人間266
エラはウヴァを背負い、イザとともに小さな丘を越えた。すると、イザが足を止めた。ずっと質問を繰り返していたウヴァも、疲れたのだろう。いつの間にか眠ってしまっていた。
「漏斗状の黄色い花をつけていて、花の中心が紫色になっている、あの植物が見える?」エラは、高さ三十センチほどの植物に手を触れた。「これ?」「そう。それはヒヨスよ。毒性が非常に強いから、絶対にそのまま食べてはいけないわ」「どの部分を使うの?根?」「使える部分はたくさんあるのよ。根、葉、それから種ね。葉は花より大きくて、茎の左右に互い違いについているわ。よく見て、エラ。葉はややくすんだ薄緑色で、縁には棘があるでしょう。それに、葉の中央に生えている長い毛が見える?」イザはそう言いながら、その毛に指を触れた。エラは注意深く観察した。
それからイザは葉を一枚摘み、指先で揉んだ。「匂いを嗅いでみて」エラが鼻を近づけると、葉からは麻酔薬を思わせる強い匂いがした。「乾燥させると匂いは消えるわ。果実には、小さな茶色の種がたくさんできるの」イザは土を掘り、太く、ヤム芋のような形をした、表面に皺の寄った根を引き抜いた。外皮は茶色く、割れたところは白かった。「部位によって使い道は違うけれど、どれも薬になるのよ。お茶にして飲むこともできるわ。でも、効き目が強いから、ほんの少しで十分。きれいに洗った皮膚に塗ることもできる。筋肉の痙攣を和らげたり、眠りにつきやすくしたりする効果があるのよ」
参考文献
Auel, J. M. (1980) The Clan of the Cave Bear(=『ケーブ・ベアの一族』).
推定総盗用率:およそ0–5%




