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達成率999%のゲーム世界に転生した俺、攻略知識を使うたびにシナリオが崩壊していく〜攻略者の因果律〜  作者: @太郎
王都へ

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第17話 想定外

部屋に、リツだけが残された。

 

その直後だった。

 

「おい」

 

後ろからガーランドの声が聞こえた瞬間、身体が動かなくなった。

 

動かせないのではない。ガーランドがこちらに何かを向けており、身体がガクガクと震えて恐怖で動けなくなっているのが分かる。圧が高すぎる。皮膚にビリビリと感覚が走り、呼吸がしづらい。

 

「リツと言ったな。お主どこからきた」

 

(何だこの展開。ゲームではこんな展開はなかった)

 

「その道具、イェゼルデの蒐集品のはずだが、なぜ持っている」

 

「しゃ……べれ……ない……」

 

かろうじて声を出すと、圧が少し弱まり、リツはその場に倒れ込んだ。

 

「ハァハァハァ」

 

「それで、なぜだ」

 

(まずい、なんて言ったらいいんだ。頭が回らない)

 

「ふん」

 

何が起きたのか、最初は分からなかった。

 

音が先に来た。骨が折れる、乾いた音。次の瞬間、右足に焼けるような激痛が走り、リツは床に崩れ落ちた。足があらぬ方向に折れ曲がっているのが見えた。見なければよかった。

 

「早く答えろ」

 

ガーランドの声は、変わらず静かだった。怒鳴っていない。それがよけいに恐ろしかった。

 

激痛で頭が回らないが、何か答えなければならない。

 

「焼けた魔女の家を見に行ったんです。そこで……拾ったんです」

 

「コソ泥が。なぜ先の少女につきまとっている」

 

(ダメだ、悪い方向にしか行かない)

 

「……くっ、ガーランドさん、僕は……異世界からきた……変人(かわりびと)……です。これからの冒険に必要だと思い、確かにイェゼルデさんの家から拝借しました」

 

変人(かわりびと)だと? 適当なことを言うな」

 

(証明なんてできない)

 

「ぐぅ……証拠はないですが……ただ、この世界で起きる大きなことは分かります……それが起きれば、証明することになると思います」

 

冷や汗が止まらない。ガーランドは無表情で黙ってじっとこちらを見ている。

 

「次の冬、神聖教会の強行派が分離し、シンラというリーダーを筆頭にした先導の民という組織が立ち上がります。そして、王都が攻められ、大きく損害が出ます」

 

「ふざけるな」

 

今度は指だった。右手の人差し指に激痛が走り、視界が白くなりかけた。痛みで気絶しそうになる。このままでは死んでしまう。

 

「……もし……そうなったら、必ず地下を守ってください……そこから損害を多く受けます」

 

ものの数秒だろうが、激痛に耐える時間はとても長く感じた。

 

ガーランドは沈黙を止め、一言呟いた。

 

「ふむ。理由は分からないが、適当なことを言っているわけではないようだな。まあいい。どのみちここで殺すことはできんし、お前のような弱さでなんぞかに関わっていることも考えられんのは分かる。早々に出ていけ。ちょうど冬までは彼女も訓練だ、それまでは接触するな」

 

そう言うと、足を光が包み、折れていた足と指が元通りになり、痛みもなくなった。

 

大量の汗と荒い息遣いだけが残ったが、できるだけ早く立ち上がり、失礼しますと一言言って足早に退出した。

 

 

身体への被害はないとはいえ、強烈な殺意を向けられたことに対する疲弊が激しく、どっと重い体を引きずりながら元来た道を戻った。

 

詰め所の近くまで来たところで、見覚えのある姿が見えた。ハナだ。

 

「やあ、リツじゃないか〜。ガーランド先生のところへ行ってきたのかい?」

 

「そうです。今その帰りで」

 

「……顔色がだいぶ悪いが大丈夫かい? ルアちゃんは〜?」

 

「はい、大丈夫です……ルアはガーランドさんに師事させてもらえることになったみたいで。これから宿舎に泊まって修行に励むそうです」

 

「お〜、ガーランド先生の弟子か。それは大義だね。将来が楽しみだ」

 

「ハナさんも戻ってこられてたんですね」

 

「ちょうど先ほどね。戻ってくるときにダリオさんとも話したけど、とても心配してたよ。また顔を見せてあげな〜」

 

「分かりました。調査の方はどうだったんですか?」

 

「ん〜まあちょっと色々ね〜、そんなたいしたことないよ」

 

話していたら、事務所のような場所から扉を開く大きな音がして、体格の良い若い男が飛び出してきた。

 

「ハーーーナーーー!!!西ケレあたりで遺跡が出たのか!?!?」

 

一瞬、遠くに見える他の王国騎士団員も動きを止め、一斉にハナの方に注目が集まり、静寂が訪れた。

 

「うわぁ……」

 

ハナがため息混じりに呟く。

 

「一気にみんなに伝わっちゃったけど大丈夫ですか……ケイジー」

 

「何も問題はない! 出ているものは変わらん!!!」

 

ケイジーと呼ばれた男はまだ若そうに見えるが、隻眼で赤い長い髪をポニーテールにしていた。

 

「はぁ……そうですね、報告書のとおりですが、西ケレからの要請で見てきました〜密林の中にできてました〜。鳥人族(オスカー)が飛んでて見つけたそうです」

 

「遺跡の発見かあ、三年と二百三十二日ぶりだなぁ」

 

「はあ、いつも通りですね。大雑把なのか、几帳面なのか……」

 

即座に細かい数字を取り出し、しみじみと語るケイジーに向けて、ハナが少し引いたような顔をしている。新鮮だ。

 

「ということで、リツくん、すまないが団長と話してくるので、また今度。今家にいるのだろう? 夜にでも話そう〜」

 

「おお、失礼。話し中だったのか。見ない顔だが、オーガスト家の客人かい?」

 

「そうです〜弟のスルギと一緒に段超え試練(ディグニタス)をクリアして、探索者(シーカー)になったばかりのリツくんです〜」

 

「そうか、私は王国騎士団団長のカラック・グローリア。通称ケイ・ジーだ。よろしく! 頑張ってくれ!」

 

「は、はい、ありがとうございます」

 

(団長はゲームでも見たことがあったが、こういう勢いだったのか。なにか凄まじいものを感じる)

 

疲れた、とリツは思った。

毎日21時更新です。次話もよろしくお願いします。

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