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地球人に人権がない銀河で、零細猫耳社長にスカウトされました ~生体パーツ扱いのどん底から操縦チートと拿捕ビジネスで成り上がる~  作者: 星灯ゆらり
第6章 銀河辺境大戦

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100.リゼーレ暗殺未遂事件?

 最近、母港がうるさい。


『『『マスターに近づくな』』』


『『『お前が近づくな』』』


 母港周辺をうろつく機動要塞5つが雑音を撒き散らしているからだ。

 忠犬っぷりをアピールするつもりなのかは分からないが、積極的にデブリの排除までしている。

 それでも、うるさいのは変わらない。


「また、母港の内外から抗議されてしまうわね」


 ブルネットは母港の司令部から猫の巣号の艦橋へ移ってきている。

 母港に搭載されたタキオン砲を使うなら母港にいる方がいいんだが、最近は夫婦の時間もなかなかとれないと主張されると反対しづらい。


「ノワールがペットたちの世話係に就任したとはいえ、ペットたちの所有者は法的にはトーティです。管理責任は俺たちにもありますが」


 心苦しいが、まともな大人になるための教育をしなくてはならない。


「今は昼寝中ね」


 が、昼寝中なら後回しでいいだろう。

 寝る子は育つ、だ。


「昼寝は重要です。……説教は目が覚めてからするとして、今、あのペットたちが何をしているか分かりますか?」


 俺が【見】ればペットたちのパスワードやそれ以外の情報も読み取ることができる。

 読み取った後は、ブルネットや学園区出身の社員たちに任せれば、ペットたちを黙らせるのも強制的に移動させるのも簡単だ。


「デブリの排除は熱心にしているわね。星系外からの攻撃に備えて配置したデブリも壊しているけど。しかも、好き勝手に移動しながらタキオン砲を多用しているから、必要以上にエネルギーを使っているわね」


「連中、トーティの財布事情を知っていますよね?」


 お世話係はノワールだが、世話するための資金はトーティの財布からだ。

 ノワールはトーティから預けられた資金を己の才覚で増やしながら(あるいは自分の金の一部も使いながら)、機動要塞5つという『腹ペコ』たちの世話をするというわけだ。


「あの馬鹿どもの情報技術は神聖猫耳王国を上回っているわ。コンピュータが記憶している情報は全部つつぬけよ」


 ブルネットが大きな息を吐く。

 ペットどもの(もうあいつらは『ども』で十分だ)予想より高い能力を知らされ、俺も驚くと同時に内心頭を抱えた。


「いっそ、連中の人格を書き換えますか?」


「コンピュータの性能も、技術者の質と数も足りないわ。これから学園区に養成させましょうか?」


「ブルネット。時間が足らないのを分かった上で言っているでしょう。志願者への、専門知識と技術の脳への焼き付けはどうです? 施術と万一の際の生活保証はこちら持ちという条件で」


「極めて高度な(LV3以上の)知識と技術の脳への焼き付けは、高価なだけでなく危険よ。私たちにはあの女しかコネがないという意味でもね」


 いかん。

 ブルネットの逆鱗に触れてしまった。


『にゃぅ』


 猫語ではなく単なる鳴き声が聞こえてきた。

 トーティの寝ぼけ声だ。


『『『今日のお出かけは我々が足だ』』』


『『『否、我々だ!』』』


 ペットどものやりとりが激しくなる。

 機動要塞のタキオン砲に膨大なエネルギーが供給され、タキオン粒子が次々に放たれる。

 星系を移動中の宇宙船多数から悲鳴が聞こえる。

 母港と宇宙船には絶対に当てないのはたいしたものだが、現時点でもかなりの賠償金が必要になる大惨事だった。


 そんな俺の思考は、見通しが論外レベルで甘すぎた。


『『『そこだ!』』』


 すべてのペットどもが全力でタキオン粒子を放つ。

 連中が狙っている場所にもその延長線にも何もないことに気付いて、俺は安堵……いや待て、まさか。


【誤射です、申し訳ありませんっ!】


 俺は必死に叫ぶ。

 白く輝く巨大な光翼が【ばさっ】と現れ、機動要塞5つの全力タキオン粒子を、面倒くさそうに叩いて霧散させていた。



  ☆



 ペットどもの最奥まで【見】た情報をもとに、すべての兵器と移動を封印する。

 俺にできるのは【見】て情報をみつけることまでなので、ブルネットやブランを中心とする猫耳が、なんとか頑張ってやってくれた。


【俺の被保護者が飼うペットが為したことです。すべて俺に責任があります】


 俺は深く頭を下げる。

 上位存在に武器を向けたあと、『冗談』や『なれ合い』ですますのは不可能だ。

 目の前で【気にしてませんよ】という顔と翼の動きをしている上位存在がいても同じことだ。

 リゼーレが舐められたことが知られたら、リゼーレを信奉する人間(主に光翼人間)が手段を選ばず報復へ来かねない。


「神聖猫耳王国の領域での事件なので僕にも責任があります。ごめんなさい」


 ベリルも深く頭を下げる。

 俺以上に礼儀に雑さのあるベリルではあるが、謝罪の意思は本物だ。

 発言を許されていないトーティが涙を流すほど、重々しい謝罪の儀式が続いた。



  ☆



 だいたい3分が限界だった。

 俺でもトーティでもなく、リゼーレの我慢の限界だ。


【猿谷さま】


 とても多くの情報と感情を込めた【声】が俺の脳へ直撃した。

 痛みはない。

 ただ、【従わないと泣きます。私が泣いたらすごく迷惑をかけますよ】という、ある意味宣戦布告より最悪な内容が俺の頭に叩き込まれた。


「そ、それは、ご勘弁を」


 【体を労ってください】という【声】も交じっていたので普通に発音する。

 先程からスッスと星系管制から届いている通信要求の表示が、剥き出しの刃のようにギラギラ輝いていた。


 俺は拿捕猫耳たちに目配せする。

 リゼーレの強大さを肌に感じているのに、拿捕猫耳たちは落ち着いた態度を崩さずトーティを退出させる。


「リゼーレさま。改めて謝罪いたします。また、今回の賠償を是非させてください。形に残る形で謝罪しないと、俺も神聖猫耳王国も大変なことになってしまうのです」


 態度と言葉遣いを柔らかくしても、反省と謝罪の意思は儀式のときと同じだ。

 恩人であるリゼーレに刃を向けるなど、ペットの管理ミスとはいえ論外な行動だ。


【そういうことですか】


 いつもは俺たちにあわせた速度で思考と行動をしてくれているだけで、本気になればリゼーレの能力は圧倒的だ。

 俺たちの事情をほとんど一瞬で理解して、何故か【ほっとした】表情で言った。


【加護の件について許して頂けるなら、それで十分です】


「トーティに対する加護についてでしたら既に……ひっ」


 俺は気付いてしまった。

 表情筋が変な動きをする。

 心臓が、明らかにヤバイ感じで鼓動する。

 俺と同じように気付いた、第二子の妊娠が分かってまだ日が浅いブルネットが、無意識に己の腹を庇った。


【トーティが『弟が欲しい』と言っていたので、つい加護を、たっぷり、ではなく、普通に?】


(ついじゃねーよ!)


【ごめんなさい】


 俺の思考を読んだリゼーレに、頭を下げさせてしまった。

 スッスと星系管制からの通信要求が、さらに激しくなる。


「リゼーレさま。私とサルさんの2人目の子供は、どうなるのでしょうか」


 優れた能力と実績を持つとはいえ普通の猫耳でしかないブルネットが、強い覚悟でリゼーレに問いかける。

 そこで俺はようやく、驚いている余裕などないと認識してリゼーレを改めて見る。


【性別が男性に固定されて、健康と成長が促進されて、他には……あっ、存在が必ず上昇するようにはしていません。努力しなければ猫耳な人間のままです】


 【どやっ】という感じで光翼が広げられる。

 息子が何を背負うことになるか察したブルネットが、気絶しそうになったのを根性で耐えた。

 俺は、ブルネットを支えるのが間に合わなかった。

 危なげなくブルネットを支えた拿捕猫耳たちに深い感謝と多額のボーナスを約束した。


【あの、リゼーレさま】


【えっ。これって内緒話ですよね? 猿谷さま、いつの間にこんなことまでできるように?】


【これはリゼーレさま個人に限定して話しかけているだけです。……息子のことですが、息子の子供がハイレベルパイロットになる確率は……はい、分かりました】


 【やべっ】という表情と翼の動きをしたリゼーレを見て、俺はすべてを察した。

 実子を作るなら産むことになるトーティと、実子を作るなら産ませることになる息子では、『攫われて利用されたとき』に銀河に与える影響が、息子の方がデカイ。

 『生産数』が違いすぎる。


【では私はこれで】


 逃げるように、ではなく、明らかに逃げるために全速で飛び去るリゼーレを、俺たちはなすすべなく見送るしかなかった。



  ☆



「第2子おめでとうにゃ」


「息子さん確定おめでとう!」


 最初に喜んでくれたのはキンとベリルだ。

 ブルネットはリゼーレとの会話で精根尽きているし、俺も動悸がまだおさまらない。


「ありがとうございます。まずブルネットをベッドへ運んで下さい。陛下は、申し訳ありませんがスッスに事情説明を」


「分かった!」


「にゃーはどうするにゃ?」


「中断していた仕事を再開してください。俺とブルネットの息子が産まれて王国に影響を与えることになるのは、今すぐではありません。今は銀河輸送との戦争に集中すべきです」


「にゃー、言われてみればその通りにゃ」


「サルくん! スッスはすぐに猫の巣号に戻ってブルネットお姉ちゃんを診てくれるって」


「ありがとうございます。スッスには俺が感謝していたと伝えてください。……さてと」


 俺は、通信要求が表示されっぱなしだった、星系管制からの通信に出る。

 強烈な追求も覚悟していたが、星系管制の声は予想より冷静だった。


『第7営業艦隊は、今回の件をリゼーレさまへの涜神……んんっ、侮辱とは扱いません』


 ギリギリセーフらしい。

 俺はその場で深々と頭を下げた。


『こういうのは今後はなしにしてくださいよ。私もここまで投資した組織を潰したくはないので』


 いつもの態度に戻った星系管制が、大きなため息を吐いた。


『ところでサルさん、気付いていますか? 銀河輸送だけでなく、銀河帝国も含めて銀河中大騒ぎですよ』


「銀河輸送はともかく、銀河帝国が騒ぐことですか? 銀河輸送とは戦争状態ですが、まだ直接戦闘していませんよ?」


『銀河輸送はもう攻撃しています! 猿谷さんたちが新装甲と呼ぶ素材でできた質量弾が、母港へ何発も撃ち込まれたでしょう!』


 星系管制が珍しく声を荒らげた。

 しかし俺には心当たりがない。


【お父さん。ペットが撃ち落としたデブリに変なのが交じってたよ?】


 トーティの【声】は普段より大人しいだけではなく、これまでほとんどなかった緊張感がある。

 成長を急かすようで本当に申し訳ないんだが、トーティは上位存在と否応なく付き合わざるを得ない立場なので、今のペースで学んでもらうしかない。


『あなた。通信越しでごめんなさい。今確認したけど、デブリの中に、銀河輸送の正規艦隊が遠距離から撃ち込んだ弾が含まれていたみたい。光速の3万倍という中途半端な速度だったから、普通のデブリ扱いしてしまったみたいね』


『ブルネットさんまで速度の感覚が麻痺していますね。超高速の時点で敵対勢力からの攻撃を疑うものですし、光速の3万倍なんて防ぐのに膨大なリソースが必要な戦略攻撃ですよ』


【ペットが頑張ったよ!】


『猫の巣号に共有されていたサルさんの自力センサーからの情報を、勝手に閲覧していたようよ』


「ここまで聞く限りでは、無事に防衛できたのでまったく問題ないのでは?」


 たぶん違うのだろうなとは思うが、これが俺の本音だ。

 星系管制は胃痛に耐える表情で、グラスに入った牛乳を一気にあおった。


『猿谷さんたちが小国とはいえ一国の首都防衛戦力を半壊させ、銀河輸送がその報復として神聖猫耳王国の母港を攻撃したのに完全に失敗しました。……恐怖の均衡が成立していないんですよ。銀河帝国も銀河輸送も、大慌てで重要星系の防御を固めています』


 敵対していない銀河帝国が防御を固めるのは、少し怖い。

 俺たちから攻撃する気はないんだが、な。


「まあ、こっちは母港しか守る場所がありませんから防御は厚いですよ。銀河輸送とは違って、一度破壊されたら終わりですから」


『銀河帝国も銀河輸送もそうは思ってませんよ。猿谷さんたち、万一母港を破壊されても、首都機能を機動要塞に移して徹底抗戦するでしょう?』


「「それは当然」」


 俺とベリルは迷いもせず断言する。

 神聖猫耳王国vs銀河輸送の激戦が始まると思っていたのに、俺たちの攻撃にびびった銀河輸送は、しばらく防衛力強化に集中するようだ。


「サルくん。ここは一気に攻撃しようよ。規模がおっきな相手に受け身で戦うのは怖いし」


「同感です。とはいえ、こっちの手札が割れた状態で攻め込むのは面白くありません。今の攻撃艦隊では猫巡洋艦を持て余しているようですし、次の遠征では銀河輸送の重要拠点を落とせるよう、戦力を再編してみますか?」


「うん。タキオン砲を量産できるようになるのが一番いいんだけどね」


 複数の列強国に衝撃を与えた俺たちは、次の攻撃のための準備を、大急ぎで進めるのだった。

◆ CAT'S NEST MK3(20/20)  ※猫攻撃機20隻を搭載。戦力評価不明

船体:6 / 跳躍:4 / 航続:6 / 装甲:3 / 居住:5 / 船倉:1 / 兵装:3


◆ CAT JAVELINEER ※通称「猫攻撃機」

船体:2 / 跳躍:5 / 航続:5 / 装甲:5 / 居住:1 / 船倉:0 / 兵装:6


◆ CREW

ベリル  |司令Lv3-[財産Lv8]

サル   |操縦Lv6+[衰弱Lv4]

スッス  |操縦Lv4-[医療Lv2]

船長猫耳ズ|猫語Lv2+[船長Lv3]

拿捕猫耳ズ|整備Lv2+[白兵Lv2]




◆ BERYL ATTACK FLEET

規模:4 防衛:6 遠征:10 ※船長猫耳ズを含む人材が抜けたため弱体化


◆ BERYL THE GREAT MK3

船体:3 / 跳躍:4 / 航続:5 / 装甲:0 / 居住:4 / 船倉:0 / 兵装:5


◆ CAT CRUISER *16 ※1隻はスッス専用のため、専用船は母港内に係留中

船体:3 / 跳躍:4 / 航続:5 / 装甲:2 / 居住:1 / 船倉:1 / 兵装:4



◆ CREW

司令猫耳 |司令Lv2-[拿捕Lv2]※ベリル号に搭乗

猫耳の下僕|操縦Lv3 [信仰Lv2]※ベリル号に搭乗

新人下僕ズ|操縦Lv1+[信仰Lv1]※猫巡洋艦に搭乗

新人船長ズ|船長Lv1+ ※平均LV ※猫巡洋艦に搭乗




◆ BERYL DETACHED FLEET ※子会社へ移管済



◆ BERYL DEFENSE FLEET

規模:3 防衛:8 遠征:8


◆ BERYL THE GREAT MK2

船体:3 / 跳躍:4 / 航続:4 / 装甲:2 / 居住:2 / 船倉:2 / 兵装:4


◆ CAT CRUISER *4

船体:3 / 跳躍:4 / 航続:4 / 装甲:2 / 居住:1 / 船倉:1 / 兵装:4


◆ CAT TUGBOAT MK2 *32

船体:2 / 跳躍:4 / 航続:4 / 装甲:1 / 居住:0 / 船倉:0 / 兵装:0



◆ OTHER SHIPS

船体:4 *1 / 船体:3(ブランの船) *1 / 船体:1 *40



◆ CREW

ブルネット|事務Lv3 [射撃Lv3]

キン   |整備Lv3+[白兵Lv2]

拿捕猫耳ズ|整備Lv2+[白兵Lv2]

猫耳の下僕|操縦Lv3 [信仰Lv2]

ブラン  |秘書Lv2+[衰弱Lv1]

ノワール |諜報Lv2+[霊媒Lv1]

母猫耳ズ |市民Lv2+[衰弱Lv1]

市民猫耳ズ|市民Lv1+ ※平均LV

他種市民ズ|市民Lv1 ※平均LV


◆ CREW IN TRAINING

船長候補 |船長Lv1 ※平均LV

新人学生ズ|市民Lv1 ※平均LV


◆ CAPTURED

小型武装輸送船 *3



◆ PET

◆ RUIN STATION ※修理完了

船体:6 / 跳躍:4 / 航続:5 / 装甲:5 / 居住:0 / 船倉:0 / 兵装:4


◆ RUIN STATION *3 ※老朽化

船体:6 / 跳躍:2 / 航続:4 / 装甲:5 / 居住:0 / 船倉:0 / 兵装:3


◆ RUIN STATION ※老朽化

船体:6 / 跳躍:2 / 航続:3 / 装甲:5 / 居住:0 / 船倉:0 / 兵装:5



◆ CREW

超AIズ |船長Lv2 [頑固Lv4]




◆ CAN BE PRODUCED

船体:3 / 跳躍:4 / 航続:4 / 装甲:5 / 居住:2 / 船倉:3 / 兵装:3(6) ※兵装6の生産はまだ不安定


◆ BERYL HOME PORT(40/40) ※猫飛行機を生産

権利:5 / 規模:6 / 装甲:0 / 修理:5 / 居住:3 / 備蓄:0 / 兵装:3

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