顔合わせ その3
古い方の神の名……?
自己紹介されているのに、紹介として成り立っているのか疑わしい。
「この名になる前は、”雨乃禍津”と言われたりもしていたんだけどね。
呼びやすい方でいいよ。他の魔法使いは、ただの”神さん”と呼ぶのもいるしね。」
「私と兄さんの固有魔法は……まぁ、この名が示す様に
――雨……天気に関係する物です。」
天気……気象作り出す?それとも操作する方だろうか。
「僕は、”天気にする”……まぁ、細かく言えば、雨雲を追いやることができる。」
「私は、”雨を降らせる”、雨雲を呼び寄せるものですね。」
雨雲限定の操作の固有魔法……。
これは……、即効性は少ない?そこまで脅威にはならなさそうな魔法?
「ん?僕たちが無害そうに見えるかい?
……君は雨の偉大さを忘れたか?」
「晴れの怖さを覚えていませんか?
日照りを……干ばつを。」
「雨で負けた戦を、しらぬか。日照りで滅んだ国を、知らぬか。
現世とは、自然とは、誰にも止められぬもの。」
ぞわりと、背筋に悪寒が走る。
クーラーの涼しさではない、目の前の存在が、魔法使いの中でも異質であると。
思考ではなく、本能が知らせる。
畏れよ。眼前に座するは、神である……と。
「まぁ、ここまで怖がらせておいていうのもなんだけど……、
そこまでの事をするには、時間も労力もかかるから。」
「私たちはそこまでの事をする気はありませんよ。」
場を支配していた悪寒が収まる。
「僕たちは、神であって”神”ではないからね。」
「それに、神と祭られてはいますが、本当はただの魔法使いです。
出来る範囲が人の子に分かりやすく大きいだけで。」
二柱の神。魔法使いであり土地神。
魔法使いを”知っている気”になっていた。
知らない事の方が多いことを、再認識された。
「”目”が良いのも美徳だけどね、それだけにとらわれてはいけないよ。
魔法使いなら特にね。」
「兄さん、それを言うには私たちの階位がちょっと低いかもしれませんね。
――あぁ、私たちの階位は”礎位”ですよ。」
礎位?これだけの事が出来ると言いながら?
「なぜ、礎位にいるのですか・・・?」
階位とは、理の理解度の事……。なら自然を操作しているのなら
……もっと上でもいいのでは?
「あくまで、自然現象の操作だよ。理を弄っているわけじゃない。
出来るのは雲を追い払うだけ。」
「雨雲を創りだしているのではないんです。引っ張て来ているだけですよ。
無から有を出しているわけじゃないんです。
――そこまでの事が私たちにはできなかった。」




