ラスティネルの執念
「ミオンくん!」
ラスティネルが突然、ミオンの部屋に入って来た。
その時、ミオンは地図模型を作っていた。
その手先がグイッと揺れる。
「あいつはどこにいるの?」
「ん…………」
ミオンは地図模型を見つめたまま、固まる。
「旦那に聞いたら教えてくれると思う」
「旦那は『うむ』としか言ってくれなかった」
ラスティネルは早口ですぐに答えた。
「だったら、行ったらダメってことでしょ?」
「知ってるのね?」
「……知らないょ」
ミオンの目をじっと見るラスティネル。
ミオンは目を合わせないように地図模型の作りかけの部分をじっと見つめる。
「包丁がどこに行ったか知らない?」
「旦那が持っていったよ」
「レヌンに会ったらどうするの?」
「レヌン? あいつの名前? そうね……治療してあげる」
「この前、旦那に『イヤです』って言わなかった?」
「反省したの」
ラスティネルは薄目でじーっとミオンを見つめる。
ミオンは折れたのか、渋々答えた。
「……ちょっとだけだよ」
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カエルの着ぐるみを着て、フードで頭を完全に隠したカエル人間の状態になったラスティネル。
ミオンと一緒に魔龍に乗って、レヌンがいると思われる森までやってきた。
「この前、旦那とレヌンを連れてきた時、どこに行ったの?」
ミオンが魔龍にたずねた。
すると、魔龍が口ヒゲの先で山の向こうを指し示す。
ラスティネルはその方向を確認すると、浮き輪に乗って走り始めた。
ミオンも慌てて、その後を追う。
魔龍は二人の背中を見つめ、目を細めた。
ミオンは焦っていた。
ラスティネルとの距離がどんどん離れていく。
もう、その背中は完全に見えなくなっていた。
少しスピードを落とし、その痕跡を確認しながら後を追う。
山を越え、半分ほど下りたところだった。
前の方で爆発音が聞こえた。
そのあと、何度も爆発音が続く。
その方向を見やると、ラスティネルが崖の下で必死に爆発をかわしながら浮き輪で移動しているのが見えた。
ミオンはラスティネルを追うのをやめ、首にぶらさげていた連絡板を出すと、急いで指先を走らせた。
『ラスティネルが戦っています』
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【あトがき】
レヌン 「どうした?」
爺さん 「寝ておれ」
爺さんが小屋の隙間から外を覗く。
レヌン 「何があった?」
爺さん 「寝ておれ」
しばらく様子を伺っていた爺さん。外に出る。
そして、戻ってきた。
爺さん 「あの女たちが戦っておった」
レヌン 「誰とだ?」
爺さん 「よくわからん。緑っぽくて遠くからは……」
レヌン 「!」
レヌン 「黄色くて丸い乗り物に乗ってたか?」
爺さん 「そうじゃ。知り合いか?」
爺さん 「最後はあの女たちを捕まえたぞ。見事な立ち回りじゃった」
レヌン 「緑のヒモみたいなので捕まえてなかったか?」
爺さん 「そうじゃ。知り合いか?」
レヌン 「……すげぇな。ここまで来たのか、あの女」
爺さん 「知り合いか?」
爺さんの質問には答えることなく、レヌンは安らかに目を閉じた。




