山の翁 終
皆さま、お久しぶりでございます。
どれ位の方が更新を待っていただけたのかはわかりませんが、また更新を続けていきたいと思います。
少々短い話とはなりますが、どうぞどうぞよろしくお願いいたします。
力任せの魔力放出。
何処までも白い魔力の奔流が、回避のために翻した顔の横を通り過ぎていく。
魔力干渉をものともせず、攻撃が届いた可能性。
術式を極限まで削ぎ落したが故の存在証明。
「届いた……?当たってないけど、届いた。」
戦っているというのに放心してしまっている花梨。
単純すぎず、複雑ではない魔法術式が自然と構築された。
――魔法少女として感覚で戦っていたが故の戦闘センス。
口角が上がるのが分かる。
戦いが楽しいというよりも……、目の前で成長した”強敵”が、”未知”が。
――どうしようもなく、楽しい。
最初の撃ち合いの時よりも”美しい”術式。
汎用性を捨て、装飾が無く魔法少女らしからぬ術式が、”無駄”を削ぎ落した。
ただ、攻撃を届かせるために進化した。
”既知”であり、”未知”。術式の最適化。
魔法使いが行うそれを、自然と行った。
魔法少女では知らない理論を、花梨は自力でたどり着いた。
翁から基礎は教わったのかもしれない。
――反応からするに”知らなかった”。
”知らない”を知った。理の端を”視た”。
「視えた?……違う。こうじゃない。何が違う?」
宙に浮かぶ花梨の術式が目まぐるしく変わる。
模擬戦の事などすでに頭にないらしい。
「その術式なら、もっと大胆に削った方が良いでしょう。
術式で火力を上げるより、魔力量で押し切った方が魔法少女らしいですよ。」
魔法少女ならば、下手に小細工をするよりも力業の方が”らしい”。
……魔法使いと敵対しているのならば、こちらの技を見せびらかすものじゃない。
知り合った以上、魔災庁ごときに”消される”のは後味が悪すぎるから。
あと、どれくらい、花梨が魔法を使えるのかは……知らない。
けれども、その時が、身勝手に来るのだけは不愉快だと思う。




