降下作戦 その1
プロペラの駆動する音。国防軍のガンシップのコクピットで機長と作戦についての相談をしている。
「”島”まではいけそうですか?」
「行けるには行けるが……、エンジンが一つ止まっちまってる。対地攻撃を考えたら、あんまり近づきたくはないな。」
正面を見据えたまま機長が答える。護衛機はすでに墜ちており、機体を守る騎士はいない。その代わりに魔法で出した、私の”花”が2つコクピットの外から見える位置を飛んでいる。
「島に着いたら、私の”花”も無くなります。……私たちが”囮”にもなるので、こちらにはそこまで攻撃は来ないはずです。」
「だといいがなぁ。俺たちの任務は、”妖精達”のエスコートだぜ?名誉ある任務をそうそう手放すかよ。」
やや不満そうに機長は答える。魔法少女を送り届け、”魔物に支配された島を奪還する”任務、……確かに名誉ある仕事だろう。
「……帰還用の足が無いのは、不便なのであまり無茶はしないでください。それに……、この機体の火力では強魔級は抜けません。」
ガンシップの榴弾砲でも最近の強魔級の防御を抜くことは難しい。……逆に言えばそれ以下なら効果がある。
「私たちは、予定よりも早く出ます。……そうですね、伝達含めてあと十分後くらいでしょうか。それ以降は、対地攻撃に専念してください。」
機長が各種機材のチェックもしながらちらりとこちらを見る。
「分かった。……”当たっても問題なし”だったか?」
「”構いません”。まぁ、魔法少女の方は直撃したら駄目かもしれないですが、今は奪還が先です。」
島の奪還。今回の主要目標であり、成すべきこと。鉄等級の魔法少女5名と魔法使いの私一人で挑む。魔物の数は詳細不明。少なくとも強魔級が5体以上であり、それ以上の等級は不明。
「では、また会いましょう。」
コクピットを離れ、機関砲などが配置された機内を移動して魔法少女たちがいる区画へ向かう。魔法を扱う者にとって、降下準備は”必要ない”。その身で飛べるのなら余計なものをつかない方が良い。
緊張した面持ちの面々が見える。実戦型は初めての面子だったはずだから緊張していてもおかしくない。
「皆さん、まもなく降下ポイントへ入ります。各自準備をしてハッチ前へ移動してください。」
魔法少女の一人が手を挙げ、疑問を口にする。
「あ……あの!予定時刻よりも早いです!何か不備が……。」
「被弾したエンジンが止まりました。これ以上島に近づくのは危険だと判断しました。私たちは、非魔力依存降下したのち、飛行術式を使用して低高度侵入します。」
全員が怯えるような表情をしているのが分かる。教育段階ではこのような事態にはならなかったはずだから、気持ちが分からなくもない。
「では、降下を開始します。……どうせこの距離では私たちに当たることは滅多に無いです。怯えるなとは言いませんが、力を入れ過ぎないように。」




