星の涙の目覚め
塔から戻ってから三日。
林帆は毎晩、日記を読み返し、星の涙の秘密を探り続けた。日記には、石の使い方の基礎が詳しく記されている。しかし、完全に使いこなすには、特別な条件が必要だ。
『星の涙を真に目覚めさせるには、“星の夜”が必要。年に一度、全ての星が最も輝く夜。その時に石を天にかざし、星の光を浴びよ』
「星の夜…それっていつだ?」
林帆は町長に尋ねた。エドガーは古い暦を調べ、答えた。
「三夜後だ。この町でも、年に一度の星祭りが行われる」
「それまでに準備を整えよう」
それから三日間、林帆は塔で得た知識を基に、星の涙を浄化する方法を試した。毎晩、月明かりの下で石を清め、右手の紋章と共鳴させる。
三日目の夜。町では星祭りが始まっていた。広場にはランタンが灯り、人々が集まっている。林帆はヨルとミラを連れて、町の外れの小高い丘へ向かった。
「ここなら星がよく見える」
空は晴れ渡り、無数の星が瞬いている。特に北の星が明るい。
「そろそろだ」
彼は胸のポケットから星の涙を取り出し、天にかざした。右手の紋章が輝き、石が共鳴する。
星の光が一筋、石に吸い込まれていった。
石が震え、熱を持つ。彼の手の中で、青白い光が爆発的に広がった。
「うっ…!」
光が彼を包み込み、意識が遠のく。しかし、その中で彼は見た。剣が刺さっている門の場所。世界を越える門。そして、自分の力を取り戻す道筋が。
光が収まったとき、彼は丘の上に立っていた。手の中の石は、以前よりずっと大きく輝いている。
「戻ってきた…?」
「大丈夫?」
ヨルが心配そうに近づく。
「ああ。今、はっきりと見えた。剣と杖と宝玉が待っている場所が」
「行くの?」
「まだだ。まだ力が完全じゃない。もう少し、この世界で修行が必要だ」
彼は石を握りしめ、町の灯りを見下ろした。
星の夜はまだ続いている。
これからも、学ぶことは尽きない。
でも、確実に一歩ずつ前に進んでいる。
その夜、彼は夢の中でセレスに会った。
「よくやった。これでお前は、全ての世界を繋ぐ力の一端を手にした。次は、その力を使いこなすことだ」
目を覚ますと、朝日が窓から差し込んでいた。
新しい一日が始まる。
彼は石を胸に、また今日も歩き出す。




