人間21
ファウムは、敵の槍と矢によってその身に刻まれた幾多の傷を思い返していた。彼は棍棒で敵の頭蓋を打ち砕き、敵部族の男たちを皆殺しにし、女たちを連れ去り、その部族が代々守り続けてきた聖なる火を消し去ったうえで、さらに草原を征服しようと目論んでいた。
彼は信じていた。神々は人類に火を授けたが、同時に強き者にはすべてを手にする権利を与えたのだと。そして、弱き者には神々から授かった火を持ち続ける資格はないのだと。しかし今、彼はようやく悟った。聖なる火を消すことは、神々への裏切りにほかならなかったのだ。その過ちを思うたび、胸は深い後悔に締めつけられた。
もともと神々は聖なる火を何よりも尊んでいた。だが、プロメテウスはその火を密かに人類へともたらした。神々は盗火に激怒したものの、いったん人の世へ渡った火を奪い返すことはなかった。代わりに新たな掟を定めたのである――聖なる火は永遠に受け継がれるべきものであり、人の手で決して消してはならない。この掟を破る者は、神々の加護を永遠に失う。だが、ファウムはその禁忌を犯してしまった。その結果、神々はオルハム族から加護を引き上げ、代々受け継がれてきた聖なる火を奪い去った。それ以来、オルハム族は決して消えることのない聖なる火を守ることができなくなった。火が失われるたびに、彼らは落雷や山火事によってもたらされる天然の火を待つか、あるいは遥か彼方の草原まで旅をして火種を持ち帰るしかなかった。そのため、彼らの暮らしはかつてないほど過酷なものとなった。
参考文献
Boex, J. H. H. (1911) La Guerre du feu(=『火の戦い』).
Hesiod(紀元前約700年)Theogony(=『神統記』).
推定総盗用率:およそ10–20%




