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初めて精霊の知り合いが出来て、リカはうきうきとマリエッタたちがいるであろうリビングへと向かった。

途中、レティの身体の長い身体が扉に挟まれてしまうため、リカがドアを押さえたりしながらレティと居間へ向かうと、其処にはマリエッタとヨハンがのんびりとお茶の時間を楽しむ姿があった。

リカに気がついたマリエッタは、ヨハンとの話を中断すると、リカのお茶を入れながら席を勧める。


「もう大丈夫かい?

びっくりしたんだよ。アンタたちが帰ってきたかと思ったら、ヨハンが気絶したリカを抱えてるもんだから何かあったのかと思って寿命が縮んだよ。」

「心配かけてごめんなさい。でも精霊も協力してくれるらしいので、大丈夫です。」

「本当かい?」


マリエッタの心配そうな声に、リカはにっこり笑って答えた。

リカの前にマリエッタの淹れたミルクティーが置かれると、ヨハンも心配そうにリカを眺めていたが、異常が無いことが分かると安心したように笑って、リカの肩に登ってきたレティに目をやった。


「それは先ほどの泉の精霊だね。よっぽどリカが気に入ったらしくて此処まで付いてきたんだよ。」

「そうだったんですか。起きたらベットの下にいてびっくりしました。」

「おや、もしかしてそこに精霊がいるのかい?」


リカとヨハンの会話に、リカの隣に座ったマリエッタが割り込んだ。

マリエッタにレティは見えていないらしかった。

マリエッタほどの魔女であれば、てっきり精霊が見えているのかと思っていたリカは、ヨハンに聞いてみた。


「マリエッタには見えないんですか?」

「前にも話したとおり、精霊が見えるのはエルフの認めた力を持つものだけだ。彼女にはその力はない。」

「そうだよ。本来、精霊は人間から隠れて生きている。

精霊の力が強くなる月の夜だったら精霊の力の光が僅かに見えるし、昼間でもなんとなく存在は感じ取ることが出来る。

リカがやってきた日は昼間だけど精霊が騒ぎすぎて良くわかった。けど、普段は無理だね。」

「はぁ、そうなんですか。」

「それだけリカが特別ってことだよ。エルフに認められる人間なんて始めてさ。アタシはこんな弟子が持てて幸せだよ。」


そう言ってマリエッタに頭を撫でられた。

こんなふうに褒められて頭を撫でられると、なんだかくすぐったい気持ちになる。

小さいころ祖母に頭を撫でられた記憶を思い出す。

悪いことをしたときに繰り出される拳骨も一緒に思い出すが。


「で、どんな精霊なんだい?」


マリエッタは瞳を輝かせながら、興味津々に聞いてきた。

その様子は年老いてもなお、子供の心を失っていないことが良くわかる。


「えっと、真っ白な蛇なんです。それもすごく長い。」

「へぇ、泉にいたって事は水属性の精霊なんだろうね。初心者にはぴったりじゃないか。」


火の精霊は気性が激しくて扱い辛いという事をヨハンから教えてもらった。

今日はリカが気絶してしまったせいで時間もなくなってしまったので、修行は明日の早朝に行うことにした。

そうなると残りの時間が意外と空いてしまったリカは、日没までマリエッタと共に夕食の準備をすることになった。

いつもであればそんなに時間は掛からないのだが、ヨハンがいるのでいつもより多めに作らなくてはいけないので時間が掛かるのだ。

リカはパンに練りこむくるみに似た木の実の殻を割って、中の実を取り出す作業を任された。

木の実を細い串で穿り出す作業は意外と根気のいる作業だ。

力加減を間違えると木の実は粉々に砕けてしまう。

こんな何気ない作業のなかにも、集中力を養う修行が行われていたりするから、マリエッタはすごい。

そのマリエッタはパンを木の臼に入れてこね回している。

重労働のはずなのに息も乱さずこね回して臼に叩きつけているのを見ると、すこし怖いものがあった。

ヨハンはご馳走になるだけでは申し訳ないと狩りに出かけて行った。

エルフは弓での狩猟が得意な種族だとマリエッタに聞いて、魔法も出来るし弓も出来るなんてすごい。

リカはヨハンの苦手なものはあるのだろうかと首を捻る。

それほど何でも出来るように見えたのだ。

その後ヨハンは雉に似た尾羽の美しい鳥を2羽と、川の魚を大量に取って来てリカとマリエッタを驚かせた。

ヨハンは笑って、


「エルフの子供が始めて精霊が見えるようになった日には盛大にお祝いをするんだよ。」


そう言ってリカの頭を撫でた。

この世界に来てから頭を撫でられる回数がずいぶんと増えた気がする。

とはいえ、前の世界ではいい大人だったリカが頭を撫でられることなど滅多に無いことだったのだが。


「ありがとうございます。でもこんなに魚食べきれるかな?」

「取って置きのレシピがあるんだ。これくらいの量ならぺろりと平らげるよ。」


ヨハンの作った川魚のムニエルは木の実を使ったソースが絶品でリカは二匹も平らげてしまった。

食後のデザートはマリエッタの作ったプディングで、それも食べてしまった。

それにはマリエッタもびっくりしていた。


「そんなに食べてお腹を壊さないといいけどね。」

「でも今日はすっごくお腹が空いてるんです。やっとお腹いっぱいになりました。」


食後のお茶を飲んでリカがほうとため息をついた。

たしかにマリエッタの言うとおり、今日は自分でも不思議なくらい食べれたのだ。

そのわけはヨハンが話してくれた。


「精霊が見えるようになるだけでも相当な魔力を使うんだ。

魔力を放出したときは疲れるけど、今回は体質が変わっただけだからお腹が空くっていう形で現れたんだよ。

だからエルフは子供が始めて精霊が見えた日はご馳走にするんだ。」



そうしてリカの精霊との出会いは大成功に終わったのだが、実はエルフの里ではとんでもない騒ぎになっているなどヨハンもマリエッタも、もちろんリカも知りもしなかったのである。


お気に入り件数が200件を超えました。

どうもありがとうございます。

なのに最近投稿が遅くなって申し訳ないです。

しかも話があまり進んでない。

そして消えていくおじさまの影。

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