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レストランを出て少し経つと外気に触れてすぐに寒くなった。
「本当のところを言うと……私はあなたを犯人ではないかと疑っている節がありました」
サムさんは呟くように言った。
「そうですか……」
「けれど今は違うと思います」
彼がそう言った瞬間、強い風に煽られて僕の帽子は飛んで行く。サムさんはすぐさま帽子を追いかけて拾うと戻って来た。
「すみません」
「いいえ」
サムさんはそう短く答えて帽子を僕の頭にかぶせてくれた。
次の日、三人目の失踪者が出た。名前は、メルヴィン・リース。二十六才の若者だ。僕とは一つ違いだ。
僕は出稼ぎも含めた労働者のいる地帯へ行きたいという欲求を抑えている。リジーの時はなんとか大丈夫だったが、今回ばかりはそうもいかないだろう。街の者は当然のことだが、自警団や警察に怪しまれたら……考えるまでもないが、おとなしくしていた方が身の為だ。下手をすると魔女裁判だ。
僕は角を曲がったところで急ブレーキをかけた。
なんと目の前にはまたもやあの不動産屋が……地面の上でのびている。周りには人だかりができており、みんなクスクスと笑っている。見ると高級馬車が壁にぶつかったのだろう。それは大破に近い状態でひっくり返り、粉々になった破片がたくさん散らばっていた。辺りを見回すとたくさんの警官の中にペルペ警部がいた。
「ペルペ警部。これは一体どうしたんですか? 事故ですか?」
「ああ。そうなのだよ。まったく新たな失踪者が出たと思ったらこれだ」
警部はそうぼやいて例の〝高級馬車〟を見た。近くでは御者が警官から話しを訊かれている。この前の時といい、今回といい、まったくこの不動産屋は枚挙に暇がないね。色々と……。
「じゃあ僕、配達に戻ります。ペルペ警部」
「そうか。気をつけてな。なるべく早く終わらせて帰りなさい」
「はい。それでは」
僕はそう返事をして走り出した。




