顔合わせ その2
石段の先、先導する双子の後を追う。
古く苔むした石段、けれどもそれなりの頻度で人が訪れているかのように
剥き出しの岩肌も見える。
「いやぁ、遠かっただろう?時雨の家からここまで……2日ぐらいかな?」
「兄さん、今は車やら電車などがあるし、飛行術式使えばもっと早いでしょう?」
「あぁ、そうかそうか。歩き以外もあったね、そういえば。」
結構、歳を取っているような感じがする。
飛行術式……いや、術式開発以前の魔法使い……かな?
「飛んでも来たので……1時間くらいですかね。
途中魔物を討伐もしたので少しずれるかもしれませんが。」
「へぇ。結構優秀?
魔法少女と戦ったって話の方を聞くけど、魔物の方も経験豊富な感じかな?」
「元魔法少女なら、対人より対魔物でしょう。
……でも、時雨と幻理なら対人の仕込みもみっちりやっているでしょうが。」
こちらを見ているわけではないのに視線を……いや、視られている。
神社の敷地に入ったときから、周辺に薄く魔力が視える。
多分目の前の魔法使いの支配領域……魔力干渉帯?
まぁ、どちらにせよ。視られている。
石段の先。鳥居の先に古くあるが厳かな存在感を誇る神社が現れる。
「ようこそ。双乃龍神社へ。」
両の手を広げ、誇らしげに語る双子の片割れ。
兄の方だろうか……見た目があまり変わらないから識別が難しいのが難点。
「では、こちらへどうぞ。出せるものなど、冷たい麦茶程度しかありませんが。」
妹の方が神社の横にある社務所へと導く。
神社に比べると比較的新しい建物……そして少しの”魔法使いではない”人の気配。
「あぁ、神主と巫女がいるが気にしないでおくれよ。
――僕たちの身内だから、気にしなくていい。」
「あぁ、御朱印帳をお持ちでしたら無料で書いてもらえますよ。
……まぁ、一般の参拝客には少し貰ってますが。」
さすがに、御朱印を集める趣味はまだない。
まぁ、せっかく来たのだから、お守り位は買って帰ってもいいかもしれない。
社務所の中は、普通の建物だった。
あえて言うならお守りを買うスペースが外側に設けられている位だ。
社務所の奥の和室、入ったときにはすでに麦茶が用意されており、
――クーラーも効いていた。
「意外と普通なんですね……。」
「そりゃぁ、そうだろう?ここは神職の人たちもいるんだしね。
僕たちだけが住んでいるわけじゃない。」
「兄さん、そろそろ自己紹介をしといた方が……。」
妹の方……若干無表情というか、表情の動きが少ないことが分かってきた。
「あぁ、そういえばそうか。
魔法使い相手じゃ自己紹介なんて何十年としていないし、
――ここらの子にも紹介は必要ないしね。」
「では、僕がここの祭神の”雨乃大蛇”が片割れ”御子”とでも呼んでくれ。」
「私は”雨乃大蛇”が片割れ”姫”とお呼びください。」
あまのおろち……雨の大蛇?
「あぁ、この名はここらの子がくれたものだからね。所謂、神としての名だよ。
元の名は……あー、何だったか……。」
「すでに使われていないので、私も微かにしか記憶していませんね。
境内にある碑文に書いてあった気がしますが……
――あっちも古い方の神の名を刻んでいるはずです。」




