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乙女ゲーのモブキャラに転生したら王子にプロポーズされました  作者: いち
第2部 ノエル編 最終章 ゲームの終わり
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放浪の旅

ジュリア視点です


ついにあの方が動き出します。

本日、アルフォンスも、とうとう学園を卒業しました。

もちろん首席です。


同学年で常にトップ争いをしていたアインくんは、自分が首席にならなかったことに安堵していました。

卒業生代表挨拶とか、面倒ですものね。


ノア様とお義父様とお義母様と一緒に卒業式に参加して、アルのしっかりした姿に少し涙しました。


そしてその日の晩の晩餐で、アルが爆弾を投下しました。



「ここまで育ててくださって感謝しています。お陰様で無事に今日学園を卒業することができました。

それで、前々から考えていたことなのですが、私はこの後、花嫁探しの旅に出たいと思います」


「え!」


「本気か、アル。仮にもお前は王子なんだそ?」



ノア様、それは…………


案の定アルに言い返されました。



「お父様は王太子でありながら、卒業後すぐに花嫁探しの放浪の旅に出たではないですか。

私も、どこかにいる私だけの女性を探しに行きたいんです」



アルったらロマンチストさんなのね。



「もちろんすぐにとは言いません。お姉様が無事に出産して1年経つまでは公務を行います。

併せて、旅の準備をします」



アルの中ではもう決定事項なのですね。

ノア様もご自身が放浪の旅に出ていたこともあって反対はできないようです。



「………供には誰を連れていくつもりだ?」


「アリエスタを」



アリエスタは、アインくんがノエルの専属執事になった時に、アルの専属執事になった子です。

年齢はアルと同じ歳。



「アリエスタの婚期を逃すかもしれないのよ?」


「アリエスタは構わないと言ってくれています」


「アルが旅に出てしまったら、今みたいに頻繁に会うことは出来なくなってしまうのね……」



最後のストッパーであるノエルが淋しげに言いましたが、アルの決意は固い様子。



「すみません、お姉様。でも、手紙は出来るだけこまめに送りますし、その土地の珍しいお土産があればそれも送りますから」


「必ずよ?毎月最低でも二度はお手紙を送ってね?」



ノエルも陥落。



「お姉様の赤ちゃんも見たいし、少しでも顔を覚えていてもらいたいから、赤ちゃんが1歳になったら旅立ちます。まずは、ジン共和国を訪れるつもりです」



もう、計画も立てているのね………



「仕方ないな。必ずその国の王城かそれに準ずる所で生活すること。

16になるまでは遊学を、それ以降は何か仕事をすること。身分はその国の王族以外には秘匿すること。これが出来るなら認めよう」


「わかりました。ありがとうございます」



こうして、アルフォンスは着々と旅の準備を始め、そしてノエルの赤ちゃんが1歳になったとき、宣言通り旅立ちました。



涙をひっそり拭って馬車を見送る私に、お義母様が優しく肩を抱いてくれます。



「トリス王家の男性は、ロマンチストだから仕方ないわ」


「そうですね。アルフォンスから、素敵な婚約者を見つけたと連絡が来るまで、気長に待ちますわ」



アルフォンスは私達には滅多に手紙を寄越しませんが、ノエルには約束通り頻繁に手紙を送ってきているようで、今はジン共和国の学園の最終学年に編入させてもらっているようです。

でも、国の在り方としては面白いけれど、今のところまだ運命の相手には出会えていない、と書かれていました。


ノア様が私に出会うまでかかった期間は6年。

アルは、何年で見つけられるかしら。


アルには、ノア様が私と出会った年齢までに相手を見つけられなかったら、政略結婚させると言ってあります。

出来れば、早いうちに自分だけのお姫様を見つけてほしいですね。



あれから数年。

ジン共和国からロングアイランドへ、そしてカルーア、ミモザと1年ずつ滞在して、今はルシアンにいるようです。

アリエスタから、どうやらアルフォンスが恋をしたらしい、と連絡が入り、すぐにお相手の情報を集めました。


ルシアンの伯爵家の次女で、成績は中の上。

性格がよく、クラスメートとも仲良くやっている様子。

婚約者は決まっていなくて、今はアルが少しずつ距離を縮めているようです。

彼女を籠絡できるがどうかはアル次第。


私達はニヨニヨしながら、ノエルに届くアルフォンスからの手紙を読む日々を送っています。



「運命の女性に婚約を承諾してもらえた!すぐにそちらに連れ帰るから、迎え入れる準備をお願いします」



その手紙が私達のもとへ届いたときはみんなでハイタッチをしました。

影に探らせても、その令嬢にはなんの問題もありませんでしたし、私達はすぐにアルと婚約者のご令嬢を迎え入れる準備に入りました。


およそ2ヶ月後に到着したアルの運命の相手、エリーちゃんは、小さくて目がクリクリしていて、どこか小動物を思わせる女の子でした。

どことなくノエルに似ているというのは、もう気が付かないことにしておきましょう。


魔法の才能は一般的でしたが、淑女が魔法を使う機会などそうそうありませんし、花嫁教育で魔力と扱い方がうまくなるかもしれませんしね。そこは気にしていません。


ティーダ様の奥様の時と同じ花嫁教育のカリキュラムを渡して、1日ゆっくりしてもらってその翌日から教育が始まりました。


数日後の早朝、私は、お義母様とマリアンヌ様に話して、中央広場へと行きました。

あの子の、石化を解くために。


石化を解いたあとは、トリスの属国を含めてそれ以外の国で生きてもらう事になりますが、それでもクロエちゃんは涙を流して私に謝罪と感謝の気持ちを伝えてくれました。

ちょうど石像を磨きに来たユリウスくんは、クロエちゃんの石化が解けていてとても驚いていましたが、クロエちゃんがこれから一人でロングアイランドに向かうと聞いて、自分も一緒に行くと言い出しました。

ロングアイランドでは、私は信仰されていますから、きっと土産物屋もうまくいく、と。

ユリウスくんが一緒なら、きっとクロエちゃんも大丈夫でしょう。


ユリウスくんは家に戻ってご家族を説得すると、素早く旅の準備をして広場に戻ってきました。

どうやら説得にはあまり時間はかからなかったようです。

毎日クロエちゃんの石像を磨いていた姿を見ていたので、息子の恋心には気がついていたようです。


こうして、全ての懸念事項は片付いたのです。


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