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乙女ゲーのモブキャラに転生したら王子にプロポーズされました  作者: いち
第2部 ノエル編 第四章 ヒロインのジンクス
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婚約披露パーティーと不審なプレゼント

ジュリア視点です

今日はノエルとアインくんの婚約披露パーティーです。


少し警戒していましたが、アルはちゃんと一人で帰ってきました。

どうしてクロエちゃんは呼ばないのかと、とてもプリプリしていましたけど。



ノエルの支度の様子を見に行くと、深緑のドレスをちょうど着たところでした。

デコルテで、首筋から胸元までのラインがとてもきれいに出ています。

この子は最近胸が大きくなってきたので、こういうドレスがよく似合います。

私は妊娠授乳期間しか胸は大きくなりませんでしたのに、ノエルは誰に似たのでしょう。

お母様かしら。

お母様はフワフワの胸の持ち主でしたから、隔世遺伝かもしれません。

私がノエルの歳の頃は、ツルペタだった記憶があります。

お母様なんだか複雑な気分よ?


それはともかく、装飾品はブルーサファイアのネックレスにイヤリング。

髪にもバラを象ったブルーサファイアの髪飾りを付けます。


もちろん、アインくんの髪と瞳に合わせた配色です。


1週間前から念入りにエステをさせていたので、お肌もツルピカのツヤツヤです。

お化粧は少し大人っぽく。


ふふふ。

アインくんが惚れ直すこと間違いなしね。

押し倒さないように言っておいたほうがいいかしら。

でも、アインくんは紳士だから、大丈夫でしょう。


ノア様はすごくすごーく渋りましたけど、結婚は1年後に決まりました。

王女とはいえ、お嫁に行くのは変わりないので、婚家での花嫁修行があります。

なので、もったいないですが学園は退学です。

割とそういう貴族の令嬢はいるので、ノエルも特に何も感じていないようです。

それよりも早く結婚できることが嬉しくて仕方ないようですね。

今日も朝からニコニコですし。


お嫁に出すと言ってもマリアンヌ様の家。

いつでも気軽に遊びに越させられます。

だって、マリアンヌ様ご自身が、エリクと離れたくないばかりに、厨房の隣の小部屋を研究室にしてしまったくらいですから。

花嫁修行も、王城から通えばいいですし、1年間は少なくとも一緒に暮らせます。

アインくんはその間はガマンですね。



「王妃様」



後ろからティレーズが小声で話しかけてきました。


手には何か小さなラッピングされた箱を持っています。



「ノエル様に、お届け物です」


「例の子から?」


「はい」


「ノエルには知らせないで。とりあえず私の部屋へ置いておいてちょうだい」


「かしこまりました」



王城の鐘が鳴りました。

さあ、パーティーの開始です!



「この度……グスッ……我が娘ノエルが、ハンバード侯爵家のアイン・ハンバードと正式に婚約する運びとなった。

ズズッ……挙式は今日から一年後。

みな、我が娘とアイン・ハンバードを祝ってやってほしい」



ノア様……そんな半泣きで言わなくても……

我慢できなかったのでしょうか。


盛大な拍手の中、ノエルとアインくんが綺麗に貴族の礼をします。


楽団の演奏が始まり、アインくんがノエルをホールの真ん中にエスコートして、ダンスを始めます。

アインくんがうっとりとした目でノエルに何か囁いて、ノエルは真っ赤になって上目遣いでアインくんを睨んでいます。

かと思うと、二人でクスクス笑い始めました。



お人形さんのようで、本当にお似合いの二人です。


初めてマリアンヌちゃんに、アインくんを養子にしたいと相談された時は、こんなことになるとはほんの少ししか思っていませんでした。

ええ。ほんの少しは思っていたのです。

アインくんが、ノエルに好意を持っている様子でしたから。

でも、その頃はまだノエルはバトンくんと婚約していましたしね。


でも今になってこうして見ると、見た目的にも中身のうえでもバトンくんよりアインくんの方がノエルにはお似合いです。

災い転じてなんとやら、ですね。


ノエルは私とノア様の大事なひとり娘。

絶対に幸せになってほしいのです。


私は目尻をそっと拭ってノア様の手を握りました。



「ノア様?私たちも新婚の頃を思い出して、一緒に踊りませんか?」


「ジュリア……そうだね。ノエル達に負けてられないな」



私たちが踊り始めると、エドワードとエリザベスちゃんもニコニコして踊り始めました。


これではまるでラブラブ対決です。


王族のラブラブを見せつけられる出席者の皆さんは、今何を思っているのでしょうね。

お砂糖を吐いてないといいのですけど。


…………………………………………………………


無事に婚約披露パーティーが終わり、私はお義母様とマリアンヌ様、お義父様、ノア様とエドワードと一緒に私の自室へ戻りました。


アルには、クロエちゃんにお手紙でも書いてあげなさい、と言ってさり気なくメンバーから外しました。



「この箱が、例の?」


「はい、ノエル宛てに届きましたわ」


「ジュリアちゃん、念の為、無効化結界魔法を」



お義母様に言われるまま、内側から発される魔法を無効化する無効化結界魔法を発動し、更に念の為、防御結界を張ってから、そぅっと箱を開けてみました。


中に入っていたのは黒い宝石の埋め込まれたブローチ。

見た目はただのブローチです。

でも。



「留金の所にごく小さな針が付いていますわね」



マリアンヌ様が綿棒で針全体を拭き取って、試験管に入れます。



「毒の有無は今夜中に調べますわ」


「お願いします、マリアンヌ様」


「それとこのブローチにも魔法がかかっているわね。何の魔法かしら」



お義母様の言葉に、ノア様とお義父様が魔力を流しこんで調べます。



「これは………身につけた人間の体力を根こそぎ奪う魔法か……!」


「ノエルを殺す気だったと見ていいな」


「ノエルを殺すなんて、許しがたい!」



珍しくエドワードも激怒しています。

当然ですね、妹の命を狙われたのですから。



「婚約をしたとは言ってもノエルはまだ王族。

自分の婚約者の姉を、しかも王族の命を狙うとは……!」



ああ、怒る姿など見たこともないお義父様までもがご立腹です。



「ジュリアちゃん。至急オブライエン子爵に、登城するよう紙鷹を。

それと、アリアちゃんにも。同時にアリアちゃんの家に馬車を」


「分かりましたわ」


「ここまで来ると、性格の矯正だけでは何ともできないわね」


「エドワード、アインくんを呼んできて?

それから、ノアとマークはノエルのお相手をお願いします」



お義母様の仕切りで、私達はそれぞれ動き出しました。


オブライエン子爵とアリアちゃんが来るまでの間に、マリアンヌ様が毒の有無と何の毒かを調べてくださいます。



アインくんは私の部屋に、硬い表情でやってきました。

おそらく、来る途中でエドワードにある程度話を聞いたのでしょう。



「ノエルの命が狙われたと、伺いました」


「ええ。魔法と、あとはおそらく毒。あの後、クロエちゃんから手紙は?」


「王命がでてからしばらくは届きませんでしたが、今日になって紙鷹で届きました。こちらになります」



アインくんが未開封の手紙を差し出します。



「会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい」



ただこれだけ。

サイコです。


手紙に目を通した私たちは怒りを通り越して恐怖を覚えました。



「リリアンに匹敵する狂気ね」


「リリアンよりも恐ろしいかもしれません」



その時、トトンとドアがノックされ、マリアンヌ様が入ってこられました。



「ある程度目星をつけておいたおかげで早く毒の種類が判明しましたわ。これは、トリカブトの毒です。ほんの少量で麻痺を起こし、致死量であれば心臓麻痺すら起こす毒です。

幸い、と言っていいのか分かりませんが、針に付いていたのは致死量ではありませんでした」


「突如原因不明の病気で倒れたアインくんの婚約者に、自分が成り代わるつもりだったのかしら。

アルのことはどうするつもりだったのかしらね」


「さて、どうしたものかしら」


「ノエルを殺そうとしたことは許しがたいです。このブローチを、アルから本人にプレゼントさせてその場でつけさせましょう」



エドワードが氷点下の表情でいいます。


昔似たことがありましたわね。

あれは、リリアナが毒入り紅茶を送ってきた時だったでしょうか。



「駄目よ、エドワード。もしもアルが付けてあげるなんてことになって誤って針を指したりブローチで体力を奪われたら大変なことになるわ」


「よく似た偽物を、アルフォンスには持たせましょう。

絶対につけてもらうように、と」



きっとクロエちゃんは、受け取ることすら嫌がるでしょう。

そのときに真実を話すか、「魔法の気配を感じるのだ」と誤魔化すか。

前者ならアルは怒り、嘆き、最悪クロエちゃんを殺してしまうかもしれません。

影をつけておいたほうが良さそうですね。

後者なら、王族を、自分の身内を疑われたと、やはりアルは怒り、嘆くでしょう。

いいえ、もしかしたらクロエちゃんの言うことを信じるかもしれません。

そうなったらなったで、面倒ですわね。


お義母様も同じことを考えていたようで、口を開きました。



「もしもアルフォンスが私達の言葉よりあの子の言葉を信じるなら、王族としては失格です」



厳しいお言葉ですが、確かに一旦は信じても、その後で裏付けを取ってどちらが正しいのか判断できるようでなければ、王族としては失格です。

まだ11才。

勉強を重ねてスキップ制度で学園には入学していても、前世で考えればまだまだ幼い子どもです。

判断を間違えて、王族として失格の烙印を押されても、やり直すことはできます。

クロエちゃんに執着しない限り。



トトン、とまたノックの音が響きました。



「王妃様。オブライエン子爵、並びにアリア嬢が登城致しました。こちらへお通し致しますか?」


「いいえ。私の部屋へ」



王城中心部ではまだまだ働いている使用人も多いので、お義母様の自室で話し合うことになりました。



「恐れ入りますが、あの……このお時間のお呼び出しとは、娘に何かございましたでしょうか」



オブライエン子爵の様子は、娘の身を案じる父親そのもの。

まさか、娘が王女暗殺を目論んだなど、思いもしていないのでしょう。


これから話さなければならないことを考えると、同じ親として気が重くなります。


アリアちゃんは深夜の呼び出しでおおよその検討はついているようです。



「まず、オブライエン子爵。あなたの娘さんのクロエ嬢が学園にいる間、ノエルの婚約者であるアイン様に過剰なスキンシップを取っていたのはご存知ですか?」


「クロエが?まさかそんな、クロエにはアルフォンス様というご立派な婚約者がおりますのに」


「学友に窘められても、やめる気配はなかったそうですわ。

また、休みの日にはお約束もないのにハンバード家へ押しかけたりもしていたそうですわ。

なので、アルフォンスと一緒にミモザへ行ってもらったのです」


「そんな……娘の無礼をお許しください」



髪の薄くなった頭を下げるオブライエン子爵には、まだこれからもっと胃の痛くなる話をしないといけません。



「ミモザへ発ってから、クロエ嬢から手紙は?」


「半月に一度ほどの割合で届いております。早くトリスへ帰りたい、と」


「ここにいるアイン様には、もっと頻繁に手紙が届いています。そのことは知っていますね?

以前、このようなことが続くなら、アルフォンスとの婚約は破棄し、クロエ嬢には相応の処分をくだす、と陛下からお話があったはずです」


「はい。ですから、私からも二度とアルフォンス様以外の男性に手紙を書くことは許さない、ときつく叱っておきました」



気弱そうな子爵ですれけど、言うべきことは言ったのですね。



「ですが、手紙が届かなくなったのも一時的。或いはあえて狙ったのかもしれませんが、今日また、紙鷹で手紙が届いたのです」



そう言って、クロエちゃんから届いたサイコな手紙を見せます。

親ですから、娘の字は見間違わないでしょう。

手紙を読む子爵の顔色が無くなっていきます。



「そして今日、ノエル宛にクロエ嬢からブローチのプレゼントが届きました」



子爵がホッとした顔をしたのもつかの間、私は追い打ちをかけました。



「麻痺毒のついた針と、体力を根こそぎ奪う魔法が仕込まれていました」


「まさか!そんな……!」



誰だって、自分の大切な家族が人殺しをするなんて、思ってもいないでしょうし、信じたくもないでしょう。

それが、手塩にかけて育ててきた子供ならなおさら。



「クロエ嬢の今後につきましては、クロエ嬢のご学友の証言も集めつつ、処分を陛下と相談し、追って連絡します」


「………かしこまり、ました………当家でも、娘の処分を検討いたします」



本来なら極刑。

ですが、ノエルを出来るだけ傷つけたくありませんし、ノエルも本当のことを知ったとしても極刑は望まないでしょう。



「今夜のところはお帰りくださって結構ですよ。なお、クロエ嬢の処分が決まるまでは、クロエ嬢との接触は禁じます。

手紙が届いても返事を書かないようにして下さいね」


「仰せのままに」



魂が抜けたような状態で、オブライエン子爵は帰っていきました。



「と、言うわけなの。アリアちゃん」



アリアちゃんは何か言おうとし、チラッとエドワードを見ました。


ああ、セブプリが絡む話になると、エドワードがいては困りますね。



「エドワード。少し席を外してちょうだい。アイン様も」


「はい」


「かしこまりました」



エドワードとアインくんが出ていくと、私は今朝届いたというクロエちゃんの手紙をアリアちゃんに見せました。



「サイコさん!」


「ええ。予想外にサイコさんだったわ」


「それで………クロエ様はどうなるのですか?」


「婚約破棄のうえ、追放かしらね」


「ですがそれなら、リリアン様のときのようになるのでは?」


「そうなのよ、それも有り得るのよね」


「性格矯正など、サイコさんには効きませんしね」



私達はしばらく考え、お義母様が一つの案を出しました。

今回は少し長くなってしまいました。


筆者の文章力の無さで一部の方に誤解を与えてしまったようですが、ノエルの現在の胸の大きさは「今のジュリアの胸」より大きいわけではなく、「ノエルと同じ年頃だったジュリアの胸」より大きいだけです。

妊娠授乳期間しか大きくならなかったとはいえ、ジュリアの胸も人並みに成長してます(笑)

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