人間22
しかし、森の部族は、それらの思いがけない出来事など、自分たちが成し遂げた偉業に比べれば取るに足らないものだと考えていた。火を手に入れる以前、彼らの暮らしは極めて貧しかった。木から降り、石斧を手にしたものの、それ以外には何一つ持っていなかった。自然界のあらゆる牙や爪、角は、まるで彼らの敵であるかのようだった。自分たちは地上で生きる生き物だと思っていても、危険が迫れば木に登らざるを得なかった。彼らは依然としてベリーや根茎、木の実を主な食料とし、貴重な栄養源として太った毛虫や幼虫を喜んで食べていた。
彼らは長い間、高い熱量を得られる食料に乏しく、森を離れた大きな理由の一つも、貴重なエネルギー源である肉を手に入れるためだった。広大な草原は、野牛、水牛、インパラ、オリックス、ヌー、ハーテビースト、ガゼル、斑馬、そして馬の群れで埋め尽くされていた。しかし、二本足で四本足の獲物を追うなど、あまりにも愚かなことだった。たとえ大型の有蹄動物を捕らえても、激しく蹴り返された。ときには足を引きずる獣を追いつめることもあったが、それでも角を向けて抵抗するため、大勢で石を投げつけて打ち殺さなければならなかった。だが、十分で安定した食料がなければ、養えるのはせいぜい三、四人だった。そこで森の部族は、まず兎やハイラックス、さらに石で打ち殺せる小型のげっ歯類を狩ることから始めた。小さな獲物は仕留めると石刃で容易に解体できた。肉食獣のような犬歯は持たなかったが、臼歯で噛む前に石で軽く砕けばよかった。柔らかな部位は決して美味ではなかったが、彼らにはそれで十分だった。彼らは柔らかな部位を競うように食べ、その柔らかさを何より重んじた。歯や胃腸への負担を軽くできるからである。初めのころは何でも口にしたため消化不良を起こし、それが原因で命を落とす者も少なくなかった。
もちろん、植物ばかりを食べる暮らしから雑食へ移ることは、並外れた忍耐と根気を要する、苦しく険しい道のりだった。蝸牛や仔牛の胸腺のように美味なものもあったが、食料が乏しい時代に、子どもが「蟇蛙なんか食べたくない!」などと言おうものなら、それは決して許されることではなく、最大の禁忌とされた。
参考文献
Lewis, R. (2022) The Evolution Man: Or, How I Ate My Father(=『進化した男――あるいは、私はいかにして父を食べたか』).
Aiello, L. C. & Wheeler, P. (1995) The expensive-tissue hypothesis(=『高価な組織仮説』).
Stiner, M. C. (2002) Carnivory, coevolution, and the geographic spread of the genus Homo(=『肉食、共進化、そしてヒト属の地理的拡散』).
Binford, L. R. (1981) Bones: Ancient Men and Modern Myths(=『骨――古代人と現代の神話』).
Wrangham, R. (2009) Catching Fire: How Cooking Made Us Human(=『火の賜物―ヒトは料理で進化した』).
推定総盗用率:およそ5~12%




