幕間 移動
地図。一つ目の場所への訪問は終わった。
次なる場所……、一番近そうなのは山……?
時雨さんといい魔法使いは山に生息するものなのだろうか?
……隠れて住むのには良さそうだけど、買い物とかは……。
――あぁ、飛べば距離を気にしなくていいのか。
私の家もどこかに移した方が良いのだろうか……。
……もう両親のいないあの家に何を求めようか。
未練がないわけでも、後悔が無いわけでもない。
――ただ、ずっと見てこなかった未来を見れるようになった。
なら……、未来に生きたい。
考えながら飛ぶと、時間は速く感じる。
目的の山が近くなっている。周りの山より、魔力がはっきりと囲われて揺らめく。
視ればわかる、魔法使いの所在地。
……魔法少女の時には視えなかった。いや、視えてはいたのかもしれない。
それが何かを知らなかっただけで。
――他の魔法少女が魔力を視たって聞いたことが無いような……。
視える魔力をなぜ、魔法少女は機械に頼って検知している?
魔力が視えていない?じゃぁ、なんで魔法を知覚している?
魔法を見て覚えたって言う魔法少女の話は聞いている。
……”見て覚えた”。言っていないけれど、たぶん魔法使いの術式を見た。
術式の魔法陣自体は一般人でも見えるらしい。
……覚えるのなら魔法陣だけじゃなくて術式の構造も視ないといけない。
戦闘中に?魔法使いのあの速度の展開を見て覚える?
……視せている?魔法使いが?何のために?
――時雨さんとの初めての遭遇した時、魔法陣と詠唱を使って戦っていた。
……視せていた?ただの魔法少女に?
わからない。わざわざ見せる意図が。
次、あったときに直接聞いてみてもいいかもしれない。
そんな考えが纏まったころには、山が目前へとなってくる。
高度を落とし、境界線へと向かう。
この先は、魔法使いの居住地。
ならば、礼儀を欠けてはいけない。
他人の家に飛び込むのは、無法者だから。
ただ、魔法使いの礼儀なんて知らないし、入り口も分からない。
なら知っている限りの礼儀は尽くさないといけない。
境界線、超える前に一礼をする。
相手の事を何も知らない、けれども、中に入るのだから、礼をしなければ。
境界を越え、空気が変わる。
ただ、拒絶ではない、興味……いや、関心の感情が強い?
何もない山の中、地面が騒めき”道”が造られていく。
……丁寧に高低差のあるところは木の根も組み合わせた階段になっていく。
一本道が山の中へと続いていく。
――この先に、ここの魔法使いが居る。




