表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
G県N市連続電車飛込事故について:「謎を解かない系探偵」原アイラはぶん殴る!  作者: 井越歩夢


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/26

その3:2026年2月25日水曜日・G県N市新町交差点「BARアムリタ」①

=1=


2026年2月25日、水曜日。時刻は19時30分45秒。


ここしばらく晴天続きで空気は乾燥し、連日のように防災無線が火の元への注意を呼びかけていた。 そんな中、この日は久しぶりの雨。N市のどこかしこに、ちょうど良い湿り気を与えてくれる“恵みの雨”と言っても過言ではない、ある意味ではいい天気だった。


窓の外から【サラサラサラサ】と静かに響く雨音。 それを背景に流れるJAZZの音色が心地よく耳に馴染み、 二人は互いの“至福の一杯”を味わいながら、いつになく静かな会話を交わしていた。


BARアムリタ。 バーテンダー・柴山アオイと、バーメイド・柴山シンジュの二人が営む、市内唯一の本格BARである。N市駅前には居酒屋などの飲み処が多く、どこも毎夜賑わいを見せているが、その中でもアムリタは“静かにお酒を楽しむ人々”が集まる場所として知られている。どこから話を聞きつけたのか、遠方から訪れるファンも少なくない。


BARタイムには少し早い20時前。

この時間帯に好んでここへ足を運ぶ客が、4人いる。


市内の企業に勤める会社員・天野レイア。

ヨミノカウンセリング室の心理カウンセラー、黄泉野カレンと真城ナミ。

そして、街の御用聞き――自称探偵の原アイラ。


彼女たちはこの店の常連であり、バーテンダーの柴山アオイ、バーメイドの柴山シンジュ夫妻とは、長い付き合いの友人でもあった。そして今日は、原アイラと黄泉野カレンの二人が、駅前通りを見下ろせる窓際の席で、静かに互いの好きな一杯を楽しみながら、“仕事の話”をしているのだった。


◇◆◇


「いろいろ調べてみたけど、結論、何の成果も得られませんでした。」


カクテル“ユニコーン”に静かに口をつけながら、カレンがぽつりと漏らした。

常に沈着冷静で、どこか達観した雰囲気をまとっている彼女だが、このときの表情はわずかに不機嫌そうに見えた。その理由は、まさに今の言葉に集約されているのだろう。


「あー、そっか。まあ、俺も同じ。台湾酒場で別れたあと、すぐにN市駅へ行ってみたんだけど……その時は“何もなさそう”としか感じなかったなぁ。」


アイラもそう言って、ふう、と一息。大きさで言うなら“中の小”くらいのため息を吐いた。ロックグラスの“オールドファッションド”が、氷の音を【カランー】と鳴らす。


「“いるにはいる”んだよ。でもさ、そういうのではいないんだよな。」


「過去に“あるにはある”のよ。でも、今回につながりそうなものはなかったのよね。」


アイラもカレンも、ここ数日「G県N市連続電車飛込事故について」調べ続けていた。

だが、どちらも“これだ”という決定的なものは見つからず、「あるようでない」という半端な地点から先へ進めずにいた。


唯一わかっていることと言えば、2月13日・金曜日の三件目以降、幸いなことに同様の事故は起きていないということだけ。


「見えない何かが原因だとしたらさ……その“何か”はもう気が済んだからって、どっか行っちまったとか。」


「まあ、それもあるかもしれないね。たまたまここにいて、やることやって、はいさようなら……みたいに。」


「おいおい、カレン、言い方。」


そんな軽口のあと、二人はどちらともなく、そして申し合わせたわけでもないのに、寸分違わぬタイミングで【はぁー】とため息を吐いていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ