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先程、死刑囚の献体を処理した生徒は、モルグを出たあとに吐いて保健室に運び込まれた。
階上へ出ると、向こうからアイラが歩いて来ていた。彼女は僕と目を合わすことなく通り過ぎて行く。けれど、精一杯、僕を見ないようにしていることは分かっていた。強張った表情……とかく、きつく結ばれた彼女の唇を見て。
正直なところ、彼女がすんなり諦めてくれてよかった……と僕は思った。前の同性の時にはつきまとわれて参ったからだ。二年上だったが、「君が受け入れてくれなかったら、僕は死ぬ!!」と舞台役者も顔負けのことを言っていた。正直、ではそのまま死ねばいいと何度思ったことだろうか。
愛の言葉をこれでもかと書き連ねた手紙を持ち、スクールの玄関で待っていたり、真珠のカフス・ボタンを贈られた上、「君の美しさは、奇跡だ。何者にも代えがたい……」と言われた時は流石に総毛立った。
ことの重大さに気づいたご両親は、彼を病院へ入れた。そうして、結局、情熱を勉学に転化することのできなかった彼は休学することとなった。置き土産を残して……。
――ポズウェルは男さえ魅了し、虜にする。
爬虫類の他に、僕を揶揄する新たな言葉……アンティノウスが加わった。




