↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
原石の軌跡――新しき力と古の知恵  作者: 永火
第3章 魔法大戦
PR
69/92

幕間 ある封理派の最期

夜明け。薄明りの街並みを滑るように散歩する男が一人。


片腕がノイズ化した魔法使い、封理派の魔法使い。

消えかかった街灯のある辻を越えた時、世界の色が、紅に染まる。


「ふむ、やはりか。」


何かを考えるように足を止め、また進む。

朝焼けではない紅の世界。人の見当たらぬ道をただ、進む。


やがて、街並みが”変わり映えすることなく”また、辻を通り過ぎる。

世界の色彩が暗く、暗くなり始めた。


――まるで世界が黒に呑まれるかのように。


「第二十三防壁者も突破されているのか?

想定よりも早い……、いや想定など意味を持たぬか。」


異常な色彩が白と黒へと変わる。時が止まったかのように静かな空間。

やがて、黒は広がり、左右へ裂け、広大な空間を創り出す。


『やぁ、久方ぶり……とでも言おうか。』


何もいないはずの空間に、魔力の震えが声を作り出す。

不定形の粘液。封理派の長。


――最古の魔法使い。


「お久しぶりでございます、封理様。……二十三防壁者はもうだめですな。」


『もう少し、保てると思ったんだけどねぇ。まぁ、仕方ないさ。

どのみち、終末はやってくるんだから。』


闇に紛れるように不定形の肉体が、ずるずると移動する。

人を保っている魔法使いは、ただ正面を見つめながら声を聴く。


『まぁ、君は選ばれた。次の”封理”に。……覚悟は整っているかい?』


「えぇ、当の昔に。……出来れば”封理”となるのは終末か。

……来ない方が良かったとは思っていましたが、これも封理派の役目です。」


魔法使いの足元に幾何学的な魔法陣が組まれていく。

――魔法術式の補助のない原始的で最新の魔法陣。


『まぁ、これを観測している者もいることだし。復習と行こうか。』


「私には観測者を知覚できませんが、共によろしくお願いします。」


封理が”こちら”を視る。視た。視られた。知覚された。


……。


『まず、封理派については、ある程度知っていることだろう。

だから、この復習は、これから行う儀式についてだ。』


『防壁者の継承。”封理”の継承。まぁ、なんとでも呼べばいいが、

――本質は、世界情報を個人に保存すること。』


『”君たち”がよく知る言語なら”セーブ”と”ロード”だ。

正しい世界の理を読み込み、保存する。』


『まだ、本来の使い方をしていないが……、

本来の終末では、”次の世界”へ保存情報を渡す。

……そうすれば、次の”人”類が魔法を覚え、次を乗り越えようとするだろう。』


『あぁ、これを見ている”君たち”。そんなに難しい話じゃない。

ただ、”セーブデータ”を引き継いで”強くてニューゲーム”をやっているだけだよ。』


『まぁ、今はその時じゃないから、世界の”バグ”を無理矢理切り離しているだけ。

今の魔法使いには期待しているからね。』


『長々と騙ったけど、結局は他力本願。今の魔法使いが終末を乗り越えれば、

晴れて我々はお役御免。長年の使命も塵と消えるわけだ。』


『そのために魔法使いと”魔法少女”にも手を取り合って終末を解決してほしい。

……ん?この戦いも封理派が招いた戦いだって?ごもっとも。』


『ただ、その程度で共倒れで魔法が潰えるなら滅んでしまった方がマシだろう?

その時はその時で、終末を待つさ。』


『……あぁ、儀式のやり方については説明はしないよ。

”君たち”に説明したところで理解はできないだろう。

効果と理由さえ知っていれば、”傍観者”としては満足だろう?』


……。


傍観者は此処で、視界は途切れることだろう?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。