最終戦の前
さすがに精神的にボロボロにされた人が居るからか、小休止が挟まれた。魔法少女側では慌ただしく人が動いているのが見えるけど、魔法使い側ではお茶やお酒を飲んでいる人がちらほら見える。
「あぁ、詩織。次、お前が出な。」
お酒を大きな盃へ入れ飲んでいた幻理さんに声を掛けられる。初めから決めていたことを伝え忘れていただけかのような雰囲気を出しながら。
「……えっ!私ですか?!」
戦争という重要な一戦を魔法使いとして未熟な私に任せるなんてことあるのだろうか。
「どうせ、この戦争は”勝ち”だよ。練習じゃない殺し合いを経験するにはいい機会だろう?」
盃からお酒を一気に飲み干し、こちらへと向けられる。
「魔法少女の能力じゃぁ、お前は殺せんよ。安心しな、それに私たちの固有魔法……、ある程度模倣出来るんだろう?なら安心じゃぁないか。」
……確かに時雨さんの時間操作は模倣出来ている。それに凝子さんの重力制御も理論的には模倣できる、使いこなせるかどうかは別として。
幻理さんの固有魔法の幻影も、使うだけなら出来る。ただ、試したことも”使い方”もあまりよくわからない。固有魔法の使い方を聞いたところで答えは返ってこない。
――魔法使いにとっての固有魔法は使うだけならそんなに難しいことじゃないらしい。だから使い方を教えることは難しいと時雨さんが言っていた。
固有魔法を複数使えたところで、それは模倣した偽物であって、本物には遠く及ばない。どこまで行っても本物を越えられない、……そんな気がする。
「うじうじ考えても、”理”は理解できやしないんだよ。ただ、出来ることをしてみりゃぁいいんだよ。簡単だろう?」
「詩織。此処で負けても、戦争には勝っているんだ。深く考えるな、模倣しなくてもいい、いつも通りでいいんだ。」
幻理さんと時雨さんが、激励なのかよくわからない言葉をかけてくる。……出来ることをすればいい。いつも通りでいい。
私は、”本物”の魔法使いじゃない。これは変わらない。でも”理”を知った。”本物”の欠片を使えた。
――なら、私は贋作でもいい。
力が欲しかったのは、魔法使いになりたかったからじゃない。”助けるための力”が欲しいからだ。だったら、本物である必要は無い。




