帰還の門
町を出てから二日。
林帆とヨルは、再び世界の果ての門へ向かって歩いていた。以前よりも足取りは軽い。体内の力が戻りつつある実感があるからだ。
「あの門をくぐれば、また剣や杖に会えるね」
ヨルが嬉しそうに言う。林帆はうなずいた。
「ああ。あれらはただの武器じゃない。これまでの旅の証だ」
半日歩いたとき、視界の先に氷の壁が見えた。高い。しかし、以前よりずっと親しみやすい風景に感じる。
門の前に立つ。あの時置き去りにした剣、杖、宝玉が、地面に刺さったまま待っている。
「ただいま」
林帆が近づくと、剣がかすかに震え、光を放った。まるで帰ってきたことを喜んでいるかのように。
彼は剣の柄を握った。温かい。手に馴染む。
「戻ってきたな」
杖も宝玉も、彼の手に収まったとき、かすかに脈打った。
「これでまた、旅を続けられる」
彼が剣を背負い直したとき、門の表面が光り始めた。文字が浮かび上がる。
『力を取り戻した者よ、次の世界はさらに過酷である。覚悟はあるか?』
「ある」
林帆は迷わず答えた。ヨルも強くうなずく。
二人は門をくぐった。
今回の移動は、以前よりずっと短かった。数秒の浮遊感の後、彼らは新しい場所に立っていた。
そこは――海だった。青く透き通った海。空はどこまでも青く、白い雲が浮かんでいる。足元は白い砂浜。
「ここは…」
「世界の果てから、さらに新しい場所だ」
老怪の声が久しぶりに響く。
「この世界では、お前の力はほぼ完全に戻っている。ただし、新たな試練も待っているだろう」
林帆は拳を握った。力が溢れている。久しぶりだ。
「行こう、ヨル。この世界の何が待っているのか、見に行こう」
二人は砂浜を歩き出した。
波の音が聞こえる。潮の香り。暖かい風。
新しい旅の始まりだ。
まだまだ終わらない。




