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なのになかなか更新できず申し訳ありません。
さて、一方リカの方はというと、久々に例の人に手紙を送ろうと考えていた。
最近では文字の勉強も進んで、自作の辞書を使いながらも文字を書けるようになってきたので、きっと驚くだろうと分からない手紙の送り主の驚く顔を想像して微笑んだ。
近況をすこしと、もちろん魔力の調整がうまく出来るようになったこともきちんと書く。
後はヨハンの事も少し書いた。
この人のおかげでヨハンが来てくれて、魔力の手ほどきをしてくれた。
だからリカは魔力の調節が出来るようになったのだから、きちんとお礼は言っておかなければならない。
始めは一枚だった便箋が、今は三枚ほどになっていた。
それほどリカも努力したという事だ。
もちろん魔力の修行中も何度か文通をしながら添削もしてもらったおかげでもある。
書き終えて封蝋で封をするやり方も始めは慣れなかったが、何度もするうちになれた作業だ。
封蝋に押すスタンプも手紙の送り主から送られてきた。
華の意匠の美しいスタンプでリカのお気に入り。
改めて考えると、返事が返ってくるたびになにか贈り物をもらっている気がする。
前々回は花の香りのする石鹸と香油を贈ってくれたのだが、もったいなくて顔を洗うときだけ使っていたら、それをどこで聞いたのかいくつも送ってくれた。
おかげで毎日身体を洗うときまで使っているため、最近では風呂上りに全身から花の香りがする。
子供の贈り物にしては大人っぽすぎる気もするが、敏感肌のリカには大変ありがたい贈り物だった。
もちろんこのお礼も書いておいた。
そんな手紙を受け取ったエドガーはというと。
号泣していた。
リカが無事に魔力の調整の修行を終了して、魔法の勉強に入れると知り感動していたのだった。
それを見ているリッキーはドン引きしているが。
『オイオイ、泣くこたぁないだろう。』
「煩い!ようやくリカも魔術師の第一歩を踏み出したんだぞ!素晴らしいじゃないか!!
ああ、しかしこんな感動的な瞬間を見逃したなんて…やはり陰ながら見守るというのも非常に辛い。
やはり隠れて会いに行って…いやいや、もしそれが師匠にばれたら文通も禁止されてしまう…。」
ぶつぶつ思考の海に沈んでいくエドガーを生ぬるい目で見つめているリッキー。
毎回手紙を届けるたびにこれを見ているが、毎回酷くなっている気がする。
確かにリカを溺愛するのは分からんでもないが、ちょっと気持ち悪いかも。
間違ってもそんな事を口にはしない。
口にしたが最後、リッキーは焼き鳥にされて、ホルホルの夕飯にされてしまうから。
『おうおう、いい加減返事を書いてくれよ。
あの凶暴なトサカ野郎が帰ってくるまでに此処を出たいんでね。』
「む、分かっている。ちょっと待っていてくれ。最近は文章をチェックしなくても文章を書くのが上手くなって嬉しいが、ちょっと寂しい気もするのだが…。もちろん嬉しいさ!しかし、手紙の文章を赤ペンで訂正していると、リカの勉強を私が見てあげているんだなぁと感じられて嬉しいんだよ!!
ああ、ほかに私がリカに教えてあげられればいいんだが…魔法は師匠が教えるし、精霊の事はヨハンが教えるし…。」
『なんでもいいだろうが。この前教えてやった新発見の毒草の話を聞いて興味深そうにしてたぞ。』
「ふむ、それもいいか。」
『いいのかよ!』
リッキーが突っ込むが、エドガーは気にせずデスクへ向かう。
引き出しから何セットもある、女の子の好きそうな便箋を選び出す。
魔法学校の関係者もまさかこの厳つい顔の校長のデスクにこんなファンシーなレターセットが詰まっているとは思いもしまい。
さらさらと軽快に書いていくエドガー。
しかし。
さらさら……ぐしゃっ。
がさがさ、…さらさら……ぐしゃっ。
ごそごそ、…さらぐしゃっ。
『だあぁぁぁッ、何してんだよ!!』
「やはり魔術師の第一歩を踏み出したリカに、特別なお祝いをするべきだ。
と、いうわけで買い物にいってくる。」
そう言うが早いか、エドガーはすばやくローブを引っつかむと、部屋から出て行った。
それをリッキーはあまりのエドガーのすばやさにぽかんと見つめていたが、逃げられたのに気がついて慌てた。
返事をもらわずに帰れば、リカががっかりするだろう。
しかし、このまま待っていればホルホルに襲われることは目に見えている。
途方にくれたリッキーはぽつんと校長室に取り残されてしまったのだった。
後日、ウェサニル樹海に到着したリッキーは酷く疲れたような顔をして、荷物を運んできた。
マリエッタの家にたどり着くと、ボロ雑巾のように床にへばりつく。
リッキーの到着に気がついたのは留守番をしていたリカだった。
今日は月に一度マリエッタが森の外の集落の往診をする日なのだ。
リカは慌ててリッキーを持ち上げようとするが、一緒に荷物も着いてきてしまう。
慌ててはさみでリッキーの足にくくりつけてある紐を切ると、よろよろとリカの足元へへばりついた。
よほど疲れているらしい。
「リッキー大丈夫?」
『俺はもう駄目だ…。』
「またホルホルと喧嘩したのね。ちょっと待っててね。」
よいしょとリッキーを持ち上げて、うんしょうんしょ、とリッキー専用の布団を用意して其処に寝かせてやる。
するとリッキーは安心したように目を閉じて眠りに入ったようだった。
そんな満身創痍になるほど喧嘩するリッキーにため息がでてしまうが、縄張りをあらされた野生動物の心境など、リカには分かりはしない。
早々に諦めたリカは、先ほどリッキーが運んできた物を確認しに、居間まで戻ってきた。
床の上には先ほど放置した手紙ともうひとつ包みが転がっていた。
どうやら手紙の送り主が、またリカに贈り物をくれたらしい。
手紙の送り主はことあるごとに手紙と共にプレゼントを贈ってくる。
どうやらこの包みもそれらしい。
やや長めの包みはリカにも持てるほどの横10センチ縦30センチほどの箱のようだった。
なんだかネックレス等の装飾品を入れる箱に似ているなぁ、と包装を丁寧にはがしていく。
これ以上装飾品をもらっても着ける機会などリカには無いので、タンスならぬ、宝石箱の肥しになるだけなのだが。
包装を剥がすと、やはり出てきたのはビロードの貼ってある、いかにもな箱だった。
やれやれ、またかと箱を開ける。
しかし、中に入っていたものはリカの想像とはまったく違ったものだったのである。




