降下作戦 その終
海岸から四つの砂煙が吹き上がる。障壁を張り、着地を狩られるのを警戒した魔法少女たちが砲弾のように上陸する。
続けて海面を滑るように移動し、魔法弾で魔物の数を減らしながら私も突入する。上陸と同時に周辺を軽く見渡し、魔法少女へ指示を飛ばす。
「フェアリー各位は、事前通達通りに組で掃討を行ってください!強魔級との戦闘は出来るだけ避けるように。では、散開!」
「「「「了解しました!」」」」
戸惑いや恐怖よりも先に、行動に移せた魔法少女たちが攻撃術式を展開させながら左右へ分かれて行く。……私は強魔級以上の魔物の捜索と殲滅へと移行する。
目を閉じ、余計な視覚情報を遮断する。最近知ったことだけれども、魔力を”視る”のは目ではないらしい。具体的にどこで視ているのかは時雨さん達も分からないらしいけど、目を閉じた方が魔力を視る精度は上がる。
近くに2体、そこから少し離れた位置に3体が散らばっている。島の大きさからすると全体の半分くらいしか視えてないから、もう少し居てもおかしくは無い。
一番近い位置の強魔級に目掛けて魔力砲を一直線に放つ。周辺の地形、構造物を引きずり込むように巻き込みながら強魔級一体が消滅する。
……重力制御を組み込んで放つとまとめて消し飛ばせるから便利ではあるけど、少し魔力の消費が重い。もう少し改良が必要だと思う。
少し遠くでガンシップの榴弾が着弾する音も聞こえ始め、魔法少女への援護が始まったことを知らせる。脅威級以下なら倒せるはずだから、数を減らしてくれるのは有難い。
煙を切り裂きながら、一直線に造り上げた道を飛行する。攻撃術式を待機させながら強魔級の目の前へ踊り出る。……まだ、こちらを認識していない強魔級へ魔法弾を数発撃ち込み、怯ませたところへ魔力砲で魔力のコアともいえる場所を撃ち抜き消滅させる。
これで2体。探知圏内の強力な魔物の反応は増えていない。ふと、脳内へノイズ交じりの思念が入り込む。
『フェアリー4、5。反応ロスト。』
探知圏外の魔法少女がロストした。強魔級との戦闘があったとしてもおかしな報告、二人同時にロストしたとすれば奇襲されたか、強魔級以上と遭遇したか。
魔法少女のロスト位置が不明。残存部隊との合流を優先して向かうべきか。……魔法少女を連れて行っても足手まといの可能性が高い。声だけかけて、私が単騎で確認した方が速いと思う。
幸い、残りの二人の位置は把握した。一旦、合流するべきだろう。
――探知圏内に反応あり。災害級。強魔の上の等級。
魔法少女との距離が近い。間に合うか?……いや、間に合わせる。
≪模倣・時間制御≫
体内時間の加速1.5倍。どこまで頑張っても時雨さんのように2倍速以上にはできなかった。飛行術式と合わせても距離的に間に合わない。……ならば固有魔法を複数使うだけ。
≪模倣・重力制御≫
前方へ私を落とす。これで多少は速くなる。脳への負荷も大きいけれど、魔法大戦の時より……、1年半前よりも模倣の精度は上がってる。
魔法少女と災害級はもう少しで接敵しそう。少し耐えてくれれば間に合う。
『フェアリー2、3。反応ロスト。訓練を終了します。』
空間が、幻のように溶け、意識が浮上する。




