第一戦 狼対星 その2
足元の砂地が押し固まる。
水が広がるように、砂が砂岩へと変わっていく。
強力な”重力”が空間を支配するように凝子さんを中心に広がる。
「……っ!」
銀狼が本能的に逃れるように後退する。重力は止まらない、おおよそ二百メートルほどが押し固まり変化が止まる。
「見ての通り、私は重力の制御ができます。まぁ……、聞いたところで何ができるかとは思いますがね。」
凝子さんが指揮をするように手を掲げ、振り下ろす。
視えぬ巨人が拳を振り下ろすかのように、砂地へクレーターが次々と生まれ銀狼へ迫る。
「まぁ、安心してくださいな。貴女の耐久力なら即死はしない”はず”です。まぁ、確実では無いので死にたくなければ……、精々必死に生き残ってくださいね?」
銀狼がジグザクに避けながら接近するのを凝子さんは、冷静に観察する。
野生の感なのだろうか、銀狼は攻撃をぎりぎりで躱し続けているけど、躱せば躱すだけ凝子さんから遠のく様に誘導される。
そして、銀狼は振り出しへと戻る。避け続けた先は約二百メート離れた地点まで戻る。
「……っ!」
気が付き、理解し恨めしそうに凝子を銀狼が睨む。
「言ったでしょう?”あなたなら耐えられるはず”……と、無傷での勝利は諦めなさいな。
魔法少女の黄金等級が貴女の中でどれほどの意味を持つのか知りませんが。
――見せてみなさい。証明しなさい。貴女の強さを。」
怒り、憤怒の表情を浮かべていた銀狼から魔力の波が引き、表情が穏やかになる。
「神狼、憑依。」
銀狼の身体を、魔力が駆け巡る。狼の耳と尻尾だけが見えていた姿に、四肢へ毛が生え揃う。
履いていた靴が破け、獣のような足へと変化する。
二足歩行を捨て、四足歩行へと移る。速度を、持久力ではなく瞬発力を求めたかのような姿。
直感とわずかに残る理性の警告のみを残し相手を”食い破る”。
”銀狼”の二つ名、その由来の姿へと変貌した。
「神狼……由来としては、フェンリルあたりの概念でしょうかね?……魔法少女というのは、実に興味深いですね。」
凝子さんが再び手を振るい、クレーターを次々と量産する。
銀狼が先ほどの倍……、いや数倍速い速度で回避しながら接近する。
重力の拳に捕らわれかけた時、銀狼周辺だけ攻撃が”霧散”した。




