戦後処理 後半
「じゃぁ、詳しく説明するとしようか。」
幻理さんが軽く手を振るうと机の上にお茶の入った湯飲みが出現する。湯気が立ち熱そうなお茶が微かな揺らぎと共に出現したのを紫苑さんが驚き、何度も確認していた。
「まず、指導についてだがね。時雨……第二戦で戦った魔法使いが詩織の師匠なんだがね、魔法少女も教えれば”それなり”に強くできるんじゃないかと考案したんだよ。……たまたま詩織に才能があったのか、魔法少女の潜在能力が高いのかはまだはっきりしてないけどね。」
幻理さんがお茶を冷ましながら、経緯を説明し始める。……要求の一つ目は時雨さんの考案らしい。
「育成環境の改善については、……知らないと思うから伝えるが、魔災庁の職員にも魔法使いが居るんだがね、そいつによれば魔法少女の殉職率やら入れ替わりが激しいって何度も愚痴を吐いていたのを思い出してね。ちょいと見てみりゃぁ、魔法少女の育成が間に合って無さそうって判断したわけさ。」
紫苑さんと三善さんからすれば、知らなかった重大な秘密が軽く流され、幻理さんの話は続く。まさか、魔災庁にも魔法使いが居るとは予想していなかったのだろうか、紫苑さんが酷く動揺していた。
「そもそも、私ら魔法使いにとって魔法少女は、後天的に魔力を得た未熟な同胞ともいえるのさね。そちらがどう思うかは知らんが、同じ魔法を扱う存在には変わらないのさ。」
紫苑さんが身を乗り出す様に、慌てて幻理さんへ待ったをかける。
「ちょっと待ってください!魔災庁に魔法使いが居るって本当なんですか!?魔災庁内で私たち以外の魔力反応があったって聞いたこと無いんですが。」
確かに私が魔法少女だった時にも、魔災庁内で魔力計から未登録魔力が検出されたことが無かった。
「あぁ、簡単だよ。あの魔力を検知する機械の事だろう?最初から登録されていれば警報が鳴らないのも自然だろうに。そいつは魔災庁発足時からいるんだよ?その程度簡単さ。」
「まぁ、知らないのも当然だろうねぇ。固有魔法が認識阻害のそいつを覚えているのは私たちくらいだろうしね。覚えてないかい?話したことあるのに顔が思い出せない職員がいるだろう?」
紫苑さんが少し悩むしぐさをしながらぶつぶつと小声でつぶやいているけど、何を言っているのかまでは聞き取れなかった。逆に三善さんは、なんとなく見当がついているのか納得している様子だった。
「まぁ、そいつにとっちゃ、ただの暇つぶしの人間観察らしいけどねぇ、たまに魔法少女に助言するなんてやって楽しんではいるみたいさ。」
「話が逸れたが、次に魔法少女について研究をしたいって話だがねぇ。これに関しては、私も詳しくは知らないいんだよ。」
幻理さんが急に投げやり的にしゃべり始めた。
「私の弟子の凝子は元から魔法少女について研究はしていたんだけどね、サンプルを取ったりするのが面倒だし、そこまで積極的な研究はしてなかったのさ。まぁ、今回の権利を使っていろいろと調べたいってのがあるんじゃないのかねぇ。」
凝子さんが研究していたのが魔法少女だったということは初めて知ったし、初めて会った時に人として見られるよりも、研究対象として見られていた理由がようやくわかった。
「で?そちらはどこまでこの要求に応えられるんだい?」
にこやかに和紙を差し出しながら、幻理さんが答えを促した。




