人間267
イザはさらにいくつかの草花を摘むと、近くに咲き誇る色とりどりのタチアオイの茂みへ歩み寄った。すっと伸びた茎から、バラ色や紫、白、黄色の花をいくつか摘み取る。「タチアオイは、皮膚の炎症や喉の痛み、擦り傷や引っかき傷を和らげてくれる。花を煎じて飲めば、痛みも和らぐけれど、眠くなる。根は傷によく効く。お前の脚を治したのも、タチアオイの根だよ、エラ」エラは手を伸ばし、太ももに残る四本の平行な傷跡にそっと触れた。そして、ふと思う。(もしイザがいなかったら、あの時、私はもう母のもとへ行っていたのだろう)
エラが何やら考え込んでいるのを見て、イザは不思議に思い、尋ねた。「どうしたの?」「ううん、何でもない」(まったく、私はもう決めたはずなのに)「何でもないわ。ちょっとぼんやりしていただけよ」「そうなの?」イザはそれ以上何も言わず、そのまま前へ歩き出した。
参考文献
Auel, J. M. (1980) The Clan of the Cave Bear(=『ケーブ・ベアの一族』).
Azab, A. (2016) Alcea: Traditional Medicine, Current Research and Future Opportunities(=『アルセア属:伝統医学、現在の研究と将来の可能性』).
Valizadeh, R., Hemmati, A. A., Houshmand, G., Bayat, S. & Bahadoram, M. (2015) Wound healing potential of Althaea officinalis flower mucilage in rabbit full thickness wounds(=『ウスベニタチアオイの花粘液がウサギの全層皮膚創傷における創傷治癒に及ぼす可能性』).
Sadanov, A., Baimakhanova, G., Orasymbet, S., Ratnikova, I., Baimakhanova, B., Smirnova, I., Kantureyeva, A., Zhakipbekov, K., Tolenova, K. & Turgumbayeva, A. (2026) Pharmacological effects and phytochemical profile of Althaea officinalis(=『ウスベニタチアオイの薬理学的作用と植物化学的プロファイル』).
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