降下作戦 その2
ハッチが開かれ、風が流れ込む。魔法少女たちが一人、また一人と降下を始める。最後に私がハッチから身を投げ、重力へ身を任せる。
「”フェアリー”各位へ、纏まらずに一定の距離を保って降下してください。」
黒煙を引いたガンシップが遠くへ流れていくのを横目に、魔法少女たちに続く。目標地点は、ざっと2キロほど先、自由落下で海面付近まで落ち、波に隠れて飛行し侵入する。
「目標は、”島”の奪還です。地表は海抜10メートルまで残しておけば、後から魔法使いが直せます。救助目標は”居ません”。人のようなものを見ても気にせず倒してください。」
魔法少女達から動揺した気配を感じる、この詳細は事前に”伝えていない”。ただの奪還作戦として編成した部隊。
「救助目標が居ないって……。それに奪還なのに島を守らなくていいんですか?!」
さっき質問してきた娘とは別の子が質問……、ほぼ問い詰めるような口調で聞いてくる。
「あなたたちは救助目標を守りながら戦えますか?……私はそれを完全にこなせる自信はありません。それと島を守っていないのではありません。”直せる”から壊すことを許容しているだけです。」
魔法使いが力を合わせれば、島を元の形に戻すことは比較的簡単だ。建物や生活基盤はその後からでも直せる。
――海面が近づき潮の匂いが強くなる。……そろそろ飛行術式を展開させるべきだろう。
「魔力使用制限解除。飛行術式展開。陣形を組み直してください。」
魔法少女特有の飛翔音があたりに響く。ややもたつきながらの飛行術式の展開だが、陣形の変更は流れるように行っているから、まぁ良しとしよう。
逆V字の様な陣形を組み魔法少女が飛行するのをやや後方の少し上から観察する。……来るならそろそろだろうか。
島の方角。濃い魔力の感覚と共に、熱線が魔法少女と私目掛けて数本伸びてくる。私は高度を少し落としながら避ける。
陣形を組んでいる魔法少女たちの方は、先頭の一人が障壁をやや大きめに張り、熱線を正面から受け止めたようだ。
『フェアリー1、被弾。反応ロスト。』
……まっすぐ受け止めるなと何度も注意されていたはずなのに、咄嗟の判断ではこれが限界だったらしい。あと4人。
「助けなきゃ……」
魔法少女の一人が、助けようと陣形から離れようとしている。……非情な判断になるけど、ここで判断しなければ、国防軍の犠牲が無駄になる。
「陣形を組み直して、突入を続けてください。此処で引き返したら、この作戦が失敗に終わります。速度を上げて、懐に潜り込んだほうがまだ安全です。」
島の輪郭がはっきりと視える。海岸に魔物がそれなりの数いるのを確認する。飛び込むのなら、あそこが一番近い。
「着地が一番危険です。障壁をちゃんとに張って突入して、突入後は二人一組で行動を開始してください。」




