最終戦 守護者対贋作 その4
――日が陰る。日が沈む。夜が来る。……夜が来る、魔を従えた古の恐怖がやってくる。
魔力砲と弾幕、複数方向からの砲撃。手ごたえは少ないけど、確実に紫苑の魔力を削っているはず。時間感覚がおかしい、もう日が落ち始めたらしい。
私の魔力量もだんだん底が見えてきた、けれども攻撃の手を緩めてはいけない。確実に、まだ私が優勢に近づけているはずだ。余計なことを考えるなら、少しでも削れ、詩織。
「夜は怖いもの。昔からそう教わるでしょう?」
紫苑が、語り掛けるように問を放つ。
「あぁ、怖い。夜は怖い。……人を、民を守るために守護者が築き上げるもの。……先人の”偉業”になぞらえ守護者たる私も、築き上げましょう。」
≪陣地構築――完了≫
詠唱が始まる。策を考えるのは私だけではない。魔法少女が、策を持たぬ愚者と想定した事。敗因となるとしたらこれだろう。
≪偽装展開――終了≫
抉られた地形に”手が加えられる”。走り回り、戦いやすいように。
≪起動条件――承認≫
魔力で造られた柵が、壁が、姿を現す。迫りくる敵の流れをせき止めるように。
≪弱き者達を夜から守る為、再誕せよ≫
目の前に現れるのは、武骨な盛り土と壁で出来た砦。”一夜にして築かれたという城”。
≪一夜城!≫
城門の前で地面に剣を突き刺し、堂々たる姿勢をもって紫苑が立ち塞ぐ。和の城に洋の騎士の意匠を持った魔法少女が君臨する。
ちぐはぐで、面白くも思えるような光景が、たまらなく威圧感のある光景として私には視える。事実、城壁から漏れ出ている魔力で私の魔法は、減衰されると予想される。
「守るもの無き戦場においても、それでも私は、”守る”と誓いましょう!」
城壁の隙間、微かに発光があり魔法弾の弾幕が私へと降り注ぐ。一発の火力は高くない、ただ数が多い。花の障壁を眼前へと配置し、弾幕を防ぐが小雨と感じるぐらいだった。
当たったところで少し痛い程度だろう、それでも降り続ける中を無策で突っ込むほど愚かではない。――策を考えろ、今までの策は裏返った。勝利のために次を創り出せ。
「……では、私は。私のために勝利を掴ませてもらいます!」
自分を鼓舞するため、声を張り上げ宣言しよう。戦場の盤面をひっくり返されたとて、私が勝利するのだと。
この意地の張り合いを征するのが、私であると。選んだ選択に意味があったのだと、証明しよう。




