人間21
ヴァーニャは憤然として立ち去ったものの、結局は戻ってきた。彼は繰り返し、部族の人々に火を使ってはならないと警告し、とりわけ寒い夜や雨の降る夜には決して火を扱うなと念を押した。部族の人々は次第に火を消す術を身につけていったが、それでも彼の懸念は少しも消えなかった。部族の人々が、火を消す方法や、鰻をさばくように火をいくつもの火種へと分ける方法、さらに乾いた枝の先に火種を移して運ぶ方法を実演してみせても、彼は鼻で笑うばかりだった。
部族の者たちは皆、彼の言葉には一理あると分かっていた。女たちは当初、火をうまく避けることができず、火傷を負った。若い世代の者たちの中にも、焼け死んだ者が何人もいた。それでも多くの者たちは、失敗を恐れていては成長できないと考えていた。「火傷を負った子だけが火を畏れることを覚える」――彼らはいつもそう口にしていた。
参考文献
Lewis, R. (2022) The Evolution Man: Or, How I Ate My Father(=『進化した男――あるいは、私はいかにして父を食べたか』).
Gowlett, J. A. J. (2016) The discovery of fire by humans: A long and convoluted process(=『人類による火の発見―長く複雑な過程』).
Wrangham, R. (2009) Catching Fire: How Cooking Made Us Human(=『火の賜物―ヒトは料理で進化した』).
Roebroeks, W. & Villa, P. (2011) On the earliest evidence for habitual use of fire in Europe(=『ヨーロッパにおける火の日常的利用の最古の証拠について』).
Boyd, R. & Richerson, P. J. (1985) Culture and the Evolutionary Process(=『文化と進化のプロセス』).
推定総盗用率:およそ0–3%




