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混沌10
混沌とダクリアは、ガイアの噛み跡を素早く確かめた。指先についた歯形は浅く、すでに自然に治りかけている。「……大丈夫だ、問題はない」混沌は低く呟き、手を引いた。ダクリアは何も言わず、その場に立ったまま、まだ泣き続けているウラノスとタルタロスを鋭く見やった。その視線は場の空気ごと押さえつけるようで、周囲はわずかに張り詰めた。「そんなに怖い顔をするな、ダクリア」混沌は小さく息をつく。「あの子たち、怯えてしまっただろう」沈黙が一瞬落ちる。「……そうだな」ダクリアはゆっくりと視線を外した。声音は相変わらず冷ややかだったが、漂っていた圧迫感はわずかに和らいでいた。
参考文献
Hesiod(紀元前約700年)Theogony(=『神統記』).
推定総盗用率:およそ5 – 12%




