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地球人に人権がない銀河で、零細猫耳社長にスカウトされました ~生体パーツ扱いのどん底から操縦チートと拿捕ビジネスで成り上がる~  作者: 星灯ゆらり
第5章 猫耳の国を作ります

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83.非登録の人類、1名

 猫ボート(正式名称は『ベリル運送規格の猫タグボート』)がトラクタービームで牽引してきた小惑星が、母港に搭載されたタキオン砲(正確にはそれから飛び出すタキオン粒子)により、包丁で切られた豆腐であるかのように『分解』される。


『成分分析が終わったらタグをつけて!』


『こら新入り! デュプリケーターに近づくな! 死にたいの!?』


 『分解』されても地表の有数のビルほどはある元小惑星に、EVA中の社員たちが近づき、チェックをして、結果をタグに残してから次の塊へ向かう。

 拿捕猫耳と比べると仕事は遅いが、数は非常に多い。


『私、結構な難度の試験突破したんですけど!?』


『そんなのみんな同じよ。試験を突破したから搾取もされずに海賊も襲って来ない場所で働けるの! 授業料も稼げるの! ほら次のチェックへ向かう!』


『デュプリケーターがEの52を吸い込むから、まだ近くにいる人はすぐに退避ーっ!』


 社員用のパワードスーツより学生用のパワードスーツの方が圧倒的に多い。

 元小惑星であるビルサイズの資源から、複数のパワードスーツが離れていく。

 特大のデュプリケーターは到達と同時に資源を完全に分解して、大量のゴミと猫輸送船を生み出した。


「キン姉。猫輸送船を量産する機械を作るとかできないの?」


 現場の様子を超光速通信網経由で見ながら、ベリルがキンに質問する。

 今日は珍しく、家族そろっての外食中だ。

 母猫耳と結婚した地球人が港湾区に出した店で、船乗り用のレストランだが、凝った鶏肉料理を出す人気店だ。


「ベリル。おめーなー。分遣艦隊も普通に光速の1万倍以上で飛ぶにゃ? それについてくんだから、要求される精度も桁違いにゃ」


 特大のドンブリに盛られた親子丼を、オタマじみた特大スプーンで食べているキンではあるが、食べカスが飛び散ることもないし口元が汚れることもない。

 器用さも注意力も極まっているのだ。


「にゃ?」


 茶碗サイズのドンブリと通常サイズのスプーンで真似しようとしたトーティが、力加減を間違ってスプーンに載せた『一口分』を吹き飛ばした。


「食べるときは食べることに集中しなさい」


 ブルネットは猫耳の中では体力も腕力も平均程度だが、俺とは比べものにならないほど身体能力が高い。

 吹き飛ぶ途中の『一口分』をやや大きめのスプーンでキャッチして、そのままトーティに食べさせた。


【おいしい!】


 厨房から驚いた気配が生じたが、俺たちの母港で働く以上は勘弁してもらおう。

 もちろん事前に了解はとっている。

 実際に【声】を聞くと全員驚くがな。


「う、うん。……みんな独自スタイルすぎない?」


 ベリルは、俺が知っているものとは少しだけ違うスプーンとフォークを綺麗に使いながら親子丼を食べている。


「ベリルちゃん。ここは私たちの母港よ。私たちのやり方を余所の人間に強制するつもりはないけど、私たちは私たちのやり方でいいの」


「外で食うときは、ベリル運送の船の中でしか好き勝手できねーけどにゃ。もう一杯たのむにゃ」


「キンさん。あまり食べすぎると戦闘に向かない肉が付きますよ」


 適度にふっくらしたキンは非常に魅力的ではあるんだが、これで拿捕ができるのかと心配になる。


「健康的に肉がつくほど出世したってことにゃ。しかし卵もうめーにゃ」


 店主自ら運んできた特大ドンブリを受け取り、テーブルに置かれた容器から刻み海苔を振りかける。

 そして食らう。

 俺だと若い頃でも特大ドンブリひとつで限界だが、キンはふたつめを平然と食べている。


【わたしもお外いきたい!】


 トーティが突然そんなことを言い出した。

 学費稼ぎを兼ねたEVA実習をする学生たち(と監督担当の社員たち)を見た影響だろうか。


「姪ちゃんにはまだ早いかなー」


【私、そーじゅーうまいよ?】


 ベリル社長相手に真正面からプレゼンをする娘が頼もしい。

 そんな俺を、キンが呆れた目で見ながら食べ続けている。


「サルもブルネットも、甘やかすのもほどほどにするにゃ。外に出たら襲われるってことをしっかり教えとけにゃ」


「それだけじゃないよ? 避けようとがんばっても戦闘に巻き込まれちゃうからね。戦えば何が起きるか理解できるまでは、駄目だよ?」


【むー!】


 年長者として諭すベリルは珍しいが、本気でむくれるトーティは最高に可愛く、珍しい。


「ブルネット。トーティに何かありましたか?」


「シミュレーターにこっそり参加して、ダメ人間と会話してしまったみたい」


 俺はうっかり娘を【見】てしまわないよう気をつけながら、シミュレーターのログを閲覧する。


 スコアはベリル社長が圧倒的トップ。


 第2集団はスッスと船長猫耳たち、そしてシミュレーターを使いに通っている光翼人間たちだ。

 操縦だけなら下僕も第2集団入り確実なんだが、敵であっても殺せば悩んでしまう精神の持ち主たちなので、実戦を想定したシミュレーターだとスコアが低めに出てしまう。


 第3集団は、猫巡洋艦船長を目指す船長候補たちと下僕たちと、俺だ。

 実は俺のスコアは低い。

 同一条件で競争すると体力や頑丈さの不足がとてつもなく足を引っ張り、自力センサーを駆使して稼いだスコアが大幅減点されるからだ。

 俺が戦場で活躍できているのは、操縦者への負担が異様に軽いベリル号のおかげだ。


「トーティのスコアは第2集団なのですか!?」


 つい大声が出てしまった。

 俺のスコアを超えていると知らされると、驚きと喜びと危機感で頭がぐちゃぐちゃになる。

 いやしかし、最下位とはいえ第2集団入りというのはすごいことだ。

 うれしい。


「船長猫耳も、シミュレーター目当てに通う光翼人間(銀河通商の第7営業艦隊勤務)も、アクが強いから……」


 スッスについては言うまでもない。


「将来、パイロットや船長になるなら絶対にコネを構築すべき相手はありますが……」


 俺たちは目立たないよう小声で相談する。

 しかしよい案は思い浮かばない。


【お父さん!】


 そうしているうちにトーティが助けを求めてきた。

 【お父さんなら社長を説得してくれる】という、俺を信じ切った目が嬉しく、同時に責任の重大さで身が引きしまる。


 ここで甘やかしてはいけない。

 しかし厳しくするのは、必要なとき限定の手段であって目的ではない。


 海賊であっても殺すということの重さを(俺個人は海賊の命の重さなんてないも同然と思っているが最初から俺みたいに極端な価値観を持つのは良くない)教える必要がある。

 俺は必死に考え、選び抜いた言葉を口にした。


「明日、第1攻撃艦隊で、航路の安全確認をする予定です。トーティさえ良ければ連れていきますよ?」


 俺は、日和ってしまった。


【ありがとうお父さん!】


 トーティの満面の笑みが、何故か罪悪感を刺激する。


「サルさん……」


「サルくん……」


「サル……」


 俺は、ブルネットとベリルとキンから、『ダメ親父』を見る目を向けられていた。



  ☆



 結局、攻撃艦隊の出撃準備が整うまで3日が必要だった。


「防諜も護衛も徹底する必要があるっす! 星系管制が不在っすから、今マジでやばいっすよ! 第1だけで行くなんて論外っす!」


「白翼人間から輸送船8隻も注文が入ってるにゃ。この状況で護衛を用意するの、めちゃくちゃつれーにゃ」


 スッスは強い口調だ。

 キンは口調は大人しいが目の力がすごい。


「すみません。すぐに戻りますので」


 航路の安全確認といっても重要度は低い。

 分遣艦隊の移動中に、センサーを担当していた下僕が『遠くに小さな反応を感じた』情報をもとに、念のため調べにいくだけだ。

 何もなければ往復で4時間。

 途中でトーティが飽きてぐずるかもしれないのが、個人的には最大のリスクだ。


「私が船に乗るのも久しぶりね」


『僕が母港に残るのも久しぶりかなー』


 推定4時間の旅とはいえ油断はしない。

 ベリル運送最高のセンサーである俺と、ベリル運送最高の射手であるブルネットが同行する。

 ベリルが母港に残るのは艦隊の戦力低下に繋がるが、距離的にも時間的にも『短距離』なので問題はないと思われた。


 そして、俺たちは遭遇した。

 銀河通商のカタログ(代表的な他社製品も一応は載っている)に載っていない、異様に古びた武装宇宙港が、俺の自力センサーだけでなく、艦隊のセンサーで捕捉される。


「何なの、これは」


 特大タキオン砲を武装宇宙港に向け、猫巡洋艦16隻には情報による射撃支援を行いながら、ブルネットが警戒もあらわに呟いた。


『800年前の型の武装宇宙港に似てるっす。中央じゃ博物館に展示されてるのしか現存してないっすけど、ここは辺境だからデブリとして残ってても……いややっぱ不自然っす』


 800年前の地球なら海を渡るのも大変だが、この銀河の800年前なら普通に星系間移動が行われ、星間戦争だって行われていた。

 だから、高度かつ高性能な装甲が『宇宙線で色あせた』宇宙港があっても異常ではない。

 なのに、強烈な胸騒ぎがする。


【こんにちは!】


 トーティの【声】が宇宙に響く。

 惰性で行われる挨拶ではなく、特定の何かに対する挨拶だ。


「トーティ、あそこに誰かいるのですか?」


 俺は慌てて武装宇宙港を【見】る。

 最初に見たときと同じく、最低限のエネルギーすら残っていない、無人の宇宙港だ。


「にゃっ!」


 強い肯定と、家族と仲間だけでなく、初対面の何かに対する親しみ。

 俺がトーティの猫語から読み取れたのは、それだけだ。


『『『非登録の人類を確認しました』』』


 武装宇宙港にエネルギーが満ちる。

 急激すぎるエネルギーの流れに耐えられなかったエンジンとタキオン砲のいくつかが破裂する。

 そして、俺の自力センサーが過去最大級の警告を発した。


「艦隊全速! 急いでください!」


 俺は声に出す前にベリル号を最大限加速させるだけでなく、ベリルの次の優先度を持つ命令権を使い、猫巡洋艦16隻も強制的に加速させた。

 すぐに船長猫耳たちが操縦を引継ぎ、回避運動を開始し、武装宇宙港に向けたシールドを展開する。


『『『人類の総数……1名。野生生物と人工生物に誘拐されている模様。直ちに救出を開始します』』』


 武装宇宙港が爆発した。

 いや違う。

 爆発としか思えない膨大なエネルギーを使って、武装宇宙港が光速を突破したのだ。


『き、機動要塞っす!』


【すごーい!】


 スッスの悲鳴とトーティの歓声が響く。


『『『はい。我々はすごいのです。今度こそ最期まで、人類をお守りします』』』


 武装宇宙港のタキオン砲が猫巡洋艦を狙う。

 このままでは戦死者が出ると判断した俺は、相手の事情を無視して反撃および撃破を決断する。


『『『これで終わりにゃ!』』』


 回避、反転、一点集中。

 16隻(トーティが乗っているベリル号は最優先の護衛対象なので攻撃には参加しない)による攻撃は、『地球人奪還社の主力艦が搭載する特殊装甲』でない限り、俺たちが知るどんな装甲でも貫通できるはずだった。


「馬鹿な」


 タキオン粒子が、武装宇宙港を覆う装甲によって『受け流された』。


『『『誘拐犯の抵抗を確認。排除を開始……否定。人類保護を最優先……排除……保護……』』』


 言葉が繰り返される。

 俺の顔から流れた汗が、床へと落ち続けていた。

◆ ENEMY

◆ RUIN STATION ※現在進行形で崩壊中

船体:6 / 跳躍:2 / 航続:5 / 装甲:5 / 居住:0 / 船倉:0 / 兵装:4



◆ BERYL ATTACK FLEET

規模:4 防衛:8 遠征:13 ※第1と第2をあわせた評価


◆ BERYL THE GREAT MK3

船体:3 / 跳躍:4 / 航続:4 / 装甲:0 / 居住:4 / 船倉:0 / 兵装:5


◆ CAT CRUISER *16 ※1隻はスッス専用

船体:3 / 跳躍:4 / 航続:4 / 装甲:2 / 居住:1 / 船倉:1 / 兵装:4



◆ CREW

サル   |操縦Lv6-[衰弱Lv3]

ブルネット|事務Lv2+[射撃Lv3]

スッス  |操縦Lv3+[医療Lv2]

司令猫耳 |司令Lv1 [拿捕Lv2]

船長猫耳ズ|船長Lv2 [猫語Lv1]

拿捕猫耳ズ|整備Lv2 [白兵Lv2]



◆ FRIENDLY FLEET

◆ SUPPLY SHIP ※エネルギー補給用装備を搭載。高価な船

船体:3 / 跳躍:4 / 航続:4 / 装甲:1 / 居住:3 / 船倉:4 / 兵装:1


◆ CREW

ノワール |諜報Lv2[霊媒Lv1]



◆ BERYL DETACHED FLEET

規模:5 防衛:6 遠征:10 ※第1から第4をあわせた評価


◆ CAT CRUISER *4

船体:3 / 跳躍:4 / 航続:4 / 装甲:2 / 居住:1 / 船倉:1 / 兵装:4


◆ CAT DESTROYER MK2 *20

船体:3 / 跳躍:4 / 航続:4 / 装甲:1 / 居住:1 / 船倉:0 / 兵装:3


◆ CAT TUGBOAT MK2 *8

船体:2 / 跳躍:4 / 航続:4 / 装甲:1 / 居住:0 / 船倉:0 / 兵装:0



◆ CREW

船長猫耳ズ|船長Lv2 [猫語Lv1]

猫耳の下僕|操縦Lv3-[信仰Lv2]

新人船長ズ|船長Lv1 [従順Lv2]

新人下僕ズ|操縦Lv1 [信仰Lv1]



◆ RESERVE

CAT DESTROYER MK2 *1

大型輸送船 *1

通信系強化型低速大型船 *1



◆ BERYL DEFENSE FLEET

規模:3 防衛:8 遠征:8


◆ BERYL THE GREAT MK2

船体:3 / 跳躍:4 / 航続:4 / 装甲:2 / 居住:2 / 船倉:2 / 兵装:4


◆ CAT CRUISER *4

船体:3 / 跳躍:4 / 航続:4 / 装甲:2 / 居住:1 / 船倉:1 / 兵装:4


◆ CAT TUGBOAT MK2 *16

船体:2 / 跳躍:4 / 航続:4 / 装甲:1 / 居住:0 / 船倉:0 / 兵装:0



◆ OTHER SHIPS

船体:4 *1 / 船体:1 *7


◆ CREW

ベリル  |司令Lv3-[財産Lv6]

キン   |整備Lv3 [白兵Lv2]

拿捕猫耳ズ|整備Lv2 [白兵Lv2]

猫耳の下僕|操縦Lv3-[信仰Lv2]

ブラン  |秘書Lv2 [衰弱Lv1]

新人下僕ズ|操縦Lv1 [信仰Lv1]

母猫耳ズ |市民Lv2 [衰弱Lv1]

市民猫耳ズ|市民Lv1+[衰弱Lv1]

他種市民ズ|市民Lv1 [借金Lv1]


◆ CREW IN TRAINING

船長候補 |船長Lv1 [衰弱Lv1]

新人学生ズ|市民Lv1 [衰弱Lv2]


◆ CAPTURED

小型武装輸送船 *4 ※動力源として使用中



◆ CAN BE PRODUCED

船体:3 / 跳躍:4 / 航続:4 / 装甲:2 / 居住:2 / 船倉:3 / 兵装:3


◆ BERYL HOME PORT(7/7)

権利:2 / 規模:4 / 装甲:0 / 修理:3 / 居住:3 / 備蓄:0 / 兵装:3

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― 新着の感想 ―
パパ…よくないですよそれぇ… これ野生生物ってサルくんか ついに推定・謎の存在にまで人間扱いされなくなってる
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