第二戦 業火対時 前半
第二戦。
――業火 対 時雨――
微かに燃えた空気を纏うような赤を基調とした制服の魔法少女と相対するのは、黒に金の刺繍が入ったローブを纏い長杖を肩に担いだ時雨さん。
黄金等級の魔法少女【業火】と典位の魔法使い【結城時雨】が、”銃”と”杖”を互いに構え、窪地が量産された砂岩の上へ立つ。
「典位が一人。時流れの魔法使い、結城時雨。」
「黄金等級。業火。加苅静香。勝利はもらいます!」
乾いた発砲音と魔力の広がる空気の震えが、戦闘開始の合図となった。
業火の使う銃、ボルトアクションのライフル。ただの銃から魔力を纏った弾丸が空を裂く。……銃に仕掛けがあるのではない。弾に魔法少女の魔力が込められている。
――ただ、時雨さんの魔力干渉帯に入った時点で、それはただの弾丸へと変わっている。
「どうした?そんなにも不思議か。魔法が無力化されることが。」
少しの動揺。業火は恐怖ともいえる感情を殺し、銃口をまっすぐと時雨へと向け直す。
「魔法が使えないのなら、普通に当てればいいだけですわ。」
自分へ言い聞かせるように、言い放つ。排莢、そしてすぐさま発砲。魔物との戦闘で繰り返されたであろう動作を淀みなく行う。
弾の魔力はすぐに無効化されど、弾は届く。それが魔法少女の使っている障壁を使った存在であれば貫けたのであろう。
――魔法使いの……、時雨さんの障壁をその弾丸が破ることは無かった。
「その銃、旧式だが良い銃だよ。魔物にも一定の効果はあるから自衛隊……あぁ、今は再編されて名前が変わっていたか。国防軍にも現役で配備されていたな。」
「10秒。それまで”生き残れたら”勝利は譲ってあげよう。途中で降参してもいいがね。」
長杖を両手で持ち、腰から捻るようにして後ろへと回し構える。
「……では、行こうか。」
軽く声を掛けると同時に、時雨さんの姿が掻き消え、業火が居た地点に杖を振り抜いた姿勢で現れる。空き缶が蹴り飛ばされたかのよう業火が吹き飛んでいる。
――障壁も、防御姿勢すらとった形跡すらなく。
まだ、業火が吹き飛んでいる最中にも関わらず、追撃の魔法弾を時雨さんは雨のように降らす。
辛うじて業火が障壁を展開しているのが見えるが、容赦が無い。まだ、一秒も経っていないのに最初から殺すことを目的にした攻撃ばかり。
体制を立ち直し、時雨さんを探そうとして1秒経過。経験による感か、ただの偶然か、業火が飛びのいた直後にはその場所へ純粋な魔力の砲撃、銀狼が使っていたもの酷似した攻撃が放たれる。




