表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
達成率999%のゲーム世界に転生した俺、攻略知識を使うたびにシナリオが崩壊していく〜攻略者の因果律〜  作者: @太郎
王都へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/27

第15話 変人

「そうだねえ、さすがにスキルを覚えたいし、どうしよっかね」

 

スキルは知識と経験で覚えるものだと、ダリオの修行時に聞いていた。

 

ゲームではクエストをこなしたり戦闘を進めていると閃く形だったが、実際にはちゃんと知識を得て経験を積まなければならないらしい。特に高位職になると、複数職業への理解を深め、研究や研鑽を重ねてスキルを開発していく必要があるという。

 

ゲームの背後に、そんな涙ぐましい努力があったとは。そしてそれを自分が体験することになるとは。

 

一般的な探索者(シーカー)がどう知識と経験を積み上げているかといえば、職業ギルドで基礎座学を受けた後、師弟関係を結ぶのが一般的だ。ゼミのような形で師に見てもらいながらスキルを身につけていく。王立図書館や訓練場での自主学習、スキルブックや奥義書を使った習得という方法もあるにはあるが、まあそういうやり方を取る人もいるという感じだ。

 

「あっ、スキルと言えば、レベル10の段超え試練(ディグニタス)が終わってるなら、戦型(イクサガタ)を調べないとだ!」

 

リツが思いついて声を出した。

 

「え? 戦型(イクサガタ)ってなに?」

 

「え?」

 

リツとスルギが目を見合わせる。

 

「それぞれ、盤石型(モノリス)尖塔型(スパイア)波紋型(リップル)共鳴型(レゾナンス)、あと天才型の……蛹型(クリサリス)だっけ? え? 判別方法も? 知らない?」

 

「ええ、そんなのがあるんだね!? 学校では習わなかったよ! それも判別方法があるの?」

 

(あれはゲーム上の設定なのか。これは後でステラに確認だ)

 

盤石型(モノリス)はスキルはかなり覚えづらいけど、基礎身体能力が高いパターンが多い。尖塔型(スパイア)は習得範囲は比較的広くはないが、縦にスキルを積み上げていく能力が高い。波紋型(リップル)は逆にジャンルを問わず横に幅広く覚えられるけれど、ただし上位への壁が厚く、器用貧乏になりがち。共鳴型(レゾナンス)はツリーの階層構造を無視し、本人の感性や相性が合うものは飛び地で習得できるムラっ気タイプだね。あとは、ずっとスキルが得られないけど、ある一定の閾値を超えた瞬間、蓄積された経験が一気に爆発してツリーが完成する蛹型(クリサリス)もあるらしいけど、なんか都市伝説みたいな感じだったけどね」

 

「都市伝説ってなに? それで言うと、ノワールの11人の勇者様が蛹型(クリサリス)のことだと思うよ」

 

「ええ、そうなの!?」

 

思わずリツが素で驚く。

 

「そうなんだ〜、私は何かな〜、どうやって判別するの??」

 

「まあ、全員基本的にこれに分類されるから、あくまでも目安だし、そこまで気にしすぎないでね」

 

「まあ、まあ、一回やってみようよ。リツ一回やってみてよ」

 

(ちゃんとしたやり方があっているかわからないが、中学生の時に学校で流行っていたから、誰もが一回はやったことがある。いわゆる中二病というやつだ)

 

心に宿る炎「心核」に、イメージを集中させて、燃え上がらせるイメージで……。

 

半信半疑で試すと、徐々に腹の奥底にある光が燃えていくのが分かった。おぉ、できそうだ。

 

(ジリジリ……ゲームでもこれは全キャラクター完全ランダムだし、できれば、リップル以外……)

 

心核が燃え上がり、そのまま火花が散り始めた。

 

「やっぱり……器用貧乏波紋型(リップル)だ……」

 

今までの社会人生活でも十二分に発揮してきた器用貧乏が、ここにも染み付いているらしい。波紋型(リップル)もいいのだが、スキルのショートカットできる覚え方はいくつか知っているし、どうせなら高位に上げやすいほうが良かった。

 

「へーー、どうやってやるの!!」

 

ルアに急かされて、説明してみる。スルギとルアがそれぞれ集中しだした。

 

「僕は炎が大きくなっていくね」

 

「私はね〜、なんかゆっくり煌々としてる感じ」

 

「スルギは尖塔型(スパイア)で、ルアは珍しいけど共鳴型(レゾナンス)だね」

 

「っぽいっぽい」

 

「じゃあ明日それぞれで職業ギルドに行こうか。さっき父上とも話したけれど、大体一週間後くらいに面談の機会が得られそうってことだったから、それまでにできる限り訓練しようってことで」

 

「俺はちょっと図書館に行くよまず」

 

「そっか、執事に案内してもらうといいよ。僕らの修行スピードに出遅れないようにねえ」

 

 

スルギとルアは朝早くから職業ギルドに向かっていった。ルアはずっと緊張する〜と言っていたが、魔法を覚えるのは楽しみだったようで、不安とワクワクを入り混じらせながら向かっていった。

 

街を歩きたいからという理由で執事の案内を断り、リツはまず改めてセンテに会いに出かけた。

 

「よう、待ってたよ。人目のないところで話そうか、こっちにおいで」

 

案内されたのは個室のある飯屋だった。

 

「すごいな」

 

「深淵大陸に出ている奴らなんて大体そうさ。生きていれば金もあるからね」

 

「それで? 今日は猫の女の子は一緒じゃないのかい?」

 

呼びかけると、ステラが出てきて人の姿になった。センテがお嬢ちゃんもご飯を食べようとのことで、三人で並んで話すことになった。普段はルアとスルギにも説明ができていないから、こうしてステラが普通に出てきて話すのはリツも初めてだった。

 

「そうだな、改めて、お前変人(かわりびと)だな」

 

「いや、嘘を言っているわけではなくて……」

 

「あぁ〜そうじゃない。異世界から来た人を変人(かわりびと)と呼ぶんだ、だから信じてるよ」

 

(なんでそんな変な名前で呼ぶんだ)

 

「え、ってことは他にも?」

 

「いや、殆どは噂とか嘘みたいな類の話だけど、竜殺とか勇者はそうなんじゃないかって言ってるやつもいる。僕は深淵大陸でも明らかにこの世界のものには見えない遺物なんかも見るからね、そういったこともあるのかなと思ってたってだけだよ、他の人が聞いたら盲信者だと思われるかもね」

 

(自分以外にもここに来ている人がいる可能性がある。その展開はあまり考えていなかった。大体の転生マンガは自分だけのはずだが、違うものもある)

 

「で? 変人(かわりびと)の君は、なにか特殊な力を持ってたりするの?」

 

「俺の場合は、そのゲームっていうのをやり尽くしていたから、シナリオに精通しているってところかな……」

 

スキルなどは言及を控えた。

 

「ステラ、他になにかあったりするの?」

 

「さあ、わかりません」

 

(わからないことがあるのか)とリツは思ったが、ステラはそれ以上話す気はないようだった。

 

「ところで、ステラちゃんは何者なんだい?」

 

「彼女はナビゲーションキャラクターで……そう言われると何者?」

 

ステラは答えない。

 

「そんなわけないだろう、僕から見るとナビゲーションキャラクターなんて存在は、かなり異質すぎる存在だよ。君、セーステスだろう?」

 

「いえ……違います」

 

感情などはないと思っていたステラから、感情のようなものが見えた気がした。

 

(セーステスだって? 確かにできることの近しさはあるが、違いすぎる。セーステスは神聖教会が作っている、精霊の残滓を人にまとわせる魔道具だ。精霊変体ができるため姿を変えられるのが特徴だが、精霊側によるイメージに近くなるはずで、もっとゴツいのばかりのはずだった)

 

「遺品や呪いをずっと触っているだけあって、魂の感覚に敏感でね。混ざっているように見えるけどね」

 

ステラは引き続き黙っている。

 

「まあいいや、彼女の経歴までは条件に入っていない。一旦素性もわかったし、パトロン契約の方に移ろう」

 

センテが魔法契約書を出して取引内容を伝えると、文字になって浮かび上がり、同意する旨を言葉にだすと消え、肩に少し熱が走った。

 

「契約印どこにつけるか知らないだろう? 一般的だから肩に付けておいたよ」

 

自分の肩を覗くと、確かに一本の黒い線が引かれていた。センテを見ると、服を少しまくりあげて、線がびっしり入った下腹部をちらりと見せてくれた。

 

センテと別れた後、予定通り図書館へ向かった。

 

住居区にある図書館は、執事から発行してもらった案内証を持って入れたが、とてつもない広さだった。

 

とりあえず情報を知らないと話にならない、とリツはとにかく調べまくった。それを毎日繰り返した。

 

学生の時ですら朝から晩まで図書館にいることはなかったが、大雑把な知識を得ていくためだけならかなりの冊数が読める。ゲームで味わっていた点と点が線になったり、知らなかった背景情報が網羅されたりすることが多々あった。

 

気になったのは、五日目に読んだ変人(かわりびと)の記録だ。

 

——ジャーナリスト、ホリーの提言——

 

「神聖教会が崇める神『ルーン』は変人(かわりびと)に起源を持つのはご存知だろうか? 変化の時、変化の力を持つものが現れ、変化を正す。変人(かわりびと)と呼ばれる力を持つ人は現れては消えていく……その理由は大いなる野望に隠されているのではないだろうか。次週その謎を解き明かす旅に出る。」

 

神聖教会が崇める神と、変人(かわりびと)。まったく関係のないはずの二つが、この文章の中で繋がっている。変化の時に現れ、変化を正す——それが変人(かわりびと)だとすれば、自分はその「変化」とやらの中にいるのだろうか。

 

次の巻以降を探したが、ホリーという名前はどこにも出てこなかった。旅に出ると書いて、消えた。

 

 

「おい、久しぶり!」

 

いきなり声をかけられて振り返ると、浅黒い肌を大胆に露出した女性が顔を近づけていた。

 

「おわっ! レイアさん!!」

 

「勉強熱心だね〜」

 

「どうしたんですか! なにか調べ物??」

 

「そうだね〜、パーティもあの一件で解散しちゃったから、一旦修行でもしようと思ってね」

 

(さすが高位探索者(シーカー)だ。あれだけの事件の後でも、もう次を見ている)

 

「少年、いま感心しただろう。私はこう見えても座学から入るスタイルだぜ」

 

図星すぎて苦笑いするしかない。

 

「ここで読んだ知識を、実践するんですか? レイアさんレベルでも、座学で学べるものがあるんですね?」

 

「あぁ、斥候職だと流石にもう実務じゃないとだね。職拡張して上位職を狙おうと思ってね〜。戦士とかかなと。私の銃みたでしょ? あれも魔法弾使ってるから魔法も少しだけ使えるけれど、魔法系は強化をすると時間がかかるだろうし、戦闘力強化を模索中ってこった」

 

(斥候で銃使い、魔法が少し使える、戦闘力強化を検討中。頭の中で、情報が整理されていく)

 

「レイアさん、いいこと閃いたんですが、ちょっとノリません?」




毎日21時更新です。次話もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ