秋の離宮へ
ジュリア視点です
短いです。
「マークと秋の離宮へ行こうと思うの」
アルフォンスが花嫁を連れて帰ってきて数日後、お義母様がにこやかに言いました。
思えば、世界旅行に行きたいと言って出たものの、あれやこれやで短期間で帰ってきていただきましたね。
それを思うと、秋の離宮へ羽を伸ばしに行きたいという気持ちもとてもわかります。
ノア様も同じ考えのようで、止めることもなく、お二人をにこやかに送り出しました。
お義母様達はニコニコ笑顔で旅立ちました。
少しはゆっくりしてもらえるといいのですが。
私はまだ秋の離宮にはいったことがないのですが、落ち着いた林の中にあって、リスなども近くで見られるそうです。
一度は行ってみたいですね。
私達も引退したら、秋の離宮に行ってみたいです。
ノア様は最近、本格的に国王としての公務をエドワードに教え始めました。
エドワードも20代なかば。
王太子としては立派ですが、国王の椅子を継ぐにはやはりまだまだです。
まぁ、ノア様もまだお若いですから、そんなにすぐにはエドワードに継がせることはありませんが。
けれど、いつ何が起きるかわかりません。
ノア様が急病になって突然この世を去ることになれば、エドワードは国王として即位することになります。
賢王と呼ばれたお義父様のあとを引き継いで、ノア様も平和で穏やかな治世を築いています。
その後を突然任されたりするのは、エドワードには荷が重すぎるでしょう。
そういう考えで、ノア様はエドワードに少しずつ教えているのです。
帝王学は幼い頃から学んでいますし、王太子としての教育も受けてきているので、学ぶことは本当に実務的なことばかりのようです。
エドワードが学ぶなら、と、私もエリザベスちゃんに王妃教育を少しずつ教え始めました。
私はいろんな意味で特殊でしたので、あまり参考にはならないと思うのですが、お義母様から受け継いだ王妃教育は、エリザベスちゃんにもしっかりと伝えていきたいと思います。
幸いエリザベスちゃんは私と違って真面目でしっかりもの。
みるみるうちに成長していきました。
ちなみに、一週間に一度はノエルを招いて、息抜きを兼ねたお茶会をしています。
アンジェロは、最近「見えないお友達」ができたようです。
正確には大人には見えないお友達、ですわね。
妖精さんか何かかなーと思っていますが、妖精さんを見たことがないし、この世に現れるという話も滅多に聞かないので断言はできません。
お義母様達が秋の離宮へ行って半年。
穏やかな毎日が続いていました。
そう。
あの日までは。




