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雷が鳴ってから程なくして雨は降りだした。
その雨音を聴きながら、ゾーイ・トロープを回す。中を覗きこむと、たくさんの蝶が蜘蛛から逃れるように乱れ飛んでいる。蜘蛛に追われる蝶は、捕まった瞬間から非日常に落ちる。少しずつ体液を吸われ、死は忍び寄るように近づき……。
その扉は、この世界の人間すべてに対し開いているのだ。
昔から蝶が好きだった。地を這う様から蛹になり、空を舞う美しい姿へと変態を遂げる、蝶が……。
一度、蛹を切り開いたことがある。中は驚くことに液体と化していた。生体のすべてを溶かし、生まれ変わる……素晴らしいと言わざるを得なかった。
雷鳴は止むことなく空に轟き続ける。母はことあるごとに言っていた。「悪いことをすると、神の怒りである雷がお前の頭を打ち砕く」と。……神の雷……天の裁き……。今の自分であれば、そうなってもおかしくはないだろう。
この世に産み落とされ、洗礼を受け、神の子として認められた自分が人を手にかけている。あまねく天空に存在する神は、はるか高き天より自分の所業を見下ろす中、そのことをどのように思われているのだろうか。
ゾーイ・トロープを回す手を止め、席を立った自分はランプに火を灯し、地下室へと下りた。足音に気づいたのか「ここから出してくれ!! 家族が、家族が待っているんだ!!」と、鉄格子を掴み、叫び、懇願するさまを一瞥してから、手袋をはめ昨日届いた猫を剥製にするための準備に取りかかる。処理の過程で中身を掻き出すと、子宮からは小さな猫がたくさん出てきた。




