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0003

 ほらほら。こっち来て。と誘われた先は俺の部屋だ。

 なにがほらほら。だ。俺の部屋だっつーの。

 「じゃあいくよ。オープンっ」

 なにがオープンだ。お前はれっきとした侵入し―

 「へ。は?」

 情けない声を出してしまったのに気付いたのは10秒ほど後。

 そこにあったのは何もかもが新品の俺の部屋だった。

 「ほら。凄いでしょ。いろいろ壊しちゃったから。一旦リアマルの世界に持ち帰って修復したの」

 リアマルの世界?なんだそれ。まあいい。

 全てが元に戻っている。いやそれ以上だ。確かに壊したのはあいつで直したのもあいつと言えば感謝の意思は極端になくなるが…なんかすごいな。

 「どう?凄いでしょ。なんかコメントしてよ」

 「………壊したのって誰だっけ…」

 「……すいませんでした!」

 朝と同じ絵。違いは背景だけでした。




 「おらおらおらおらおらおらおらおらおらっ!」

 おい自称美少女さんよ。これ育成ゲームだぜ。絶対掛け声違うよな。

 土下座1000回講習終了後(あ、これマジでやったから)。こいつが興味を持ったのは3年くらい前に買って放置していた育成ゲーム。

 もう3時間は余裕でやっている。

 その間俺はどうしてたかって?

 言うまでもないだろ。

 宿題やって昼食とって少し寝て…どうでもいいことをずっとしているだけだ。

 侵入者(自称美少女)が居るとはいえこんなイレギュラーな休み無駄に費やすのは時間に失礼だと言えよう。

 「あっ、負けちゃった。しょぼん」

 何に負けたのだろうか。あの育成ゲームに勝負事は一切なかったと思う。

 「進。他のゲームない?」

 「あそこにあるだろ。侵入者」

 「おっけーい」

 なぜ俺の名前をあいつが知っているのかって?俺が知りたいよ。

 「おっ、このゲーム面白そう」

 ん?あー格闘ゲームか。さっきのゲームとは系統が逆だな。

 「おーじゃあリアマルはこいつっ」

 パワー系か。まあ何でもいいが。

 「えーと。こいつのコマンドは…こうだっ」

 瞬間画面が光に満たされた。

 その後踊るWINの文字。

 いくらなんでもチートすぎるだろっ。

 「うーん。やっぱりつまんないなー。なんか面白いものでもない?」

 「…家に帰ったらどうだ?」

 「ぷー。進ったらひどい!」

 頬を膨らませて怒る。…ただのぶりっ子じゃねえか。

 「よし。じゃあ賭け事をしよう。負けたほうが勝ったほうの要求を一つ呑む。どうだ」

 「おもしろそーう。じゃあリアマルはこの家にずっと住むー」

 出会って1日も経っていない人の家に住むと言い出すのは…まあいい。

 「勝負内容は…」

 「勝負内容は?」

 「コイントスだ」

 「おー。おもしろそー」

 拍手をしている。のんきな奴である。

 「じゃあ表か裏どちらか選べ」

 「うーん。じゃあ表!」

 「よし。じゃあ俺は裏だ」

 「おー」

 どこに歓声を上げる要素があったのか。

 「じゃあいくぞ」

 裏を出すのなら表を上にして指の間接に合わせて…ほいっと。

 これでも小学生のときにコイントスを極めた男だ。

 弾かれたコインは放物線を描き、床に落ちようとしている。

 このままいけば裏であろう。勝ったっ。

 「じゃあリアマルも本気出しちゃおうかなー。コマンド。特技。ウィンド!」

 なんだ?そのRPGみたいな言葉―って風!?

 部屋の中で小規模の竜巻が発生しているだと…。

 「これがリアマルの特技の一つウィンドだ!」

 ウィンドだ!と威勢よく言われても訳が分からん。

 まず人に特技というコマンドは存在しない。

 「おーどうなるんだろ」

 コインは絨毯の上で1回跳ね、空中で数回転。

 そして落ちた。

 コインは裏でなく表を示している。

 「えへへ。これがリアマルの力だ!わっはっはっはっはっ―」

 おぅまぃがーーーーーーーーーーーー。

 これが人生最大の失態であろう。


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