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不死王の待ち伏せ

今回のエピソードは第45話「ヘロックと不死王」の次に発表すべきエピソードでした。

エピソード「不死王の妃」を書き上げた直後の感触があまりに良かったので、執筆してすぐ公開してしまいました。

ごめんなさい。m(_ _)m


朝。


ヨトフはいつものように漆黒の巨城へと続く坂道をとぼとぼと上がっていた。

その少し後ろを死霊兵が歩を合わせ、ついていく。


ようやく漆黒の巨城が遠くに見えてきた。

あとは、まっすぐ行けばいいだけ。


ヨトフは地面を見てから、すぐに再び城門へと視線を向ける。


それは帰る時と同じように、いつもの場所に立っていた。

目を細め、眉間にしわを寄せて、じっと見つめる。


少し色味が違う。が、たぶん陛下(不死王)に違いない。

後ろの死霊兵を見上げる。


――互いの目線が合う――


しばし、見つめあってから、いつもと同じペースで二人は再び城門に向けて歩き出した。




◇◇◇



漆黒の巨城二階の打ち合わせスペース。

不死王が新しい護影をつれてきて、古い護影をつれて立ち去った後。


「ヘロックさん!」

「ヘロックさん!」


チージョイルがヘロックを引っ張り、肩を揺する。


「おそらく、さっきの方が陛下(不死王)ですよ」

「……そうなのか……ぃ、意外とデカいな……」


ヘロックは顔を引きつらせた。

まだ、不死王がいた場所を向いたままだ。

背後から、チージョイルの声が届く。


「何か感じたんですか?」

「……何も感じなかった。むしろ、それが恐ろしかった……」

「……」


「おい」


しばらく返事がないことに違和感を覚えたヘロックは振り返った。


――しかし、そこには誰もいない――


いつのまにか、広いスペースに一人だけになっていた。

あたりを見渡したり、机の下を見たりしたが、チージョイルの姿は跡形もなく消えていた。

新しい護影の姿すらない。


ヘロックはもしやと思い、手にしていた書物(封印の書)をめくる。

しかし、そこには変わらず、何も描かれていなかった。



◇◇◇



アバンフ(前の王の直轄領)

そこは厳戒態勢だった。

不死王、ヨトフ、死霊兵、護影の四人は城壁の上から街の様子をうかがっていた。


街中を兵士たちが練り歩いている。

死霊兵たちの周りを囲い、時折、後ろから容赦なく攻撃する姿も見られた。


「そろそろ始まりそうだ。行こう……」


不死王はそう言うと、次の瞬間には四人ともそこには居なかった。




四人は重厚な褐色の大きな扉の前にいた。

不死王は白い法衣を着たラスティネルの姿になっている。

ヨトフが突然の変わりように念のため確認する。


「陛下……ですよね?」

「うむ」


不死王はまるで扉の向こうが見えているかのように視線を動かす。

視線を目の前の扉に移すと、言った。


「万が一のこともある。頼むぞ」


死霊兵と護影の肩を同時に軽く触れる。

そして、扉を勢いよく両手で引いた。



---------

【あトがき】

アバンフに不死王たちが乗り込む前。

朝、ヨトフが城門にようやくたどり着いた時。

ヨトフは時折足元を確認しながら、不死王の顔を見つめ、近づいていく。


ヨトフ 「おはようございます。今日は早いですね」

不死王 「おはよう。ではいくぞ」


ヨトフ 「……どちらに行かれるのですか?」

不死王 「アバンフ(前の王の直轄領)だ。まずは、この四人(死霊兵と護影を含めて)で行くぞ」


不死王 「もちろんチーくん(チージョイル)も連れて行く」

ヨトフ 「チーくん?」



不死王はヨトフの言葉に答えることなく、四人一緒にアバンフへと旅立った。


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