人間19
部族の何人かが薪を集めに出かけるたび、ヴァーニャは残った者たちの様子を見て回った。老人や子どもに声をかけ、火が絶えそうになれば薪をくべ、水場の様子にも目を配る。それが彼の日課だった。密林のざわめきの合間からは、彼が梢から梢へと飛び移るたびに、「シュッ、シュッ、シュッ」と風を切る音が聞こえてくる。ときおり枝が耐えきれずメリッと折れる音や、低く吐き捨てるような悪態がそれに続いた。彼は太い腕で枝をつかみ直しては軽々と次の木へ身を躍らせる。だが、運悪く足を踏み外して地面へ落ちることもある。そのたびに森中へ響き渡るような怒鳴り声が上がり、近くにいた鳥たちは一斉に羽ばたいて飛び立った。
参考文献
Lewis, R. (2022) The Evolution Man: Or, How I Ate My Father(=『進化した男――あるいは、私はいかにして父を食べたか』).
Binford, L. R. (1980) Willow Smoke and Dogs' Tails: Hunter-Gatherer Settlement Systems and Archaeological Site Formation(=『ヤナギの煙と犬の尾―狩猟採集民の居住システムと考古遺跡形成』).
Gowlett, J. A. J. (2016) The discovery of fire by humans: A long and convoluted process(=『人類による火の発見―長く複雑な過程』).
推定総盗用率:およそ2~6%




