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第79話 魔法少女カリン

 クァ


 翌朝、リフィーが声をあげた。


「少し元気がないのかな? 夜、1人にして寂しくなっちゃった?」


 エレナが、リフィーをなぐさめるように首元に抱きついた。


「さぁ、最後の海を渡るぞ」


 俺たちはリフィーに乗って、コールジナの国を出発した。

 シックザールの本拠地があるゾクラナ帝国に向かう。


「ん、なんかリフィーの飛び方が変だな?」


 海の上を飛びはじめて、しばらくしてのこと。


「やっぱり、元気ないのかな? 子供たちを乗せて雪山を往復したりしたから、疲れちゃってる?」


 背後から俺の腰に腕を回しているエレナが言った。


「そこまで変な飛び方にも見えないけど」


 俺の前に座るリーゼが言った。


「……いや、飛び方が重い……」


「私、昨日食べ過ぎちゃったかな?」


 と、エレナ。


「そうじゃない……おい、荷物のカゴに誰か乗ってるな?」


 リフィーの首カゴに向けて言った。

 カゴの中にかぶせてあった布がモゾモゾと動いた。


「えっ、動いた?」


 リーゼが振り向いてきた。

 布がどけられると、人の顔が出てきた。


「えっ、カリン? なんで、そんなところにいるの?」


 リーゼが驚いた。


「お前、みんなと帰ったんじゃなかったのか?」


「帰るつもりだったけど、みなさんのことに興味が出てきて……」


「だからって、隠れる必要はないだろ」


「それはそうなんですけど、一緒に連れて行ってもらえるかわからなかったので……」


 はぁ……。

 確かに、海の上に出てしまえば、降ろすわけにもいかないしな。

 今さら戻るのも面倒だ。

 素直で落ち着いた子かと思ったが、腹がすわってるというか……。




 夕方、ゾクラナ帝国の端にあるゴニカの町に到着した。


 以前、しばらくこの国にいたことがあった。

 いくつかの町を回ったが、どの町も同じ雰囲気だったことを思い出した。


 ——でも、なにか、前と違う。

 ——そうか。いたるところに兵士が歩き回っていたが、いまはいない。体制が変わったか、この短期間で?


「兄さん、カリンの服、新しいものにしたほうが良くない?」


 シックザールのローブのままのカリンを見てリーゼが言ってきた。


「あぁ……カリン。せっかく自由になったんだ。家に帰るつもりはないのか?」


「待っている人もいないし……自由だから、私も自由に動いてみようって」


「だからって、わざわざ俺たちと一緒じゃなくても……まぁ、どこに行こうと、そのローブは取りかえたほうがいいか……」


 と、防具屋に向かった。


「こんなの、どう、カリン?」


 店に入るなり、エレナが色違いのローブをとっかえひっかえカリンに着させる。


 水色、ピンク、黄色、白、茶色……。


「どれもかわいいなぁ……カリンは何色が好き?」


 エレナが聞いた。


 ——かわいさで選んでいたのか、姫さん。


「え? と、とくに好きな色はないですけど……」


 エレナの勢いに押されて困っているカリン。


「じゃあ、コレ!」


 ピンク色のローブに決まったようだ。


「あと、これも! 魔法使いだから、ステッキね」


 先端が星の形をしているステッキを持たせる。


「うん、かわいい、魔法使い!」


「えっ、これがかわいいんですか?」


 カリンは少し恥ずかしそうだった。


「うん、私もかわいいと思うわ。ね、兄さん?」


 リーゼが聞いてきた。


「そうだな。前の黒いローブよりは、断然いいぞ」


「そ、そう……それじゃあ、これで……」


 カリンは照れていた。

 支払いを済ます。

 もちろん、会計は俺がするんだがな。


「カリンの歓迎会をしよう」


 店に入って席につくなり、エレナがかまわず注文していく。

 そして、テーブル一面に料理がならんだ。


「すごく美味しそうな匂い……スー」


 カリンは鼻から匂いを吸った。


「さぁ、どんどん食べて!」


 とか言いながら、せっせと食べはじめるエレナ姫。


「そ、それじゃあ、いただきます…………ほひしぃ……」


 カリンは目を細くして、幸せそうな表情を見せた。


「素直な子……」


 リーゼが料理を食べ進めながら言った。


「この純粋さがあったからこそ、シックザールには染まらなかったのかもな」


「真っ白な子供ほど、一滴の黒を落とされれば、しだい濁っていくのに……この子はそうならなかった」


「黒を弾くほどの純真無垢だったんだろう」


 ひととおり食事を終える。


「ごちそうさまでした……あの、このまま私もみなさんに着いていっていいですか?」


 カリンが真剣な目を見せてきた。


「来るなって言っても、着いてくるんだろ?」


「はい……」


「はっきり言いやがって……ただな、俺たちはシックザールを倒しに行くんだぞ。それでもいいのか?」


「はい。両親は私がさらわれるときに、私を助けようとシックザールに殺されました。いつかシックザールを倒してやろうと思ってたけど、私の力では到底およばない。でも、キールとリーゼ、みなさんなら……その最後を見届けてやりたい」


「カリン。復讐みたいな気持ちで着いてくるなら、死ぬぞ」


「それでも、死んでもシックザールが倒されるのなら、それでいいです」


「そんな気持ちじゃ、倒せない。純粋な何者にも染まらない心なら別だが……」


 カリンは首をかしげた。


 とはいえ、俺も両親を殺され、リーゼをさらわれた身。


「俺も復讐心がないわけではない。でも、それがすべてじゃない。はぁ……外に出られたんだ。わざわざまた闇に戻ることはないんだぞ」


「兄さん、いいじゃない。来たいって言ってるんだし」


「リーゼ、軽く言うな。とらわれた子供たちやカリンには、これからがある」


「あら。私にだってこれからはあるわ。人生を狂わされた者同士、手を組みましょう。そして、人生を狂わせたヤツらの最後を笑って見届けましょう。この子の面倒は私が見るわ、兄さん」


 リーゼは、企みを匂わせるようにニヤリと微笑んだ。


 ——うわっ、がっつり復讐する気だよ。

 ——女の恨みは怖いって、こういうことか?


「はぁ……わかった。好きにしろ」


「ということで、カリンが仲間入りね」


「リーゼお姉さまにいろいろ教われるなんて光栄です。よろしくお願いします」


 カリンが嬉しそうに頭を下げた。


 店を出る。


「キール・ハインドだな?」


 俺たちを待ち受けていたかのように、鎧を身につけた2人が立っていた。

 声をかけてきた男と、もう1人は女だった。


「そっちは、リーゼ・エインスワースよね?」


 2人は、手配書を見せてきた。


「えっ、手配書? え、え? キールとリーゼお姉さまが賞金首?」


 カリンが目を泳がせるように見てきた。


「そして、誘拐されたリフレリアの王女、エレナ」


 男が言った。


「えっ、王女って……エレナ姫って、本当にお姫様だったのぉ? てっきり呼び名だと……」


 カリンは頭では理解しきれていない様子だった。


「そうだよ。本当に王女だよ」


 エレナ姫は、笑って見せた。


「もしかして、私、とんでもないパーティーに入っちゃった?」


「かわいそうに……少女はとんでもないパーティーに仲間入りさせられたのか」


 男が言った。


「で? そのとんでもないパーティーに目をつけたお前らは?」


「この手配書でわからないのか? 賞金稼ぎだよ」


 女は不適な笑みを見せる。


 ——面倒くさい。


「おもしろかった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「キールたち、今後どうなるのっ……!」


と思ったら


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