕掛けだった。


指に霊力を流すと、床の陣が突然輝き出した。


「なにっ!」


次の瞬間、男の足元から水が噴き出した。結界の一部が作動し、湖の水が逆流してきたのだ。


「このままじゃ部屋が水浸しになる!」


林帆は台座の玉片を掴み、全力で出口へ向かって泳いだ。背後で男の怒声が聞こえる。


「待てえええ!」


しかし、水流は急速に勢いを増し、男の体を押し戻す。林帆はその隙に階段を駆け上がり、湖面へと飛び出した。


岸にたどり着いたとき、彼は全身ずぶ濡れで、太ももと背中から血を流していた。


「はあ…はあ…」


もう少しで死ぬところだった。しかし、手には確かに四つ目の玉片がある。


彼はすぐに小屋へ向かって走り出した。男がいつ追ってくるかわからない。


その夜、傷の手当てをしながら、新しい玉片を既存の三つに合わせた。今や掌全体を覆う大きさだ。


玉片から新たな情報が流れ込んでくる。


『四つ集めし者、初めて“結界破り”の術を得る。五行の力を操り、あらゆる障壁を打ち破らん』


「結界破り…」


林帆は拳を握った。あの男はまだ自分より強い。しかし、これで少しは対抗手段ができた。


次の目標は、五つ目の破片。それが全てを決めるだろう。


彼は眠らずにそのまま修行を始めた。新しい力を使いこなすために。

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