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人間57
しかし、ナオは彼らにこう語った。「俺は遠征の途中で灰色熊に出会ったことがある。あれは深い森を越え、川沿いを進んでいた時のことだ。突然、茂みの奥から巨大な灰色熊が姿を現した。その体は岩のように大きく、立ち上がれば人の倍ほどもあった。灰色熊は犀のように視力こそ優れていないが、獅子にも劣らぬ力を持ち、その気性は荒々しく、決して退かない。俺が槍を構えると、奴は低く唸り声を上げ、地面を掻きながら一歩ずつ近づいてきた。その眼には恐れの色などなく、まるで森の王であるかのような威厳があった。あの時、俺は初めて真の猛獣というものを知ったのだ」
参考文献
Boex, J. H. H. (1911) La Guerre du feu(=『火の戦い』).
Diamond, J. (2012). The World Until Yesterday: What Can We Learn from Traditional Societies? (=『昨日までの世界―文明の源流と人類の未来』).
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