顔合わせ 終
「まぁ、にぎやかし程度になら参加はしようかな。
戦とは、祭りである。そこに神が居ないのも不自然だろう?」
兄の方が、何処か楽し気に参加を表明する。
「戦場の天候は読めないものです。
ならば読めるようにすればいい、私たち雨乃大蛇は、戦に赴くと致しましょう。」
妹の方は、ここではない場所を見つめるように参戦を表明する。
「あ、詩織はお昼は食べたのかな?」
「え?あー、まだ食べてませんが……。」
「なら、ここで食べていくといいでしょう。
どうせ私たちもこれから昼餉ですし。」
なんというか……断りずらい。
そう考えているうちに、巫女の人が来て双子と何やら話している。
「何か食べれないものとかはあるかい?
あー、何だったか……、そう!アレルゲンとか。」
「兄さん、アレルゲンでは少し違います。
正しくは、アレルギーといった方が伝わるのでは?」
「アレルギーは……、とくには無いです。
ただ、あまり……、ゴーヤとかピーマンは好みではないですね……はい。」
少し、苦みのある野菜は苦手意識がある。
頑張れば食べれるけど、どうにも好きになれない。
「ふむ、山菜はいける口かな?
……都会に住んでいると、山菜もそんなに食べないのかな?」
「さすがに食べたことは、あるのではないのでしょうか?
……え?反応的に食べたことがない……?」
山菜なんて、小さいころお祖母ちゃんの家で少し食べたような気がするだけだった。
「食べたことはあると……思います。
ただ、幼いころだったので、あまり覚えていないというか……。」
「じゃぁ、とびっきり美味しいのをご馳走しよう!
あ、じゃぁ、そういうことでよろしくね。」
兄の方が巫女の方にそう伝えると、巫女は恭しく頭を下げこの部屋を後にした。
巫女の去り際、妹の方はさりげなく要望を伝える。
「天ぷらそば……良いですよね。」
……意外と質素なものの方が、好みらしい。
しばらくすると、油で揚げられた衣と微かに山菜の香りが部屋に届いてくる。
少し離れたところから、何かを刻む音……、たぶん薬味を刻む音。
お腹がすいてくるような音と香りが部屋へと満ちる。
「ちょっと遅いけど、ワラビがこの前奉納されたよね。
あぁ、でもその時にほとんど食べてしまってたかな?」
「たしかその後にも届いていたので、まだあったはずですよ。」
双子は、待っている間にもお昼の天ぷらの予想を立てて楽しんでいた。
「もう夏が始まりますけど……、まだワラビってあるんですか?」
ワラビは春の山菜のはず。もう初夏になっているのにまだ食べれるのだろうか。
「ん?あぁ、量は少ないけど取れるよ。ただ……、本当に量が少ないからね。」
「今は、冷蔵庫などもあるので、少し保存はしていたはずなので。
ただのそばになる心配は無いと思いますよ。」
出された天ぷらそばは、今まで食べていたものとまた違った美味しさを、
――教えてくれた。




