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崩壊11
ヒュペリオンの傍らには、常に二つの球体が浮かんでいた。一つは炎のごとく灼熱を放つ球体。もう一つは霜のように冷たい球体。それらは互いに相反しながらも、決して離れることはなかった。
ヒュペリオンは自然の秩序を乱さぬよう、二つの球体を空のはるか高みに留めていた。やがて、灼熱の球体は「太陽」、冷たい球体は「月」と呼ばれるようになる。太陽は月を照らし、その光は世界へと広がっていった。かつて漆黒に閉ざされていた大地は、初めて明るさを得たのである。
しかし、太陽の熱は水を蒸発させ、月の冷気は水を凍らせた。水を何より必要としていたダクリアはそれを憂い、森が滅びることすら危惧した。そしてダクリアはヒュペリオンを諫めた。その末にヒュペリオンは、太陽と月が同時に現れぬよう定めた。太陽が去れば月が昇り、月が沈めば太陽が現れる。そうして世界は、灼熱にも氷寒にも偏らぬ均衡を得た。
参考文献
Hesiod(紀元前約700年)Theogony(=『神統記』).
推定総盗用率:およそ20~40%




