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オケアノス10
「すまない、テュポーン。父上がそこまでお前たちを憎んでいるとは思わなかった」オケアノスは静かに視線を落としながら言った。彼はすでにウラノスがテュポーンに毒を盛ったことを知っていたが、その事実は彼の中で重く沈んでいた。ただ好悪の感情だけで命を奪うそのやり方は、神であっても到底正しいとは思えなかった。「別に、俺は気にしていない……」テュポーンは肩をすくめるように答えた。「本当か? さっきからずっと、今にも殴りかかりそうな顔をしていたが」オケアノスは静かに問い返す。「それはお前の思い違いだ」テュポーンは即座に否定する。「……そうか?」「そうだ」短いやり取りの中に、互いの本音と距離がわずかに揺れていた。
参考文献
Hesiod(紀元前約700年)Theogony(=『神統記』).
推定総盗用率:およそ5 ~ 12%




