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地球人に人権がない銀河で、零細猫耳社長にスカウトされました ~生体パーツ扱いのどん底から操縦チートと拿捕ビジネスで成り上がる~  作者: 星灯ゆらり
第3章 人権の値段

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46.猫耳の設計図

「「「にゃっ! にゃぁっ!」」」


「いい加減にするにゃ! ハードウェア的に専用機に改造するのがどれだけ大変か分かってるにゃ!?」


 戦力再編の話し合いは、予想以上に紛糾した。

 技術と資源に限りはあるが、ベリル運送は、戦力編成に口を出されるほどの大きな借りを、どの国にもどの企業にも作っていない。

 むしろ貸しが大量にある側なので、何を重視し何を軽視するかの選択を、自由にできる。

 だから揉めてしまう。


「こちらの資料をご覧ください。ご主人さまの成長速度が……」


 宇宙海賊にさらわれて生体パーツとしても利用され、ベリル運送に救助された後に猫耳の子供の信奉者になってしまった地球人女性たちが一番マトモという時点で、かなり終わっている。


「みなさん、これ以上は残業ですよ」


 俺が言葉をかけても誰も聞いていない。

 いや、スッスはちらりと俺を見たし、船長でもパイロットでもないブルネットは淡々と全員の勤務態度について記録しつつ頷いてくれたが、そのくらいだ。


「あなたたちは残業はまだ許可されていません。ブルネット、すみませんが」


「処置なしよ。一晩放っておきましょう」


「「「にゃ?」」」


 俺とブルネットは、数人の船長猫耳を連れて居住区へ移動した。



  ☆



「「「おじゃまします……」」」


 本当に珍しいことに、借りてきた猫のように大人しくしている。

 ブルネットはすぐに着替えてから、定位置の掘りごたつ(室温設定が『春』なのでこたつ布団はなし)に移動し、くつろぎ始めた。


「すげー」


「いいにおいにゃ」


「これ、おっちゃんのおっちゃんの家で見たにゃ!」


 『おっちゃんのおっちゃんの家』は、俺の実家のことだ。

 今では色々あって、銀河通商の社宅のような存在になっている。

 俺の親父とお袋は大家というか現地採用の料理人というか、定期的に連絡している俺も、具体的にどんな立場なのかよく分かっていない。


「おおー」


「これアニメででてきたにゃ!」


「きもちいー!」


 畳で転がるのまでは許容するが、爪研ぎは勘弁して欲しい……とは思わなくなった。

 既に畳を10枚以上駄目にして入れ替えているから、慣れてしまった。


「お邪魔するにゃ」


「「「キン姉!」」」


 わっと飛びかかった船長猫耳を軽々とキャッチして、そのまま運んで大きなソファーの上にひとりずつ座らせる。

 キンは自身の定位置である掘りごたつに座り、勝手につまみを取り出して食べ始めた。

 なお、キンがこれまで駄目にした畳は6枚だ。


「サルとブルネットの家は味が薄いのが欠点にゃ」


「文句があるなら食べなくていいのよ?」


 じろりとキンを睨むブルネットは、仕事中とは違って隙が多い。

 自宅で気を抜けるようになれたのは、とても良い変化だ。


「夕飯を運びますから机の上は開けてくださいね」


「「「にゃっ!?」」」


 船長猫耳たちが飛び上がる。

 激しくにおいを嗅ぎ、視線が料理に固定される。


「ちらし寿司にゃ?」


「はい。今日はしめ鯖と錦糸卵が多めです。少し甘めに味付けにしていますから、注意してくださいね」


「サル、おめーガキどもに甘すぎにゃ」


「キン。サルさんは子供たちにも甘いけど、キンにはもっと甘いと思うわよ? 新婚家庭に入り浸る妹をどう扱うのが正しいと思う?」


 くつろいでいるはずなのに、ブルネットの目はとても冷たい。


「運ぶの手伝うにゃ!」


 猫耳と尻尾に恐怖と服従の感情をあらわにしたキンが、慌てて食堂へ走るのだった。



  ☆



 頂きますの直後から無音になった。

 大口を開けてかきこむキンも、高速で咀嚼はしても食べかすは一切こぼさない。

 綺麗に箸を使って味わうブルネットも、所作は上品でも食べる速度はかなりのものだ。


「「「んんー♪」」」


 船長猫耳たちも、華やかな黄色のちらし寿司に夢中だ。

 1人につき寿司桶をひとつ用意したのに、もう底が見えてしまっている。


「お代わりはハーフサイズまでですよ」


 俺が食べているのがハーフサイズだ。

 あとどれだけ食べていいか理解した船長猫耳たちが、食べる速度をさらに加速させた。


 俺以外が食べ終わったのが数分後で、俺が食べ終わったのがそこからさらに5分後だった。

 猫耳にとって程よい温度の麦茶が配られ、船長猫耳だけでなくキンもだらけている。


「さて」


 盛り付けも容器の洗浄も厨房の機械が自動でしてくれるので、俺が実際にする後片付けは桶の移動と机拭きだけだ。

 家事が省力化されているから、他の重要なことに時間と労力を使える。


「進路相談です」


 船長猫耳たちに、それぞれ別のタブレットを渡す。

 これまでの実績から現在の能力評価、現在の収入や財産、将来の収入の予測や将来必要になる治療費(猫耳特有の短命デバフの解除)、妊娠出産や独立を選択した際に必要になる財産やコネなど、各個人にあわせた膨大なデータが映し出されている。


 特に後半は、子供に見せるには早い情報かもしれないが、猫耳の成長速度を考えても、この子たちの能力と活発さを考えても、もう触れざるを得ない内容だ。


「「「ぷらいばしーのしんがいにゃ!」」」


 船長猫耳たちの抗議の声は弱々しい。


「あなたたちの保護者は俺とブルネットです。忘れていたとしたら悲しいですね」


 普段の面倒はお猫様の下僕を自称する地球人女性たちが見ているが、法的な保護者は、ベリル運送最年長である俺たち夫婦が担当している。

 この銀河では年1回だけ軽く確認すれば十分な『義務』だが、俺もブルネットもその程度ですますつもりはない。


「先代のベリル号のパイロットに立候補し、実際に候補になったのです。あなたたちは、もう一人前なんですよ」


「「「一人前ならそーだんなしでいいにゃ?」」」


 多分、進路相談が何か分かっていない。

 俺の真剣さを感じて怖くなっているのだろう。

 なお、ブルネットは最近ずっと怖い。


「一人前なら他人の助けは有効活用するものですよ。何しろ一人前なんですから」


「「「そっかー」」」


 船長猫耳たちは素直だ。

 俺がシリアス顔で親身な雰囲気を出すだけで納得するのは、ちょろすぎる気もする。


「サルおめー。前職は詐欺師にゃ?」


「これは詐欺でも営業でもなく説得ですよ。本気で進路相談しますしね」


 給料だけで大口出資者になった俺と比べれば稼ぎは少ないが、この子たちはベリル運送最初期のベリル社長より稼いでいる。

 だから、いつ、いくら必要になるか正しく認識した上で、貯める必要がある金と使って良い金を判断できるようにする必要がある。


「どの進路を選んだ方がいい、とは言いません。ですが、どの進路を選んでも、何が必要になるか、この場で覚えていってもらいます」


「「「みぃ」」」


 哀れっぽく鳴いても、俺もブルネットもキンも騙されない。


「今日は泊まっていっていいにゃ?」


「いいけど、この子たちの布団やタオルも倉庫から出してきてちょうだい」


「ンなもん使えるようになるとは、にゃーたちの出世したものにゃ」


 進路相談は深夜まで続き、船長猫耳たちはぐったりしたまま風呂に入って寝間着に着替えて布団で眠りについた。


「いずれ、この子もこうなるのかしら」


 まだほとんど目立たないお腹に手をあて、ブルネットが戸惑ったようにつぶやく。


「先のことを考えすぎても身動きがとれなくなりますよ。今は、親子揃って直接出会えるよう、全力を尽くしましょう」


 異なる種族同士で、どちらも若くない夫婦の子供だ。

 健康で産まれてくれればそれ以上望むことはないし、仮に健康でなくても楽しく生きることができるよう、全力を尽くすだけだ。


「ええ。ありがとう。サルさん」


 ブルネットは、俺に見守られているのを確認することでようやく落ち着き、眠りに落ちることができた。



  ☆



「サルくんもお姉ちゃんもひどいよ! あとついでにキン姉も。僕、昨日仮眠室でひとりさびしくお弁当食べて寝たんだよ!?」


 翌朝。

 ベリル社長が俺たちの自宅に乗り込んできて、『ふしゃー』と威嚇した。

 一晩寝て完全に回復した船長猫耳たちは、ブルネットとの精神的な距離がかなり近付いている。


 少なくともおばさん呼びはなくなった。

 代わりに無意識に「お母さん」と呼んでしまうようになった。


「まあまあ。朝食はベリルの分もありますから」


 朝は忙しいのでつい雑炊を選んでしまう。

 今日は、肉だけ食べて野菜を残すようなことがないように、野菜の下に雑炊、その底に濃厚な肉団子を隠してある。


「むー!」


 ベリル運送のトップとして普段からストレスに晒されているんだから、日常では好きにふるまって欲しいと思っている。


 朝食が始まると、ベリルもよく食べた。

 俺は、今度はお洒落な容器ではなく、大型のドンブリを使おうと心に決める。


「ベリルちゃん。昨日は何か決まったの?」


「自称なんちゃらから拿捕した船の修理を優先することになったよ。あれ、戦闘力はそこそこだけど、航続距離が結構あって、しかも猫の巣号に搭載もできそうなんだ」


 ベリルが議事録データを渡してくる。

 先代ベリル号の専属パイロット選定は一旦保留。

 既存宇宙船の専用改造も一旦保留。

 ベリルが言ったとおり、まずは地球防衛艦隊から拿捕した船を、誰でも扱える戦力として復旧させることに決まったらしい。


「ベリル。載せるには猫の巣号の改造も必要にゃ?」


「改装は後でもいいの。今不足している戦力をある程度でも補うことができて、将来は猫の巣号に艦載機として載せてベリル号と行動を共にできる。他に選択肢はないでしょ?」


「修理と改造を並行するのは面倒にゃ」


 キンは文句は言うが拒否はしなかった。

 食器を空にして「うまかったにゃ」と言い残して職場へ走っていく。


 俺は被保護者と家族を送り出してから、食器を食器洗い機へ放り込み、部屋を軽く掃除してから、俺の職場へ向かった。



  ☆



「先輩! 銀河通商の輸送船が入港許可を求めてるっす!」


「あのサイズと形状だと母港に衝突しませんか?」


「ぎりぎりなんとかなるはずっす!」


 母港の管制をしていると、とんでもないサイズの船が近付いてきた。

 十字架型大型船8隻で減速を終えた巨大輸送船が、経済的な加速で……つまりゆっくり時間をかけながら、俺たちがいる星系に単独で向かってきたのだ。

 俺たちの母港は、星系外縁のカイパーベルトにある。

 だから最初に目指すのはおかしくはないんだが……。


「銀河通商の第7営業艦隊が必要とする物資を運ぶために、あのサイズの船が来たのですよね? 中に何が入っているんです?」


「これ、噂っすけど、通商が今後数年でベリル運送に売りつける高度技術製品をまとめて送り込んだって話っす」


 スッスは『噂』と言っているが、表情からも光翼の光り方からも確信のようなものを感じる。


「通商は俺たちをどうするつもりなんですか」


「そりゃどう考えても子会社化か協力会社化を狙ってるっす。中小企業を援助で飼いならすだけで先輩が手に入るなら格安っすから」


「古巣のことを、ずいぶんと警戒してますね」


「先輩。この程度なら、銀河じゃ『甘ちゃん』なやり方っす。先輩にへそ曲げられたら先輩を手に入れた後面倒だから気を使ってるだけっすよ」


「なるほど。貴重な情報をありがとうございます」


 巨大企業である銀河通商と比べれば、ベリル運送は非常に小さな企業でしかない。

 もっと力が欲しいと何度目になるか分からないことを考えながら、俺はベリル社長から許可を確認した上で、小惑星サイズの巨大船を誘導するのだった。



  ☆



 輸送船と母港がチューブ状桟橋で繋がってすぐに、ブルネットが俺と合流した。


「入社希望者?」


「ええ。輸送船に同乗していたらしいわ」


「奥方さま。マジっすか? 輸送船に同乗って、徹底的に安全かどうか調べられる割に、ほとんど荷物扱いっていう酷い扱いっすよ!? その分めちゃくちゃ安いっすけど」


「種族の欄を見て」


「……あー、そういうことっすか」


 種族の欄には『猫耳』と書かれている。

 社員不足解消のために『出資者でも孤児院在籍者でもない猫耳』を採用しようとして、その能力の低さと性質の悪さが理由で採用ゼロで終わった苦い記憶がある。


「猫耳にしては珍しく、正規の学歴を持っているわ。猫耳が教育を受けられる場所は極端に少ないから、ひょっとしたらベリルちゃんと面識があるかもしれないわね」


 どうやら、猫耳が学べる場所が本当に少ないらしい。

 銀河は壮絶に広大だ。

 人間が居住する星系は極僅かとはいえ、『ベリルちゃんと面識があるかもしれない』レベルで教育機関が少ないとは、さすがに予想外だ。


「ベリルちゃんは面接をするつもりよ」


 ブルネットが目配せしてくる。


「了解しました。社長の後ろで忠実な部下として振る舞えばいいんですね」


「自分もしていいっすか? 自分の翼、結構威圧的にできるっすよ!」


 スッスが冷笑を浮かべて光翼を広げて冷たく光らせる。

 『哀れな人間よ』というセリフが似合いそうだ。


「どうっすか!?」


 中身はいつものスッスなので、外見との落差がすさまじい。


「サルさんとスッスのふたりでお願いできる? 私は、ほら」


「ある程度身元が分かっているとはいえ初めて会う人間です。ブルネットは安全第一でお願いします」


 俺が間髪入れず応えると、ブルネットは少しだけ、けれど本当に嬉しそうに微笑んだ。



  ☆



 宇宙に出てから、就職面接に会社側として出ることになるとは思わなかった。

 楚々とした態度の白毛の猫耳が、俺とスッスによるほぼ圧迫面接に耐えながら、丁寧に回答している。


 海賊を大量に殺した俺からの威圧や、社会的地位が底辺の猫耳とは対照的にかなり上位の光翼人間からの威圧に耐えた上での回答だ。

 個人的にはかなりの高評価であり、同時に、過去に圧迫面接を受けた人間として申し訳なさで一杯だった。


「やっぱだめ! ストップ! むり!」


 最初に音を上げたのはベリル社長だった。

 俺が見たこともないレベルの情けない表情で、胸の前にバッテンを作って首を左右に振っている。


「っ……。も、申し訳ありません。ベリルさまの貴重なお時間を頂いたにもかかわらず……」


 この状況でも礼節を維持できるのは本当にすごい。

 学歴だけでなく職歴もあれば、ベリル社長を説得してでも採用に持っていったはずだ。


「違うんですブラン先輩! 僕、じゃなくて私です私」


 ベリルが自分の手で髪をかきあげポニーテールっぽくする。

 そして、何度か音程を変えながら発音をして、普段とは違う響きの声に変える。


「お久しぶりです。ブラン先輩。卒業のときに見送ることができず、本当に申し訳ありませんでした」


 今のベリル社長は気弱で上品なお嬢さんに見える。

 いつものベリル社長は、気弱なところはあっても豪腕と剛運(と俺の自力センサー)で無茶を通しまくる人間なので、違和感が凄まじい。


「マリー?」


 呆然と目を見開き、鼻が触れ合いそうな距離にいるベリルをみつめる。


「よかった。信じて貰えた」


 分かり易く安堵するベリルだが、白毛の猫耳の態度はベリルとは逆だ。

 ベリルを恐れ……いや、ベリルではなく俺とスッスに対して悲壮な目を向けて、ベリルを庇おうとした。


「先輩、これ、どういう状況っす?」


「俺にもさっぱりです」


 俺とスッスの戦闘モードが解除される。

 既に間の抜けた雰囲気になっているはずなのに、白毛の猫耳は今にも気絶しそうな顔色だ。


「わたくしはどうなっても構いません。ですが、マリーを弄ぶのは、おやめください」


 心底困り果てた俺とスッスは、素直に助けを呼んだ。



  ☆



「スッス、この子の所有権の買い取り手続きを行いなさい」


「了解っす奥方さま!」


「……所有権?」


 予想外の単語を聞いた俺は、混乱した。


「授業料のためにした借金を返せず人権ごと買い取られる、よくある展開よ。今回の就職活動は、債務者として扱われるか動物として扱われるかの試験のようなものね。……それだけなら無視してもよかったのだけど」


「だめ! ブラン先輩は恩人なの!」


 白毛の猫耳に抱きついたベリルが、強く主張してくる。


「見ての通り、ベリルちゃんへの人質になり得る猫耳よ。相場の10倍までなら即金で払って構わないから、手続きをお願い」


「そういう事情でしたら、通商に話を通した方がいいと思うっす。特に第7営業艦隊は、特権階級や特権種族が主な顧客っすから顔が利くっす」


「ええー、星系管制に借りを作るの?」


 ベリル社長は露骨に嫌そうにする。

 光翼人間相手に対等かそれ以上の立場として振る舞うベリルを見て、白毛の猫耳が力尽きたようにその場にへたり込み、ついでにベリルも器用に座り込む。


「ベリルちゃんとの関係が露見すれば値段が高騰するわ。構わないから急いでちょうだい」


「了解っす!」


 嵐のような高速展開だが、ベリルの満足そうな顔を見る限りでは、良い方向に向かっているようだ。


「あの、本当に? あのベリル閣下が、マリーさんなのですか?」


 楚々とした態度の猫耳という時点で脳がバグる気がする。

 俺の知っている猫耳は、猫っぽいか好戦的かのどちらかだからな。


「ブラン先輩? 閣下って?」


「社長。表で活躍している猫耳は少ないようですから、猫耳社会での称号か敬称ではないかと」


 俺が意見を出すと、ベリルは「おー!」と嬉しそうに声をあげた。

 すると、白毛の猫耳(これからはブランと呼ぶ)が、恐怖に震えながら俺に声をかけてきた。


「あ、あの」


「俺たちはベリル社長の部下です。俺の場合は部下で所有物で出資者で義理の兄でもありますね」


「自分はベリル社長の部下でサル先輩の弟子っす! 奥方さま! 相場の2倍で所有権を買い取れたっすけど、星系管制が一度話し合いたいって言ってるっす」


「止めてもこちらに来るのでしょうから、好きにさせなさい。……私が姉で出資者のブルネットよ。サルさんの妻でもあるわね」


 俺とスッスとブルネットに見つめられたブランは、いつ気絶してもおかしくない表情だ。


「マリーさんから、聞いたことがありません」


「私がきつく口止めしていたもの。ベリルちゃんほどの才能の持ち主が、後ろ盾のない状態で教育機関にひとりでいるのよ? 攫われたりしないよう、可能な限りの対策はするわよ」


「んー。在学当時はブラン先輩の方が成績よかったよ?」


 ベリルはすっかりはしゃいでしまっている。

 少しだけでもいいから、ブランの追い詰められっぷりに気づいてあげて欲しい。


「でも、本当に……本当に?」


 俺たちは全部正直に話しているのに、ブランの目に絶望が濃くなる。

 ベリルと仲が良かったのに、どうしてここまで信じられないのか、俺には全く分からない。


「設計され、量産されている種族でしかない猫耳の中から、本当に、ベリル社長のような方が……? 全部おしばいである方が、納得できてしまいます」


 それを聞いたブルネットが顔色を変えた。

 何故か俺の顔を覗き込むようにして俺の目を見てくる。


「人為的に設計されたなら、意図的なセキュリティホールが怖いですね。以前にもブラックマーケットで混乱したことがありましたし、何とかパッチを当てないと」


「先輩。応急処置ならともかく、根本的な修正には、おおもとの設計図が必要っす」


「真っ当な取り引きで入手したいですね。……あの、どうしました、ブルネット。体調が悪いならスッスに診てもらいましょうよ」


「……サルさん。猫耳がどんな種族なのか、知ってしまったでしょう?」


 ブルネットは、何故か悲壮な表情をしている。


「ええ。だから対策する必要がありますね。子供にも、奥さんにも、家族全員にも影響することですし」


 予算不足や戦力不足で悩まされている状況での新たな難題だが、この時点で知ることができてよかったと考えるべきだ。

 何故か安堵して泣き笑いになるブルネットを宥めながら、俺は企業への襲撃を立案し始める。


「先輩! 設計図を持ってそうな企業っすけど、傘下に海賊同然の警備会社を持っているらしいっす!」


「いいですね。そこを口実に攻め込んで、設計図を頂きますか」


 子供のため、妻のため、家族のため。

 あくまで合法的に暴力を振るい、すべてを手に入れるだけだ。

◆ BERYL FLEET

規模:2 防衛:4 遠征:5


◆ BERYL THE GREAT MK3

船体:3 / 跳躍:4 / 航続:4 / 装甲:0 / 居住:4 / 船倉:0 / 兵装:5


◆ BERYL THE GREAT MK2

船体:3 / 跳躍:4 / 航続:4 / 装甲:2 / 居住:2 / 船倉:2 / 兵装:4


◆ CAT'S NEST MK2(4/4)

船体:4 / 跳躍:2 / 航続:4 / 装甲:4 / 居住:2 / 船倉:4 / 兵装:1


◆ CAT CLAW *5

船体:1 / 跳躍:2 / 航続:1 / 装甲:2 / 居住:0 / 船倉:0 / 兵装:2


◆ CAT CLAW CUSTOM *1

船体:1 / 跳躍:3 / 航続:1 / 装甲:2 / 居住:0 / 船倉:0 / 兵装:2


◆ BERYL THE GREAT

船体:1 / 跳躍:3 / 航続:1 / 装甲:0 / 居住:0 / 船倉:0 / 兵装:4


◆ Pawn of the Earth *8  ※修理中

船体:2 / 跳躍:3 / 航続:3 / 装甲:2 / 居住:1 / 船倉:1 / 兵装:2



◆ CREW

ベリル  |船長Lv2+[借金Lv2]

サル   |操縦Lv5 [衰弱Lv3]

ブルネット|射撃Lv2 [事務Lv2]※妊娠中

キン   |白兵Lv2 [整備Lv2]

拿捕猫耳ズ|白兵Lv1+[整備Lv1]

船長猫耳ズ|船長Lv1+[猫語Lv1]

猫耳の下僕|操縦Lv2+[信仰Lv2]

スッス  |操縦Lv2+[医療Lv1]


◆ CREW IN TRAINING

母猫耳ズ |市民Lv1 [衰弱Lv2]


◆ GUEST

ブラン  |市民Lv1 [衰弱Lv1]


◆ CAN BE PRODUCED

装甲:2


◆ BERYL HOME PORT(3/3)

権利:1 / 規模:1 / 装甲:0 / 修理:0 / 居住:2 / 備蓄:0 / 兵装:1

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― 新着の感想 ―
サルくん旦那としてもパパとしてもかなりなもんじゃないですか!! これにはブルネットさんもにっこり
種としての猫耳、 壮絶に悲しいですね
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