人間16
鋭利な珪岩を使えば、直径四インチほどの杉の枝でも十分ほどで断ち切ることができる。それでも、森の部族にとって、大きな焚き火を絶やさないための薪を確保し続けることは容易ではなかった。火は夜の寒さをしのぎ、獣を遠ざけ、食べ物を調理するために欠かせない存在だったが、その炎を維持するには毎日のように大量の薪が必要だった。倒木や枯れ枝は周囲からすぐに集め尽くされるため、人々はさらに遠くまで森へ分け入り、重い薪を背負って何度も運び帰らなければならなかった。その労力は石器で木を断ち切ること以上に大きく、燃料の確保は森の部族にとって絶えず向き合うべき課題であった。
参考文献
Lewis, R. (2022) The Evolution Man: Or, How I Ate My Father(=『進化した男――あるいは、私はいかにして父を食べたか』).
Wrangham, R. (2009) Catching Fire: How Cooking Made Us Human(=『火の賜物―ヒトは料理で進化した』).
Gowlett, J. A. J. (2016) The discovery of fire by humans: A long and convoluted process(=『人類による火の発見―長く複雑な過程』).
Binford, L. R. (1980) Willow Smoke and Dogs' Tails: Hunter-Gatherer Settlement Systems and Archaeological Site Formation(=『ヤナギの煙と犬の尾―狩猟採集民の居住システムと考古遺跡形成』).
推定総盗用率:およそ0~3%




